「大学生活の醍醐味は授業を受けない時間にこそある」と信じて疑わなかったモラトリアムの僕ではあったが、かと言って全く授業に行かないワケでもない。「必ず出席を取る」ありがた迷惑な授業には一応出ていた。そう、一応なので、そこに居るだけで授業を全く聴かず、教室の一番後ろの席でジャイアントコーンを肴にジョン・ダニエルをかっくらっていただけだった。

青竹割ってへこにかく日記-jack

映画『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』のアル・パチーノ演じる主人公がいつも飲んでいるジャック・ダニエル、それを彼は「俺は付き合いが古いからジョンでいいんだ」と言い、ジョン・ダニエルと呼ぶ。僕もそれに倣い、アル・パチーノほどの付き合いは長くはなかったが、初めて出会った時から幼馴染のような打ち解け方をした事もあり、勝手にジョン・ダニエルと呼ばせてもらっている。

青竹割ってへこにかく日記-pacino

そんな折、テスト前最後の授業があった。さすがに前後期のテスト前の最後の授業だけはシラフでないとテスト範囲が分からなくなるので厭々ながら授業を受けるのだが、メインはテスト範囲の確認ではなく「ノート」をコピーさせてくれる子を探すためであった。

そこで筑豊のマイケル富岡ことB君 の登場である。まずはイケメンのB君が女の子に声を掛けてノートを借りる→姉が東大生のI君が近くのコンビニへ走りノートをコピーする→戻ってきたら僕がダブル・ドラゴン(双載龍)のなんくるないO君コマンタレブーなC君 にコピーを回す、という黄金の投手リレーによって僕らは勝ち星を拾ってきた。そして今回もいつもの完封リレーでホッと胸をなでおろし、飲み友達で何度かササラモサラしたYちゃん(チアガール)が可愛い女の子と話してる姿を横目にダラダラと教室を出てC君と待ち合わせてる食堂に向かった。

青竹割ってへこにかく日記-michael

食堂でB定食を食べながら4人でI君の彼女の話をしていたところ、Yちゃんに会った。

Y:『おっす』
僕:『うぃ~っす』
Y:『さっきの○○法のノートと過去問持ってる?』
僕:『うん、ゲットしたよ』
Y:『マジで?コピらせて』
僕:『いいよ~』
Y:『ありがと、んじゃ夜にでも家に行くね』
僕:『あ~い』
Y:『じゃーねー』
僕:『あ、ちょ、待って、さっきの誰?』
Y:『さっきのって?』
僕:『教室で話してたじゃん』
Y:『ああね、同じクラスのZちゃん』
僕:『へー、同じクラスなんやー、超可愛いじゃん』
Y:『ダメよ、彼氏おるけん』
僕:『違うよ、友達になりたいだけだって…』
Y:『う~ん…』
僕:『んじゃあさ、電話番号教えるからかけてって言っといてよ』
Y:『はいはい、わかりましたー(棒読み)』
僕:『よろしく~、じゃーねー』
Y:『んじゃ夜ねー』

I:『そういえば、確かにあの子可愛かったよね』
B:『うんうん、おやっさん(仁義なき戦いマニアの彼は僕のことをこう呼ぶ:山守組組長山守義雄のことらしい)好みやね』
I:『確かにそうやったね~』
B:『おやっさんがさっきの子ゲットしたら~』
僕:『したら?』
B:『鉄ちゃん(仁義なき戦いマニアの彼はI君のことをこう呼ぶ:山守組若頭坂井鉄也のことらしい)と3人で学食1週間づつおごるばい』
I:『そのかわりダメだったら、俺らの分1回でいいからおごってよ』
僕:『よっしゃ、わかった、C君も異存なし?』
C:『スペシャル定食(一番高い)でもいいと?単品は?いくらまで?』
全:『こまかっ!!』

そんな軽いノリで特攻(ぶっこ)んで行く決意をした僕だったが、その後、僕とZちゃんは不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまうことになるのであった。

青竹割ってへこにかく日記-hardluck