【先ずは自分の事】

 

日本古来の職人の世界においては、
一人の仕事というのは明確に分かれている。

 

例えば刀鍛冶なら、
町一つが工場のようなもので、
鍛冶と研ぎと仕上げは
全て別の場所で別の人が行う。

 

例えば陶器なら、
整形、絵付け、窯は全て
別の場所で別の人が行う。

 

織物なども同じだ。

そもそも日本の工業というのは、
複数人で分業していたわけ。

 

最近の「手作り」なんちゃらというのは、
一人で全部の工程をやったりするが
それはそこまで伝統的じゃなかったりする。


工程としては西洋的て、
自己満足の要素が大きいのだ。

 

 

さて。
その分業なのたが、
大事なことは、「自分のセクション」であり、
他人のセクションはあまり気にしない。

 

大体他人のセクションを気にしているというのは
気が散っていること以外の何物でもない。

 

気が散っていて
良い仕事などできるはずがなかろう、
というのが職人的考えだ。

 

一つ一つのセクションが
最高の仕事をすれば
自ずと最高の品物が出来上がる。

 

最高の仕事をするために、
各職人は自分のセクションに
一生を費やしていく。

 

良い物が出来るに決まっているわけだ。

 

もちろん、
やすかろう悪かろうの
使い捨て商品には向かないが。

 

 

だから、職人の世界に入ると、
徹底的に一つの作業に打ち込むことになる。


徹底的に、自分のセクションを極めるのだ。

 

人の事よりまず自分。

 

自分が満足の行く仕事が出来て、
若い人間も育て、
引退する間際になって初めて
他の工程の面倒も見るようになる。

 

そういう人は稀だし、
大抵それにはなれない。


また、なる必要もないのだ。

 

セクションをどれだけ小さくしても
その工程を極めていくのは
何処までも道がある。

 

その道を何処までも切磋琢磨するほうが
大事だからだ。

 

 

これを人生に置き換えてみると、
自分の人生というのは、
人類の中で与えられた
一つのセクションと考えることができる。

 

他の人の工程を羨んだり、
わざわざクチを挟んだり、
良いだの悪いだのと言ったところで、

それは良い人生になるだろうか。

 

使い捨てられる人生を
良しとするなら話は別だが。

 

 

なら、

自分のセクションに没頭し
ひたすらそれを極めていく事こそ
人類への貢献であり
自分の役割なのだ。

 

 

自分のセクションを見つけるには、
何より自分自身を整える必要がある。

 

先ずはそれからだ。

だから、まずは自分の事、なのだ。

 

 

 

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