さて、野犬はしこたまお酒を召し上がったのでした。

お酒を飲んでいると、時間の経過の早いこと。
在来線の終電は0時近くが一般的ですが、野犬が乗らなければいけないシンデレラ・エクスプレスは22時頃に出発してしまいます。

「また、帰って来れなくなる」との警告通報を受信。
我にかえって、慌てて近鉄に乗ります。
終点京都の降車なので、気を抜いて眠りに落ちます。

「もしもし」と、駅員さんに起されて、計画通りです。
しっかり歩いて、新幹線ホームに到着します。
ちょうど終電です。
名古屋止まりですから、乗り越しの心配なしです。
再び爆睡です。
で、「もしもし」と、駅員さんのお世話になり、名古屋に到着、
もう、野犬のテリトリーです。
どうやっても帰れる範囲に到達したわけで、一安心でした。

中央線に乗り換えます。
すぐに最寄駅に到達するだけです。

耳付けタイマーなど使用する必要もありません。

もう、余裕、余裕の状況です。

すると、、

「もしもし」
「えっ! どこ?」
「終点ですよ」

ガーン。
昨年夏には、気温43度記録した、日本一熱い街。
岐阜県、多治見市です。

戻る列車はもうありません。
駅を出ると、冷たい風が火照った頬に当たります。

0時過ぎ、迎えが来るまで、ポツネンとロータリーの端に立つ放浪野犬の姿が、そこ東濃の盆地にありました。