〖2024年〗今年の相場予測① ~まず相場観を整理する | ファンダメンタルなアウトローのFX

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明けましておめでとうございます

本年もよろしくお願い申し上げます

 

1/1は為替がお休みなので、2024年相場を見据えた記事を用意しました。参考になさってください。

 

 

2023年を振り返る

 

去年の為替相場(ドル/円)を振り返ってみましょう。

どのような1年であったかは、大きく3つの特徴があったと思います。まずは、下記チャートをご覧になってください。2022年秋(ドル/円が最高値を付けた頃)からのものです。

 

 

ドル/円(週足)

 

 

2022年4Q(10月)には、日本当局による為替介入がありました。そして11月に引かれた長い陰線(147.50⇒139.00)はいわゆる「米CPIショック」です。2023年は127円20銭まで下げたところから始まり、調整を挟みつつ151.90まで買われる大相場となりました。

 

これを踏まえ、3つの論点を整理したいと思います。

 

 

 

①米インフレラリー

 

ジェットコースターのようにドル/円が推移したのは、米国のインフレ見通しが大きくブレたからです。2022年秋のCPIショックで、米国のインフレ高騰は終わりFRBは利下げへ舵を切るだろうと思わせるものでした。1つの経済指標で為替相場がここまで動く事例は稀で、記憶に残るほどの事件だったと思います。

 

しかし、年を越え2023年になると経済指標にインフレ再燃を匂わせるデータが増えました。パウエルFRB議長などFRB要人も「インフレ警戒」を緩めず利上げを示唆。マーケットが思っている以上にインフレの根強さが明らかとなり、再度利上げを織り込む相場へ変わっていきます。

ドルは買いが買いを呼ぶ展開になり、2023年4Qには、為替介入が現実味を帯びる水準まで円安ドル高が進みました。

 

そして年末近くなると、アメリカのインフレ率は明らかに弱まりを見せ、12/13FOMCでパウエルFRB議長は「事実上のインフレへの勝利宣言」ともとれる会見をしました。この夜のドル急落も凄いものです。FRBは2024年に3回程度の利下げ見通しを示し、ハト派へ転向。ドル/円が年末に下がる根拠となりました。

 

 

このように、米インフレ見通しによる利上げ・利下げ思惑によるインフレラリーによって、ドル/円は大きく振れたと言えるでしょう。

 

 

 

②マイナス金利&YCC解除思惑

 

一方に日本は利上げ期待が徐々に高まっています。マイナス金利&YCCといった異次元緩和は、既に意義を失い「利上げが正当化されつつある」と言えます。日本のCPI(コアコア指数)は直近で+3.8%と、日銀が定めるインフレターゲット(+2.0%)を大きく上回っています。

 

このデータは、今すぐ日銀が利上げに動くべき水準です。

しかし問題となっているのは、「日本国民が20年以上培ったデフレマインド」です。高いインフレ率や金利を経験したことがある社会人は老齢化し、若い人はインフレというものを体験したことがありません。バブル時代を経験した方々もインフレを忘れてしまっているでしょう。コロナ後にインフレが上昇を始めたら、それだけでハイパーインフレ(狂乱物価)と言う人々さえ現れました。

 

適度なインフレが、経済や生活水準の向上に役立つことを、日本国民は忘れています。

つまり国民は自信を失っています。

この心理状態の中で、安易に利上げをすると「恐怖感に襲われ消費が委縮し、デフレに戻る可能性」があります。それゆえ日銀は動けません。

 

蛇足となりますが、利上げをすると「国債利払いが増えて財政が悪化するから利上げできない」という意見も見ます。しかし、この意見は半分正解で半分誤りです。なぜならインフレが起こるとインフレが起こった分だけ税収が増えて支払い余力が増え、逆に過去に発行した国債はインフレにより発行額が増える訳ではありません。つまり、国の借金は何もしなくとも目減りします

 

 

日銀は、未だ堅固にハト派姿勢を貫いていますが、年末近くになりタカ派転向を地ならしするような発言も散見されました。今までになかった現象です。日銀は緩やかにですがタカ派へ転向を進めていると言えるでしょう

 

 

③次の金融危機要因が萌芽

 

2023年で印象に残るのは、相次ぐ金融破綻です。米国ではシリコンバレー銀行など複数の中堅銀行が経営破綻しました。スイスではクレディ・スイス銀行が経営破綻しました。銀行ではありませんが、中国では恒大集団、碧桂園など不動産企業や中植企業集団などノンバンク大手が経営危機になっています(欧米基準なら既に破綻しています)。それぞれがなぜ破綻したかは、ここでは割愛します。

 

それ以上に重要なのは、2024年以降に金融危機があると仮定した場合の芽が出てきた年と言えることでしょう。気になったポイントを挙げます。

 

 

危機になっているのは金融機関

2023年に多くの金融機関が経営破綻となりました。問題は、金融機関が破綻を起こしていることそのものです。問題の本質は、猛烈な利上げ(ものすごく高い金利)が要因です。基本的に金利上昇は銀行経営にプラスですが、猛烈な金利変動はリスクです。お金を集めて、それを貸して利ザヤを稼ぐ銀行にとって、金利の大変動を読み誤ることは死活問題で、致命的な不良債権を握るケースがでてくるでしょう。

 

2024年以降に、さらに大きな金融機関が体力を使い尽くして経営破綻する事例が予想できます。その事例次第ではリーマンショックのような危機になる可能性はゼロではありません。

 

 

SNS破綻

シリコンバレー銀行が経営破綻した時、「噂が出てから経営破綻まで、あまりに早すぎた」という経緯がありました。経営不安がSNSで拡散し、あっという間に取り付け騒動へ発展。銀行側が状況把握し手を打つ暇も与えずスピード倒産した形です。28兆円もの資産があった企業がです。

 

言い方を変えると、どんな大きな企業でもSNS時代では瞬間倒産できるということです。何らかのネガティブなニュースがSNS拡散されると、その週のうちに経営破綻する。早すぎる情報伝播力が相場のおいてリスク要因になりつつあると言えるでしょう。

 

 

中国発の金融危機

中国の状況は本当に深刻で、2024年の巨大リスクです。もし「中国政府が真実を全てさらけ出せば、即座に金融危機」なのですから。当局は必死に隠蔽するでしょう。

 

不動産、高速鉄道、地方政府債務、中央政府債務、アフリカ等への融資焦げ付き、ノンバンクや銀行の不良債権など、全て勘案するなら負債は1京円(日本円換算:京は兆の1000倍)を超えてくるとの試算もあります。

 

さらに問題なのが、中国にある隠蔽体質です。

金融危機になる本当の要因は、「問題の本当の大きさが見えない」「一体本当の負債額は幾ら?」「この問題の出口が今のところない」などです。問題の本質が見えて、出口が模索されれば危機は収まります。パンデミックを事例にすると、あれで株価が暴落をしたのは「感染急拡大で死者も多く出ているのに、治療法(解決法)がない」ことでパニックを起こしました。

 

隠蔽により疑心暗鬼になり、投資家がパニックに起こせば即座に金融危機となります。すでに隠蔽がバレ始めており、隠し通せる時間はそう長くなさそうです。

 

 

 

 

まとめ

 

おおよそ3つの論点が2023年の特徴だったと、Fundalia(ファンダリア)では分析しています。そしてそれが2024年に引き継がれます。

 

もちろん、そのまま引き継がれるのでなく変化を伴いながらになるでしょう。

例えば、アメリカはインフレが減速し利下げ期待が強まり、ドルは売られる傾向が強まると一派には想定されます。しかし、もう1回インフレが再燃する可能性もあります。

 

中国にしてもリスク要因ばかりですが、2024年に関してそのリスクを抑え込みつつ、景気がやや改善するシナリオもあり得ます。当局による情報操作もありますし、大規模な金融緩和を決定するかも知れません。

 

 

いずれにせよ、2023年の相場を総括しなければ、2024年の相場を考えることはできないでしょう

 

 

記事は以上です

 

 

 

2024/1/1

Fundalia(ファンダリア)