2018『舞台友情』初日マチネVol.3 全員揃った! | 電卓男の友情日記

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白血病になった女の子とクラスメイトとの絆の舞台『友情〜秋桜のバラード〜』について書いています。



見学ーーー

体育はしちゃいけないことになってるの。




目を伏し目がちに答えるあゆみ。

感情がよく表れている。
このへんから、観客は彼女が「病気」であるということを認識し始める。


このセリフは、これからの展開の、布石。
しっかりと表現していて、とても良い。



くわえていた煙草をあゆみに取られ、それまで冷静だった信一が急に大声で怒鳴る。


……この一連の流れから、助け船の先生がやってくるまで、あゆみは追い詰められ、かなりの窮地に追い込まれる。



信一は椅子を勢いよく投げ倒し、会場全体がいったいどうなってしまうのだろうと焦る場面。



それに対して、あゆみの表情があまり変わっていない。
むしろ平坦すぎる。



さらに背景を考えてみると、のちほど出てくるがあゆみのご両親はとても優しく、穏やかで、滝川の時もあゆみはたくさんの友達がいる。



つまりは、こんな怒鳴られるような人間にはまず出くわさないし、ましてこういう不良とは接してこなかったと思われる。




とするならば、ここで例を見ない恐ろしい状況に陥って、恐怖や驚きの表情が出ないのは、やや違和感かなぁと思ったりする。




もちろん、演出家さん次第だし、悪に屈さないあゆみというキャラをとことん演じるのであれば、それでもいいのかもしれない。






先生に「説教してやるから座れ」と言われた時の、信一。




まっすぐ先生を睨んだまま、固まる。


でもやはり、自身のペースは崩さない。
とても素晴らしいと思う。




そこへいよいよみんなが入ってくる。




「あ、せんせい〜!!」
のタカコから始まり、明子、千絵子、康一郎、雄二のやりとり。

ふむふむ。今年はこういう子たちか。


観に来られた観客の方は、おそらく、坊主頭になるとみんな同じに見えてしまって、ちゃんと個性があるにもかかわらず一人一人が認識しづらいと思う。


自分は、もう何年も見ているので、そういうことはありませぬ(笑)


事前にパンフで顔と名前を確認し、この最初の教室のシーンで実際のみんなを全員認識する。


すると後半で坊主頭になっても、まったく遜色ない。



むしろ、パンフで顔を見た時に坊主頭も想像しているくらいである(笑)




恭一くん。今年はふつうに近い。ややおっとりくらい。


でも、千絵子に「デ○」って言うのはちょっと違うのではって思ってしまう(笑)
だって千絵子役の如月美月(きさらぎ みつき)さん、全然太ってないし、むしろ細い(笑)



俊明はバスケで得点王。
年々俊明のバスケレベルが上がってきてる気がする(笑)




右から直美と恵が入ってきて、
左から正が入ってきて、
俊明の全員注目!(笑)があって、
正がポロっとひと言気取って言う。

今年の正は結構テンションの高い人だ。



最後に、幸子。

俊明たちの話の途中にスーッと登場する。
幸子がどういう風に入ってくるか、いつもすごくよく見る。


彼女は、セリフがない。

正確には、ここであゆみに話しかけられて、ひと言だけ応えるが、
その後は終盤まで、言葉を発しない。

なんとなく想像がつくかもしれないが、幸子はこの物語で特殊な存在である。


終盤、大きな大きな山となっていくクラスの友情の、最後の頂きを美しく形成していく。


言葉を発しない、演技。
すごく難しいと思う。



表情や物腰で、心意を語る。




だが別に、彼女一人が「幸子」のすべてを担うわけではない。


舞台には、クラスメートたちがいる。


彼らの演技も、幸子を形成している。




その最大の功労者が、いじめっ子・明子だ。




幸子の動き、終盤の言動、ひいては存在自体をとことん潰しにかかる。




幸子の存在を否定することで、逆に幸子の存在感を際立たせている。




しかし、
この2時間強の舞台で残念なことは、時間が限られているために、そこまで2人の交わりがないことだ。


なので、一度しか観ることのない多くの観客は、終盤の、明子が中心になっていじめていたことを幸子に個人的にあやまるシーンが、イマイチ意味を理解できずに終わってしまうことも多々あるように思う。



ゆえに、この冒頭の教室のシーンが2人の関係を観客に印象づけるほぼ唯一無二となる、貴重な時間。



いかに冷たくできるか。
いかに幸子いじめの主犯格が明子であることを象徴づけられるか。
いかに幸子はクラスからハブられているか。


これらすべて、
明子をはじめとしたみんなの腕にかかっている。




明子役は、直近3年間、普段はとても人懐っこいが舞台に上がるとスッと変わる佐藤美優が連続で演じていたので、その印象がとても強い。




だが、今年の明子役の宮河里奈(みやかわ りな)さん、テンションが高く舞台慣れしていてとても大きな存在感がある。



このシーンも、バッチリだった。



そんな幸子に無邪気に話しかけるあゆみ。
一瞬間があって、少しオタオタしながら応える幸子。とても自然で上手なのと、こういう声をしているのかと、感慨深げにインプットする。


明子の「ネクラがうつる」という言い方がとても大きな響きがあった。
仲間に入れようと、ワザとあゆみに幸子の噂を教えるのだがーーーーー





ここでのあゆみ。

去年手首を切って自○しようとした、という言葉を聞いて、「自○?」と反復するのだが、やや棒読みな節があった。


「自○」という言葉は、とても衝撃的なワードである。


失礼ながら、あゆみにとって【死】を連想させる言葉に対しては、非常にセンシティブになっている。


その表現力が、イマイチ伝わってこなかった。




信一が入ってくる。
クラスの空気が変わる。


これで全員揃った。




肩を揉ませられてパシリに使われる、康一郎。
康一郎役は、テンションが最高に似合ってる鶴岡政希(つるおか まさき)くん(笑)
2年連続の出場!今年もいてくれてうれしいぜ!



信一と康一郎のやりとり。
雑誌名を言う前に本が飛んできた(笑)
信一、康一郎の頭を叩くのが一瞬早いわ笑笑




授業が始まり、恵の笑いを誘う一悶着もあり(笑)、英文の復唱で1幕終了。



この最初のクラスの場面は、一人一人見ているととても面白くて楽しい。


もうすでにキャラが出ている。
毎回、ほほえましく観ることのできる光景。






ここまでに書かれなかった生徒さん、ちゃんと観ていますのでご安心を。






つづきは、またのちほど。











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*読者の方へ*

このブログは、『友情』という舞台を行う意義、全体のストーリーや流れを熟知した上で、よりよくほかのお客様に観ていただけるよう、個人的な感想を書いているものです。

1人でも多くの方にこの舞台の存在を知っていただき、また実際にお越しいただいて、「白血病」という病気のこと、ドナー登録や献血の重要性を理解していただけることを第一に考えております。

そのためには、舞台の中心となる生徒役の役者さんたちが、もっともっと良い演技をすることが大事です。

私はそこに主眼を置き、生徒役の方々の演技の良し悪しをお伝えしています。

加えて、生徒さんたちが全力で稽古した成果も評価してあげたいと思っています。

「泣く」「叫ぶ」などといった演技を、「すばらしい」「リアリティがある」などと評価しているのは、すべて、上述のためです。

決して、現在病気と闘っている方々のことを憂慮していないわけではございません。

そのことをご理解いただいた上で、今後とも【電卓男の友情日記】をどうぞ宜しくお願い致します。