発砲事件で思い出すこと。

 

その昔、マニラの下町の病院でインターをしていました。

ERにいるとガンショット・ウン(銃創)やスタブ・ウン(刺創)が日常茶飯事でした。

帰国してから観たことないなぁ。

日本だと救急救命センターの医師もGunshot Wonudとかまず診ないから、

やりにくいだろうな。

 

まず基本は、

弾丸の入り口(Entrance wound)と出口(Exit wound)を確認することからね。

 

その患者は2階から首のあたりを撃たれていて、

エントランス創は右首の付け根あたりにありました。

入り口の傷は凶器の弾丸と同じ大きさ、

22口径か小さめの弾だと思われました。

 

でも、エクジット創はない。

患者さんはピンピンしているけど、

実際ウォークインの患者さんで順番を待っていました。

とりあえずレントゲンを撮ることすると、

なんと、どこにも弾丸が映らない。

 

???

 

仕方なくシニアレジデントに連絡を取ると、

患者さんをよく診て、

腰の皮下に弾丸があることを見つけてくれました。

 

体腔に入ることなく皮下を伝ってそこまで進んだのね。

 

珍しい症例だと思ったので、

翌朝のラウンドで報告すると、

コンサルタントの先生に、

レントゲンを撮る前にちゃんと患者を診ろと怒られました。

でも、これも勉強、勉強って気にしなかったですね。