この講座は、「シカゴ購買部協会景気指数」についてです。いわゆる製造業PMIと同種の指標ですが、アメリカにおいてISM製造業景況指数やマークイット製造業PMIより地味な存在です。しかし、ISM製造業景況指数の前営業日に発信され、データ的な連動性もあるため、ファンダメンタル分析では参考データとして活用されます。
初稿 2023/7/31
なぜシカゴなのか?
シカゴ購買部協会景気指数は、シカゴ周辺の景況感を測定する経済指標です。イリノイ州シカゴは、ニューヨークの西1100㎞ある都市圏人口940万人の大都市で、五大湖に面した工業都市です。
シカゴから船で海へ出られるため、アメリカ中西部の物流を担うだけでなく、水運と水資源の多さから工業が盛んです(旧来工業は衰退している)。ただし近年は、商業、金融、半導体生産などでシカゴ周辺が盛り上がってきているとされます。
シカゴは地図左寄りの中段
アメリカの中央部の中心的な都市
経済や人種構成などがアメリカの縮図という人もおり、シカゴ購買部協会景気指数は、ISM製造業景況指数とデータ的に連動する理由ともされています。
こちらをご覧ください。
シカゴ購買部協会景気指数(シカゴPMI)の方が、上下動の多いデータになっていますが、全体のトレンドを観察することが可能です。つまり、ISM製造業景況指数の参考データを約1日前に手に入れることが可能という、非常に優れた性質を持っています。
経済指標の解説
指標はMNIというシンクタンクとISMが共同で発表しています(そのため連動性があるのは当然)。そして毎月最終営業日に発表されます。
データ形式はISM製造業景況指数と同じで、「50.0」を中立に上振れれば景気良好、下振れれば景気悪化と判断されます。
感情的な消費者と違い企業の購買担当(役員等)が回答するため、より合理的な回答を得ることができ、精度の高い情報を速報性をもって得ることが可能。ですからファンダメンタル分析において、非常に価値があり、重宝されます。
地味な経済指標ですが、情報価値は高いと言えるでしょう。
この指標は「シカゴPMI」と呼ばれるケースもあります。
あとがき
あまり話題になる事がない経済指標ですが、ISM製造業景況指数や雇用統計の前座として存在感があります。ファンダメンタル分析の中級者くらいになると、データを意識するようになる。そういう位置づけですね。
お読みいただき、誠にありがとうございました。
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時間を買って、早々に投資水準を上げることも、1つの選択肢ではないで
しょうか。
Fundalia(ファンダリア)
蝦夷守