明日は選挙ですし、なにより台風も来てるし、更新は今日のうちに(^^)


一昔前のライブ録音とかを聴くと、協奏曲などで指揮者の解釈によるオケとソリストとがぶつかり、明らかな齟齬をきたしている録音に出会えます。

昨今は少ないですね。

そもそも商業録音なら、そんな「事故品」は発売しないでしょう。

またエージェントによるマネージメントがしっかりしてきた現代では、予め衝突が予想されるような組み合わせは避けられるので、生の演奏会でもそうそう聴けないでしょう。

まぁ、ソリストの集まりみたいなオペラの実演ではわりと聴けるかも知れませんね(それを期待しているわけではありませんよ、ただそういうハプニングに出逢える貴重さはありますね)。


さて、指揮者とソリストのぶつかり合いでも、二つの種類があろうかと思います。


まずは修復不可能なぶつかり合い。

例としては、リヒテルの訪米の際のライナー率いるシカゴ響との公演。
両者の解釈が全く相容れず、お互いの好きな音楽を展開しスキャンダルに。
予定されていた録音は、指揮者がラインスドルフに変更されて行われ、リヒテルとライナーの共演は二度とありませんでしたし、ライナーもリヒテルのことを口汚く罵ったとか(苦笑)


もうひとつのパターンは、音楽は合わないけど人間は合うというもの。

勝手に私がそう思っているだけなんですが、例えばクナッパーツブッシュとバックハウス。

両者による録音はいずれもライブで、ベートーヴェンの第4番の協奏曲が2種類と第5番が1つあります。

まぁ、笑ってしまうくらい合っていません。
クナッパーツブッシュが合わせる気がないのか、はたまたバックハウスもベートーヴェン弾きとしての自負から引かないのか…

特に両者の晩年の1962年のウィーン祝祭週間でのウィーン・フィルとの第4番は、両者の齟齬も甚だしいものがあります。

ソロではバックハウスが自分のテンポに持ち込みますが、トゥッティになるとクナッパーツブッシュが途端に例のスローテンポに。

これは音にも映像にも残ってますので、興味のある方は是非。


さて前置きが長くなりましたが、今日のぶつかり合いはこちら


ブラームス  ピアノ協奏曲第1番


グールド(Pf)
バーンスタイン&ニューヨーク・フィル

奇しくも上記のクナッパーツブッシュとバックハウスの共演したのと同じ年の1962年のライブ。


これはその筋では極めて有名な録音ですね。

プローベでバーンスタインとグールドの解釈が合わず、結局コンサートの冒頭にバーンスタインが舞台に現れて、事の経緯を説明してから演奏が始まります。

ただ、そのけっこう長いスピーチの内容はユーモアもあり、聴衆の笑いも誘うようなものです。

個人的には、スピーチは別にしても、演奏それ自体決して悪いものだとは思わないんですけどねぇ。


もちろん、プレスの批評は分かれたようで、それは演奏内容よりも、解釈が合わないまま本番に持ち込む姿勢は、プロとして聴衆に対する誠意が欠けるのでは?というもの。

事務局としてはグールドという鬼才を招いた目玉公演だからそうそうキャンセルはできないだろうし、かと言ってちゃんとしたブラームスの協奏曲を聴きたかった人には不満の残る話だろうし…

まぁ、グールドは帝王カラヤンとの共演でも色々あったくらいの人だから(笑)、その辺りは聴衆もチケットを購入する時点で覚悟しておくべきことだったかも。

ちょうど、キャンセル前提でカルロス・クライバーやミケランジェリのチケットを購入したように(^^)

日曜日は九響の定期に行ってきました。


曲目・出演者は以下の通り


小泉音楽監督の九響デビュー40周年にあたるとのこと。

メンデルスゾーンは昨年の「スコットランド」に続く登場。

「カルミナ」は5年前に現田さんの指揮で演奏されて以来の登場かと思います。



日曜日のマチネということもあり、チケットも完売(^-^)


しかも


だそうです。

これで全国の方に九響の演奏を聴いて頂けたら嬉しいです(^-^)




ロビーコンサートから、もうワクワク感が半端ない!

バッハからジャズまでやってしまう、このごった煮感、嫌いじゃないです(^^)


本編は、まずはメンデルスゾーンの交響曲の中では、そこまで演奏頻度の高くない第5交響曲。

第1楽章のいわゆる「ドレスデン・アーメン」は、他の作曲家にも使われていますし、何より弦楽器の美しさが際立つ旋律です。

第2楽章との対比で言うと、メンデルスゾーンという人は、重々しい音楽と、デリケートで軽やかなスケルツォとを一つの作品の中にまとめあげてしまう優れた能力の持ち主だと思います。

これがブルックナーだと、もう野暮ったいスケルツォだし、ロシアの作曲家の交響曲だと泥臭いし(笑)


そして、メインの「カルミナ」。

九響では5年ぶりの登場となります。
テノールにカウンターテナーを置いたのは初めて聴きます。
元々、ミーメをやるキャラクターテノールなんかに合った曲だし、けっこうアリだと思います。

オルフお得意の打楽器のために、ホルンは通常とは異なり、チェロの後ろに移動。

それにしても、日本でも屈指のオケ併設の合唱団である九響合唱団をメインとした合唱のパワーは、凄まじい迫力をもっていますし、細かい表情付けが徹底されてました。

また、打楽器は首席の森さんを筆頭にまさに獅子奮迅の活躍。

金管も咆哮させるのではなく、全体のバランスを考えた節度のあるもので、残響の豊かなこのホールの勝手をよく分かってる、さすがは地元オケ。


満員の聴衆と、舞台上に所狭しと並んだ音楽家とが一体となった興奮のひとときでした。


またFMで放送される日程がわかりましたら、こちらからご案内します(^-^)

過日、福岡の田舎である私の住まいの近所で、ベートーヴェンのカルテットの触りを生で聴く機会がありました。

東京にお住まいの方には笑われるかも知れませんね。
でも、福岡でベートーヴェンのカルテットを生で聴ける機会はそうそうなく、まして福岡の田舎ともなれば、空前絶後に近いことです(苦笑)

その後で手に取ったのが、ライプツィヒ弦楽四重奏団によるベートーヴェンの弦楽四重奏曲の全曲録音。


以前からポツポツと単売されてきましたが、いずれ全曲録音が完成すれば、BOXで発売するだろうから、その時に買った方が割安という貧乏根性丸出しの発想で(^-^;)、これまで購入するのを控えてました。

1988年結成のカルテットなので、来年で30周年ということになりますね。


ライプツィヒにはもうひとつカルテットがあります。


ゲヴァントハウス弦楽四重奏団。

こちらは、優に200年を超える伝統を誇る世界最古のカルテット。

いずれもライプツィヒ・ゲヴァントハウス管と所縁のカルテットですね。


ベートーヴェンの弦楽四重奏曲というと、アマデウス、アルバン・ベルクなどが一時代を画してきましたが、20世紀末に登場したエマーソン弦楽四重奏団の録音には度肝を抜かされました。

恐ろしく筋肉質で、恐ろしく運動的。
アクセントの付け方がかなり強めだし、全般的にスタッカート気味に弾いている感じがします。

緩徐楽章やカンタービレの指示がある箇所でも、脂肪分が無い感じで、例えば往年のウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団の演奏なんかに慣れきっていると、およそ同じ曲を聴いている感じがしません。


これを基準とすると、ライプツィヒ弦楽四重奏団は、ややエマーソンに近いかなぁ(もちろんあんなに刺々しくないです)、逆にゲヴァントハウス弦楽四重奏団のほうはやや伝統的なカルテットに近いかな(もちろん現代という時代を濾過した上でという意味であって、懐古趣味的という意味ではありません)という感じです。


こういう聴き比べも楽しいですが、やはり晩年のベートーヴェンの弦楽四重奏曲は、演奏云々の前に、曲自体の出来がほんとうにすごいですね。

シューベルトが「この後に我々は何を書けばいいのだろうか」と漏らした逸話はよく知られていますが、素人の私でもとんでもない世界だなぁと思います。

何度聴いても飽きないし、多分まだ理解できていないんでしょうね。

奥深い世界です♪