昨日、映画配給会社のフランス映画社が破産というニュースを耳にして以来、自分が観たフランス映画社配給の映画作品をあれこれ思い出している。
映画館に足を運ぶ時、映画監督とか出演者の名前は気にしても、配給会社の名前までは気にしない。でも、フランス映画社の「BOWシリーズ」だけはやたら記憶に残っていた。単純に、私の頭の中では、有楽町の映画館シャンテシネ=フランス映画社だったからかもしれない。フランス映画社配給のすべての映画がシャンテシネで上映された訳ではないし、またシャンテシネで上映された全ての映画がフランス映画社配給だった訳でもないと思う。が、シャンテシネで買うパンフレットの裏表紙には、東宝のロゴとBOWのロゴがペアになっているのが定番、というのが私の印象だった。こんな感じ↓
フランス映画社、というと、何だかフランス映画専門の配給会社のようだが、「BOW」とは「Best of World」のこと。私がざっと思い出せる限りでも、シャンテシネで上映されたフランス映画社配給の映画と言えば、
ラッセ・ハルストレムの「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」(スウェーデン)
ヴィム・ヴェンダースの「ベルリン・天使の詩」(ドイツ)
ピーター・グリーナウェイの「英国式庭園殺人事件」(イギリス)
タヴィアーニ兄弟の「グッド・モーニング、バビロン!」(イタリア)
ビクトル・エリセの「マルメロの陽光」(スペイン)
テオ・アンゲロプロスの「ユリシーズの瞳」(ギリシャ)
エミール・クストリッツァの「黒猫・白猫」(ユーゴスラビア)
ユーセフ・シャヒーンの「炎のアンダルシア」(エジプト)
ジム・ジャームッシュの「デッドマン」(アメリカ)
ジェーン・カンピオンの「エンジェル・アット・マイ・テーブル」(ニュージーランド)
侯孝賢「恋恋風塵」(台湾)
張芸謀「秋菊の物語」(中国)
これはもう、ちょっとした世界一周旅行だね。
それが、今から何年くらい前だったか、シャンテシネのロビーから、シャンテシネで作品が上映されたことのある映画監督の顔写真の数々が取り外されていた。初めてそれに気付いた時は、結構なショックだった。うわ、自分で自分たちの栄光を捨てちゃうんだ、と。やがて、シャンテシネはTOHOシネマズシャンテに名称が変更され、私が映画を観るために有楽町まで足を伸ばす回数は激減した。
そしてこのたびのフランス映画社倒産の報である。これでますますアート系の洋画の上映が減りそうで悲しいが、まずはこれまで私にたくさんの新しい世界を見せてくれたことに感謝しなくては。
本当にお世話になりました。昨年の夏に映画のパンフレットを整理していなければ、BOWシリーズのパンフレットをばーっと並べて写真を撮ることもできたんだけどな。それはちょっと残念。ちなみに、東宝のロゴとBOWのロゴの写真は、「エンジェル・アット・マイ・テーブル」のパンフレットの裏表紙でした。