(写真)tenki.jp様
まず本題に入る前に、今回の地震で被災された方々、救助・復興に尽力されている方々へお見舞い申し上げます。これには羽田空港の火災事後(地震の2次災害という意味)も含まれます。Fundaliaでも支援金を、少しばかりですが出させていただこうと思います。
そのうえで、投資家は人情・感情を切り離した思考能力が求められます。
地震が、経済や相場、金融に与える影響など、難しい時期にあっても冷静に思考を動かせる人は貴重です。この記事は、感情面を切り離して書き進めて参ります。
東日本大震災とは全く違う相場観
2011年3月東日本大震災のころのドル/円(週足)
2024年能登半島地震では、震災後に円安に動きました。この事情については後ほど説明しますが、まず2011年東日本大震災の時のドル/円相場を解説します。
チャートが始まる2010年中盤以降はドル/円が右肩下がりですが、これはユーロ危機、ギリシャ危機あるいはPIIGSソブリン危機(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)によるものです。2010年4Qに入って経済動向に改善が見られつつあった翌年3月に震災が起きました。
この頃の日本は、現在以上に強烈なハト派姿勢であったため、どう転んでも利上げは無い状況でした(実際にはこの頃、出口戦略へ噂はたっていたがこの話とは無関係)。なおアメリカはQE2(量的緩和)を実施していて、ミニバブルが発生した時期。
こうした頃から、大震災発生時に圧倒的な低金利通貨の代表格は日本円およびスイスフランという相場環境だったため、震災発生でリスク回避になると、リスクオフ通貨(安全通貨)として円が猛烈に買われました。
震災直後76.69を付けたのが、福島原発事故です。このときIAEA(国際原子力機関)の要人が「日本はメルトダウン」と発言し暴落しました。そしてその後、急反発して85.54まで戻していますが、これは国際協調介入と呼ばれる為替介入を実施したからです。(下記引用を参考)
東日本大震災は、原発事故も含めて円高に作用しました。
主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁会議による緊急電話会議が18日午前7時から行われ、G7が為替市場で円売り・ドル買いの協調介入を実施することで合意した。野田佳彦財務相が会議後記者団に明らかにするとともに、G7声明も発表された。介入は東京外国為替市場で午前9時に実施した。
今回の緊急電話会議は、11日に発生した東日本大震災と東京電力福島第一原発事故を受けて円相場が戦後最高値を更新するなど、金融市場が不安定になっていることに対応するもの。G7声明は「日本当局からの要請に基づき」、米英カナダ、欧州中央銀行は18日に「日本とともに為替市場における協調介入に参加する」と言明した。
声明は「為替レートの過度な変動や無秩序な動きは経済および金融の安定に悪影響を与える」と指摘。「われわれは為替市場をよく注視し、適切に協力する」としている。
G7声明はまた、「日本における最近の劇的な出来事を議論」するとともに、日本当局から「現在の状況、当局がとった経済・金融面での対応について説明を受けた」と述べた。その上で、「困難な時における日本の人々との連帯意識、必要とされるいかなる協力も提供する用意がある」などとしている。
野田財務相は会議後の会見で、「困難な状況にもかかわらず日本経済は引き続き健全だ」と述べた上で、震災後の円の急伸を受け「日本当局からの要請に基づき、米国、英国、カナダ、欧州中央銀行(ECB)は本日、日本とともに為替市場における協調介入に参加することで合意した」と説明した。
(引用:ブルームバーグ11/3/18)
能登半島地震と為替相場
能登半島地震について書く前に、前提知識が必須です。
日本銀行(以下日銀)は、現在も強烈なハト派政策を実施していますが、ここから出口に向かうシーケンスに移っています。インフレが強い中、少しずつ地ならしをしながら、YCC解除やマイナス金利解除へ道筋をつくっている最中と言えるでしょう。「金利がある時代」がキャッチフレーズになっています。
つまり日銀は、利上げを含むタカ派へ姿勢転換しています。
何もなければ春から夏に利上げという思惑がありました。
(写真)毎日新聞様
そこに何かがありました。元旦の能登半島地震です。
地震による被災地の復興には、低金利で資金を融通するのが効果手出来ある為、日銀が利上げ実施の時期を後ズレさせる可能性がでてきました。これを察知した投資家は、利上げ遠のく(=低金利継続)を材料に円を売る動きに出たわけです。
つまり、能登半島地震は円安に作用しました。
金利に沿うよう為替相場は動く
ここから分かる事は、『大地震がきたら円安(円高)』というステレオタイプが通じないという事です。FX投資で勝ちたければ、この点をまず学ばなければ意味があります。
上記図解をご覧ください。
事象には「経済指標、要人発言、報道(ニュース)」などの情報が入ります。地震に関してはニュース情報となります。地震が来たら円高、米雇用統計が強ければドル高、米CPIが弱ければドル安と、一般の個人投資家は『事象を見て為替相場を予測』するでしょう。それが常識と思っている方が大多数かと思います。
しかし、為替相場は必ず金利を見て動きます。
それゆえ『事象により金利がどう動くかを見る』ことがFX投資では重要なポイントになります。たとえば、米雇用統計が強いデータ発表だったが、アメリカの長期金利は上昇しないというケースがあります。この場合、事象と為替相場は連動しません。こうしたケースは多々見られます。
私たちFundalia(ファンダリア)がテクニカル分析を使わないのは、テクニカル分析はイレギュラーな相場に対して極めて脆弱だからです。そのため、例外的な相場や金融危機に遭遇した場合に対応できないため、危機で相場が揺れるたびに一斉退場する歴史の繰り返しです。
そもそも、テクニカル分析は事象・金利・為替相場の基本的な関係性さえ、織り込んでトレードする能力が備わっていないと思います。
それらがあるため、金利に沿ったFX投資を推奨しています。
機関投資家など投資上級者になるほど、投資ヒエラルキーの上位者になるほど、金利に沿った考えを理解しています。FX初心者ほど、チャートの形状を弄ったトレードを好みます。
この話は置いておいて、
為替相場を見通すには、金利を見る必要があり、金利に関する知識が必須であり、事象と近隣を結ぶ関係を学ぶ必要があります。これを学べさえすれば、一般的な個人投資家と比べて異次元のトレードが出来るようになるでしょう。
90%が淘汰されるFXトレードです。
異次元のトレードができるだけの投資知識は、安定して収益を得るために必須でしょう。今回の地震相場から学べることは多くあります。
記事は以上です
Fundalia(ファンダリア)
2023/1/3