前営業日の米国市場の総括です。
為替を知るには株式、長期金利、商品市場の知識も必要になります。
為替相場と他市場は相互に影響し合う関係にあります。ゆえに、相場観を知りたければ、他市場へも目を向けなければなりません。色が付いているのは、それぞれの市場が値動きした理由です。理由を追うと相場が見えてきます。
毎日確認すると、投資力は劇的に伸びるでしょう。
それほど、値動きの理由を把握することは重要なのです。
〔米株式〕
29日の米国株式市場でダウ工業株30種平均は小反発。終値は前営業日比3.07ドル高の33852.53ドルとなった。前日に米連邦準備理事会(FRB)高官らが金融引き締めの長期化を示唆したことが引き続き相場の重しとなり、一時180ドル超下げた。ただ、中国の厳しい新型コロナウイルス規制が修正されるとの期待から買いが入ると、指数は上げに転じた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3日続落し、同65.72ポイント安の10983.78で取引を終えた。米長期金利の上昇を受けて高PER(株価収益率)のハイテク株には売りが出た。
〔米長期金利/国債市場〕
29日の米国債券相場で長期ゾーンは反落。表面利率4.125%の10年物国債利回りは前営業日比0.06%高い(価格は安い)3.74%で終えた。前日に米連邦準備理事会(FRB)高官らが金融引き締めの長期化を示唆したことが引き続き売りを誘った。明日のパウエルFRB議長の講演や週末の11月米雇用統計など重要イベントを前に、ポジション調整目的の売りも出た。
2年債 4.481(+0.043)
10年債 3.752(+0.070)
30年債 3.803(+0.082)
期待インフレ率 2.267(-0.004)
※期待インフレ率は10年債で算出
※文章とデータを抜いた時間が異なる為、少し食い違う場合があります
〔米原油先物〕
29日のニューヨーク原油先物相場は続伸した。ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)で1月限の終値は前営業日比0.96ドル高の1バレル=78.20ドルとなった。中国政府が高齢者のワクチン接種強化を表明し、政府のコロナ防疫対策に対する市民の不満に対しても聞き入れる姿勢を示したことを受けて「ゼロコロナ」政策の緩和期待が強まり、原油先物は買いが先行した。また、12月4日の石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」会合を控え、増産をめぐり思惑が交錯し、神経質な動きも見られた。
〔米金先物(ゴールド)〕
29日のニューヨーク金先物相場は反発した。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心となる2月限は前営業日比8.4ドル高の1トロイオンス=1763.7ドルとなった。為替相場でドル売りが先行したことを受けて、ドル建ての金は底堅く推移した。ただ、その後はドルが買い戻されたことや、明日にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を控え小動きにとどまった。
〔VIX指数(恐怖指数)〕
29日のシカゴ・オプション市場(CBOE)でS&P500種株価指数オプションの値動きに基づいて算出される変動性指数(VIX、恐怖指数)は低下。5時35分時点では21.97と前営業日の清算値22.21から0.24ポイント高い水準で推移している。
〔米為替市場〕
29日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続落。終値は138.63円と前営業日NY終値(138.95円)と比べて32銭程度のドル安水準だった。欧州時間に一時137.87円まで売られた影響が残ったものの、前日の安値137.50円が目先サポートとして働くと買い戻しが進み下げ幅を縮めた。米10年債利回りが3.76%台まで上昇したこともドル買いを促し、一時138.85円付近まで値を上げた。ただ、アジア時間に付けた日通し高値139.35円には届かず、大きな方向感は出なかった。
明日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を前に、積極的な売買が手控えられた面もあった。パウエル氏の講演は12月13-14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)前の最後の発言機会になる見通しで、市場では「今後の金融政策に関する新たな示唆を得たいとして注目が集まっている」との声が聞かれた。
ユーロドルは小幅ながら3日続落。終値は1.0330ドルと前営業日NY終値(1.0340ドル)と比べて0.0010ドル程度のユーロ安水準だった。前日にFRB高官らが米金融引き締めの長期化を示唆したことが引き続き相場の重しとなったほか、「ユーロ圏のインフレ率がピークに近い」との観測から欧州債利回りが低下したことがユーロ売りを誘った。5時過ぎには一時1.0320ドルと日通し安値を更新した。
なお、この日発表の9月米ケース・シラー住宅価格指数は予想を下回った一方、9月米住宅価格指数や11月米消費者信頼感指数は予想を上回った。
ユーロ円は続落。終値は143.26円と前営業日NY終値(143.66円)と比べて40銭程度のユーロ安水準。この日発表のドイツとスペインの消費者物価指数(CPI)伸び率が前月から鈍化したことで、「ユーロ圏のインフレ率がピークに近い」との観測が広がり一時143.02円と日通し安値を付けた。その後の戻りも143.36円付近にとどまった。
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