随分とご無沙汰しました。

ほとんどこちらは開いてないので(^-^;)


今日は古い時代のベルリン・フィルの録音を。




先年久しぶりに再発されたものですが、小生の手元にあるのは、20年ほど前に発売されたものです。

曲目は…

ベートーヴェン 「コリオラン」序曲
メンデルスゾーン 「フィンガルの洞窟」

以上、指揮はワルター。


モーツァルト 「イドメネオ」序曲
モーツァルト  ドイツ舞曲
メンデルスゾーン 「真夏の夜の夢」より「スケルツォ」と「結婚行進曲」

以上、指揮はエーリヒ・クライバー


サン=サーンス 「死の舞踏」
ストラヴィンスキー 「火の鳥」(1919年版)

以上、指揮はオスカー・フリート。


このうち、ワルター指揮の2曲は1924年の録音で、まだいわゆるラッパ吹き込み式と俗に呼ばれるアコースティック録音。

なので、デジタルの音しか受け付けない方には向かないと思います。

とは言え、ワルターの壮年期の録音ということでは貴重。
晩年の悟りの境地に至ったかのような穏やかな音楽はここにはなく、フルトヴェングラーばりの振幅の激しい音楽です。


これに対して、クライバーとフリートの録音は、電機式録音のものなので、やはり格段に音質はよくなってます。

特にフリートが指揮した「死の舞踏」の冒頭のVnの不気味なソロは、非常によく録れていて艶かしくすらあります。

もちろん、さすがに「火の鳥」のような編成になると厳しいものはありますが、1928年というこの1919年版が出て10年も経ていない段階にしては、ベルリン・フィルも健闘していると思います。


フリートは電機式録音で最初に第九の全曲録音をしたり、マーラーの「復活」やブルックナーの第7交響曲を史上初めて録音したり、この時代の指揮者としては録音に非常に積極的だったようです。

なお、彼の波瀾万丈の生涯をお知りになりたいかたは、Wikipediaをご参照くださいませ。


あと、個人的に特徴的だなぁと思ったのは、メンデルスゾーンの作品が録音されてること。

ユダヤ系の作曲家ですから、ナチス時代には禁止されるわけですが、まだその不幸な時代の前の録音たちなんですね。

そして、この3人の指揮者もナチスの登場とともにドイツを去り、もはやドイツ・グラモフォンには録音することは無かっただけに、貴重な録音です☆

昨日は九響の第九を聴いてきました。
なんだかんだで、やはり素晴らしい作品です。

そしてあれこれとクリスマスプレゼントを買ったりと、世間並のクリスマスを過ごしてます。


それにしても、今年はブルックナーを生で2回聴けたのが収穫でした。

そのうちの一つが第6番でした。
この曲のレファランスとしてよく聴くのが、クレンペラーによる演奏です。

クレンペラーというと、マーラーとブルックナーとで比較すれば、マーラーの録音の方が多く、世評も高いですよね。

インタビューで彼は両方とも同じくらい好きだと述べ、それに対してインタビュアーが「では何故マーラーの演奏のほうが多いのか?」と問われ、「マーラーは就職の世話もしてくれたからなぁ」と(笑)


しかしこれは恐らくフェイクで、実態は戦後彼が拠点としたフィルハーモニア管の所在地、英国のブルックナーへの無理解が理由でしょう。

彼はヘイワースへの対話で、EMIのプロデューサーにしてフィルハーモニア管のボスであるウォルター・レッグを引き合いにだし、こう語ってます。

「例えば、私はブルックナーの第6交響曲をとてもやりたかった。しかしこの曲は人気が無い。レッグはいつもこう言った『今ではない』と」。


商売人であるレッグからすれば当然の感覚なのでしょうが、ブルックナーの第8交響曲を第3楽章のみとは言え史上初めて録音したクレンペラーにしてみれば、レッグの認識や英国の現状は周回遅れに感じられたのでしょうね。

そこでクレンペラーは言わば「禁じ手」に出ます。

自らがシェフを務めるフィルハーモニア管と同じくロンドンに拠点を置くBBC響にアプローチし、ブルックナーの第6交響曲と「テ・デウム」をやってしまうのです


1961年1月の録音です。

手兵のベルリン・フィルがやりたい曲をやってくれないから、カラヤンがベルリン
放送響に話を持ちかけるようなものでしょうか?(違うか(笑))


さらにクレンペラーは無言の圧力をフィルハーモニア管にかけます。


同年夏には、アムステルダムのコンセルトヘボウ管に客演し、やはりブルックナーの第6交響曲をやります。

自分の支配下のオケではやらない曲を、客演先のオケのみでやるというのは、そうそうないと思います。



しかしそこは保守的な英国のなせるわざか、なおもこの曲をやろうとせず、遂にフィルハーモニア管がクレンペラーとこの曲を録音したのは、1964年になってから。


ご存知のように、レッグが身を引いたため、これによりクレンペラーのやりたいものがかなり自由に出来るようになったわけです。

なかなかこの曲をやろうとしなかったレッグや、受け入れなかった英国の聴衆の保守的な頑固さもさすがですが、80歳近くになっても頑強に粘りきったクレンペラーもさすがです!


それではみなさま、良い年の瀬をお迎えくださいませ。

ご無沙汰しております。

アメブロのアプリが私のスマホだとどうにも使い勝手が悪く、とんと使わなくなりました。

他のSNSの方が便利で、ほぼほぼそちらに移行しています。

そろそろこちらも潮時かな?と思っております。


さて今年はスイスの名門オケであるチューリヒ・トーンハレ管が創設されて150周年にあたるそうで、ソニーから全て初出音源というBOXが発売されました


さすがに初代指揮者のフリードリヒ・ヘーガーの録音は残っていないですが、後任で1949年まで40年以上にわたり長期政権を敷いたアンドレーエの録音は残っており、1942年のブルックナーの第7交響曲がこのBOXに収められてます。

後任のエーリヒ・シュミット、さらにその後任のロスバウトの録音も収められてますし、さらには20世紀のスイスを代表する作曲家シェックが振ったシューマンの第4交響曲の録音も含まれてます。

そしてこのオケの黄金期を築いたケンペの録音としては、ベートーヴェンの「運命」が収められています。
これは有名な商業録音とは別物の、1968年の同オケ創設100周年コンサートのライブ録音です。

ケンペの後任のアルブレヒトが振った録音としては、シェックの「ペンテジレーア」の全曲録音が収められ、その後任のエッシェンバッハの録音としてはブゾーニのピアノ協奏曲が収められてます。

またジンマンに関しては、このオケとマーラーの交響曲の全集やシュトラウスの管弦楽作品の商業録音を作成してますが、それとは別音源の「復活」と「家庭交響曲」が収められています。


また客演陣の録音も秀逸なものが多く、ハイティンクによるブルックナーの第5交響曲、ブロムシュテットによる同じくブルックナーの第9交響曲、マゼールの「新世界」、色々と話題の(苦笑)デュトワの「オルガン付き」、サロネンのシベリウスの第5交響曲が含まれてます。


装丁も立派ですし、最近のBOX物にしては珍しく紙ではなくプラケース入りです(そのぶん嵩張りますが…)

個人的には、音源は初出だし、錚々たる指揮者の顔ぶれで「買い」だと思います♪