米・消費者物価指数が発表されます。ファンダメンタル分析の側面で事前考察しました。
ドル相場に関しても、見通しを書いていますので、参考にどうぞ。
投資判断は、ご自身の責任で行ってください。
Fundalia(ファンダリア)
背景
12/13FOMCや雇用統計を踏まえ、利下げ期待が強まったり、弱まったりしています。直近ではやや利下げ期待が弱まりドル買いが進んでまいます。果たしてどちらが強い意見なのか?CPIで測定することが出来るでしょう。
現在、アメリカのインフレ率はダウントレンドが続いています。2%へ向けて順調に下がっていくのか?見所になります。最も注目すべきはコア(前年比)となり、予想値以下ならドル売り要因(少なくとも中長期の)になるでしょう。
※2%とは、ここではCPIコア前年比を指しています。
2024/1/11 時点の金利織り込み(CPI発表前)
2023/12/12 CPI発表前 金利織り込み
CME金利予測は、1カ月前との比較を載せています。
明らかに利上げ予測が弱まったと分かります。すでにアメリカの利上げを予想する投資家は皆無に等しく、「利下げ時期がいつになるのか?」を探るデータとして確認されるでしょう。
PCEコアデフレータは、あと1%弱(0.6-0.9%)ほど下がれば、今の高い政策金利は必要なくなります。恐らくもっと早く利下げ自体は始まり、利下げへの具体的な示唆は更に早いでしょう。もし、今日のCPIが想定以上に弱い(コア指数で3.7%とか)が出てくれば、利下げの早期化が意識されるでしょう。
QTテーパリングへの思惑も
量的引締め政策(QT)とは、「金融危機で買い貯めた国債などを市場へ放出する政策」です。国債を売る訳ですから、国債価格は下がり長期金利は上がる利上げに近い影響を与えていました。現在毎月950億ドル売却しています。
QTテーパリングとは、その売る行為を絞っていく(先細りさせる)ことを考え始めています。間接的に金融緩和(ハト派)的な行動と言えます。長期金利にも下げ圧力がかかるでしょう。
CPIが予想以上に弱いと、この議論にも拍車がかかりそうです。
為替で織り込みが始まれば、ドルは数円単位で売られることになると想定されます。
※テーパリングとは「先細る」という意味
インフレ率と金利と為替の関係(基礎知識)
【基礎知識】
インフレ率(=消費者物価指数)は、経済指標の中でも非常に注目されます。しかし、消費者物価指数そのものが重要な訳ではありません。消費者物価指数が金利に強い影響力を持っていることが重要なのです。多くの投資家が勘違いしている点でもあるでしょう。消費者物価指数が金利を動かすようなデータであった場合、為替に大きな影響を与えます。
インフレと金利、そして為替相場の関係は下記図によって説明できます。
金利差理論の理論モデル
Fundalia(ファンダリア)が推奨するファンダメンタル投資は、この理論モデルを基礎に置いて行われます。インフレ率が上がれば為替はどうなるのか?そしてインフレ率が上がるには何が必要か?こうした知識を持つことで、少し遠くの為替相場を見通すことができるようになります。
インフレが上がってから、為替が上がるまでにタイムラグが存在するからです。
【豆知識】
アメリカにはインフレ率に関する経済指標が数多くあります。消費者物価指数、生産者物価指数、PCEデフレータ等々です。このうち代表的なものが消費者物価指数とPCEデフレータです。つまりアメリカには、インフレ率が2つある事を意味します。
消費者物価指数(CPI)は「最も注目されるインフレ率」です。知名度も高く注目度は高いです。またPCEデフレータより先に発表されるため、速達性にも優れています。
PCEデフレータは「最も重要なインフレ率」です。FRBはインフレ率が2%になるよう行動することが求められています。高ければ利上げ、低ければ利下げをしますね。ここでいうインフレ率とは「PCEコアデフレータ(前年比)」です。CPIではありません。それゆえ重要性はこちらが上となります。
ただ、注目度が高いCPIの方が発表後の値動きは荒くなりやすいようです。
ドル相場への影響
2024年に入ってドル/円は盛り返し、半値戻し近くになりました。ただこれは売られ過ぎによるポジション調整でしょう。※去年11月からの急落相場に対する
ここからのドル/円を決めるのは、CPIや月末のFOMC、PCEコアデフレータ等になっていきます。この直近のドル/円高騰を踏まえて、今夜は為替を考える必要があります。
基本、CPIはFOMCと直結して考えることができます。CPIが強ければFOMCは利上げ路線になりやすく、逆も然りです。データがどちらを示唆するかで、ドル相場も値動きするでしょう。しかしながら、ここに直近のドル急騰を加えて考察すると、少し景気が変わります。
すでに強いCPIは、ある程度織り込まれた状態と言えるでしょう。雇用統計が強かったため、CPIも強くなるだろうという憶測が働いているためです。よって、やや強めのCPIが出ても「強めの利益確定」があり得ます。ゆえに、強いと思ったデータであっても少し時間が経てば値下がりする可能性が高いです。
ただ、その後にまたドル買いになるかも知れませんが。
弱いデータである場合、直近のドル高を帳消しにするドル安になる可能性があります。もちろんデータの程度によって変わるでしょうが、長期金利急落を伴うドル急落が想定されます。141円割れになる程度のCPIショックの再来は、いつあっても不思議ありません。
原油先物(日足)
上記は原油先物です。去年12月と一昨年12月を見比べてください。原油価格は平均的に一昨年の方が6㌦ほど高くなっており、この下落分は前年比でも表現されるでしょう。インフレ率は弱めのデータになりやすいです。
もちろん、発表されなければ分かりませんが…
宜しければ参考になさってください。
なお、記事内容に対する責任は負いかねますので、ご自身の責任での活用をよろしくお願いいたします。
個人投資家には、ファンダメンタル分析が必要だ!
Fundalia(ファンダリア)