地球にハルマゲドンをもたらすというサタンの息子が、悪魔の手によって人間の世界に送り込まれた。聖書に書かれている通り、その子供の11歳の誕生日に世界は終末を迎え、天使と悪魔の最終戦争が始まる。天使も悪魔も、今度こそ絶対的な勝利を我が手にするぞと大いに息巻いているが、人類を感化するために長年地球暮らしをした結果、逆にすっかり人類の文化文明に感化されちゃった天使のアジラフェルと悪魔のクロウリーにとっては、ハルマゲドンなんてちっとも嬉しくない。そこで、アジラフェルとクロウリーはお互いの上司や同僚に内緒でひそかに手を組み、ハルマゲドンの到来を阻止しようと画策するが——。
ニール・ゲイマンとテリー・プラチェットが共同で手がけた小説『グッド・オーメンズ』(1990年)を、ニール・ゲイマン自身の脚色でテレビドラマ化。これだけでも十分気になるが、悪魔のクロウリー役をデイヴィッド・テナントが演じると言われた日には、そりゃあもう(アマゾンプライムビデオの無料トライアルを利用して)観るしかないというものだ!
というわけで、全6話、嬉々として観せていただきました。
何よりもまず、おっとりお上品でちょっぴり食いしん坊の天使アジラフェルと、黒サングラス姿でちょっぴりやさぐれてる悪魔クロウリーのコンビがかわいい。いや違うな、正確に言うと、アジラフェルが好きすぎてほとんどアジラフェルの守護天使と化している悪魔のクロウリーがめちゃくちゃかわいい&いじらしい。もともとエデンの園のヘビだったクロウリーは人の姿になった後も瞳だけはヘビの瞳孔のままで、普段は他の人間に気づかれないよう黒サングラスをかけているが、黒サングラスにしてもヘビの瞳孔にしても本来「かわいい」とは相容れないはずなのに、それでもなおかわいいから困ったもんだ(苦笑)。なかでも、二人の6000年にわたる友情関係をダイジェストで見せる第3話の冒頭はあまりに楽しくて、何ならここだけヘビロテしたい……。
おまけに、ちょっとした脇役で出てくる俳優陣の豪華なこと。マーク・ゲイティスはスティーヴ・ペンパートンとのツーショットだし、デレク・ジャコビやらジョナサン・アリスやらサンジーヴ・バスカーやら、もったいないくらいのちょい役で次から次へと出てくる。そうそう、サタン役でベネディクト・カンバーバッチも出てたっけ。
テレビドラマ全体としては、正直、アジラフェルとクロウリー以外のキャラクターはあんまり魅力的じゃないし、CGに若干難ありだしで、素晴らしく良く出来ているとは言い難い。でもいいの、私のお目当てはあくまでデイヴィッド・テナントの悪魔だから!(ああ、つい本音が……)