今年度も「ジャーナリズム論」の授業を担当、最終的に44本のレポートの提出があった。

今回の縛りは、「2010年代の社会・文化」。2020年も「2010年代」にしたのだが、少し時間が経つと見え方が違うかな、と思ったのであらためて課してみた。

 

一番多かったのは地震・豪雨など災害・事故関連でした。

最近も災害・事故は起こり続けているので、関心が強かったのかもしれない。

 

「地震と日本(東日本大震災を踏まえて)」
「東日本大震災の復興と「ジャーナリズムの存在意義」」
「原子力との関係性について」
「東日本大震災の政府政策、復興について」
「東日本大震災後の原発問題」
「東日本大震災とメディア」
「2018年の西日本豪雨の実際の体験と世間の認識のずれについて」
「西日本豪雨の影響とその後の豪雨災害への意識改革~岡山県倉敷市真備町の被災から復興を見ながら~」
「台風と豪雨、私の人生」
「セウォル号沈没事故から考えるジャーナリズムの存在意義」

 

西日本豪雨については、被害が大きかった地域から大学に来た人たちが、大阪での認知度が低いのに驚いて取り上げる、というのがある。これは2020年も同様でした。

あとはネット・SNS・スマートフォン関連も多い。SNSでの中傷とか、未成年の自殺とスマートフォンとの関連とか、やはり今も続いているので気になるのでしょう。

「インターネットの暴走はマスメディアの罪なのか? 娯楽として消費された人間」
「スマホの導入によって社会はどのように変化したのか」
「Twitterから見るSNSがもたらした社会問題」
「自己体験型デジタルデトックスに関する調査・取材の最終成果報告」
「2010 年代、電子書籍の普及と影響」
「音楽サブスクが変化させた世界」
「10年代の子どもたち」

 

それでいえば、性差・ジェンダーをめぐるテーマも2020年より少し増えた。今話題になっている事象の起源としての2010年代ということですか。


「非多様性国家・日本―拭い切れない同性婚への忌避―」
「マスメディアの影響を受けたLGBTの扱い方」
「ハラスメントと私たちの生きる社会」
「「#MeToo」運動により助長された「男性の生きづらさ」とその社会的認知度」
「2010年代日本におけるクィア文学の流れ、また性的マイノリティに関わる社会運動、教育現場の動きとの関連について」
「マイノリティ文学の変遷」

「文学」が出てきた流れで並べると、今年は文化事象を取り上げたものが例年よりは少なかったような。と言っても並べるとけっこうあるね。「文化」と言っても広うございます。

 

「『かがみの孤城』はファンタジー? 交錯する「現実」を読み解く」
「『刀剣乱舞ONLINE』と地方公共団体・博物館等との関わりとその影響」
「2010年代のVOCALOID文化が社会と未来に与えた影響」
「2010 年代の日本のアニメとアニメ業界の働き方の変化」
「2010年代のアイドル」
「SMAP解散騒動とマスメディアの動き」
「かわいそうとはなにか、本当の情報とは」
「AKB48の人気はイコール大人数の支持によるものか~2010年代にブームを巻き起こしたAKB48の人気の正体~」
「K-POP アイドルから世界へ」

 

アニメーション業界の労働問題はずーっと周辺では話題になり続けているわけですが、他にも労働問題を取り上げたものがありました。

 

「労働を中心とした社会問題」
「教員の実態と働き方改革」

働くということでいうと、殺されてしまったジャーナリストについて興味がある人たちがいましたね。

 

「イスラム過激派とジャーナリズム」
「ジハード」

以下、分類しきれないのですが、本当にいろいろなテーマで書いてくれています。

「なぜ政府はマイナンバー制度に固執するのか」
「ヘイトスピーチはなぜなくならないのか」
「グレタ・トゥーンベリが与えた影響」
「現在のオウム信者の光と影」
「意識高くてなにが悪いの?~意識高い系になってしまっているのは私だった~」
「オーバーツーリズムから考える、これからの観光」
「あべのハルカスと天王寺の歩み」
「新元号『令和』が決定するまで」
 

来年度も担当予定ですが、どういう縛りにしますかね。「2020年代前半をふりかえって」では安易すぎるし。