いよいよGWが始まりましたね。
みなさまはいかがお過ごしでしょうか?
私はカレンダー通りなので、さすがに9連休は無理です。
さて、今年は往年の巨匠カール・シューリヒトの没後50年の記念の年。
1880年生まれの指揮者ですから、1967年に亡くなったということは、かなり長命の部類に入りますね。
トスカニーニやワルターよりは後輩、フルトヴェングラーやクレンペラーよりは先輩ということになります。
ただ、この人が国際的に知られるようになったのは、戦後、つまり70歳近くになってから。
なにしろ1912年から亡命する1944年までヴィースバーデンの音楽総監督という、まぁどう贔屓目に見ても地味なポストにいましたからね。
ただ、録音は割と早くから行っていて、私の自作のディスコグラフィによると、初録音は1929年です。
その後、戦前戦中はDGにベートーヴェンやブルックナーの交響曲などを録音していますが、この時期の録音は音質の問題もあり、ほとんど顧みられないですね。
やはり彼が有名になったのは、戦後のDeccaとの録音でしょう。
ということで、先般、Deccaへのほぼ全ての録音を纏めたBOXが発売されました。

昔から定番のベートーヴェンやシューマン、「未完成」や「ハフナー」に加えて、今回本家から初お目見えとなったのが、ブルッフのヴァイオリン協奏曲(Vnはクーレンカンプ)やブラームスの二重協奏曲(Vnはクーレンカンプ、Vcはマイナルディ)、「マンフレッド」序曲などのSP時代のもの。
これらは権利切れを狙う廉価レーベルからは復刻されてましたが、本家からは初めて。
特にウェーバーの「アブ・ハッサン」序曲は、他社も含めて初めてかしら?
記載によると、SP録音はマスターからの復刻ではなく板起こしのようです。
もはやマスターは失われてしまったのかしら?
リマスタリングは概ね無茶なことはしていません。
昔から話題になっている、シューマンの第2番と第3番の音質。
第3番のほうがより新しいのに、なぜか音質は劣るという問題は、今回もクリアされておらず、どうやらマスターの段階からそういう状態だったようです。
このDeccaのBOXは、EMIへのベートーヴェンの交響曲全集とブルックナーの交響曲、そしてコンサートホール・レーベルへの膨大な録音とともに、かつてのシューリヒト像を作り上げるのに貢献しました。
インテンポで音楽を進め、端正な音楽作り、ドイツの正統派、そんなイメージですね。
ただ、危険なのは、ヘンスラーやAltus、あるいはそれ以前から数々の海賊まがいのレーベルから発売されていたライブ録音とは、全くといっていいほど演奏内容が異なるということ。
ライブのシューリヒトは、もっと自由にテンポを動かすし、意表を衝く解釈を見せてくれます。
例えば、コンサートホール・レーベルから発売されていたバイエルン放送響とのブラームスの第4交響曲は、衒いのないストレートな表現として高く評価されています。
しかし1959年のフランス国立管とのライブや、1965年のウィーン・フィルとのライブを聴いて頂くと、およそ同じ指揮者とは思えないくらい、強烈な味付けをしていて、こちらこそ本物のシューリヒトだと感じさせます。
なので、このDeccaをはじめとするスタジオ録音群は、かなり偏ったシューリヒトのイメージを作ることに貢献してしまいました。
さて、このシューリヒトとDeccaの関係は、シューベルトの「未完成」で終わりを迎えます。
ウィーン・フィルとの録音ですが、シューリヒトはリハーサルで色々なパターンの解釈をやってみせ、Deccaに対して「で、どのパターンがいいのか?」とシューリヒト。
さすがに疲れきったウィーン・フィルも、これには付き合いきれず、Deccaに泣きつき、これを最後にDeccaとシューリヒトの契約は切れてしまいます。
もっとも、シューリヒトの音楽性を認めていたウィーン・フィルは、シューリヒトが亡くなる直前まで、定期演奏会やザルツブルク音楽祭に招いており、EMIへのブルックナーの録音なんかはその証ですね。
なお、冒頭でこのBOXがDeccaへのほぼ全ての録音を集めたものも書きましたが、実は1曲だけ、未だかつて陽の目を見ていない録音があります。
デラ=カーザとレーフスをソリストに迎えたウィーン・フィルとの「ドイツ・レクイエム」。
これは記録には確かに残っているのですが、一度も登場していません。
未完成なのか、ソリストか指揮者からストップがかかったのか、事情は分かりませんが。
これも含めたBOXなら満点でしたが、とはいえほとんどシューリヒトの録音を出そうとしないDGよりは、この指揮者への敬意を感じさせます。
さて、この連休で溜まりに溜まったCDを聴こうと思うのですが、難関はカラヤンのEMIへのオペラ以外の全録音を集めた100枚を超えるBOX。
さすがにあと数ヵ月はかかるだろうなぁ。
いい加減、CDを買うのを止めないと(^-^;)