軽やかに、若々しく 劇団四季「美女と野獣」(2016年4月23日 福岡公演) | オンナひとり気まま日記

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大好きなラグジュアリーホテルや、外で見つけた美味しいものの話がメインです。日々の徒然の他、脱線話も色々。

あんまり舞台公演のリピートってしない方ですが、繰り返し見てるのは劇団四季の「美女と野獣」と「ウィキッド」くらいでしょうか。

と言っても、「美女と野獣」に関してはトータルの回数は今回で5回程度なのでたかが知れてますが、始まりは確か遥か昔の日本初演の頃。
当時はこちらもまだ大学生、今はなき大阪MBS劇場での上演でした。

その後はとんとご無沙汰、次はもうここ5年くらいの間のこと。

その間にここまで見たビーストとベルは、飯田洋輔さん & 坂本里咲さん、佐野正幸さん&鳥原ゆきみさん(いずれも東京)、そして昨年末の仙台で北澤裕輔さん&苫田亜沙子さん、の組み合わせでした。

ここまで、どのキャストであっても楽しく拝見してきましたが、ビーストに関しては飯田さんが若くてやんちゃ指数高めなのに対し、佐野さん、北澤さんはわりと臆病&繊細系でしょうか。

ベルは、坂本さんと鳥原さんは王道の明るい溌剌路線で、苫田さんは孤独感をビーストと共有する、内省的な要素が強いタイプに見えました。

(苫田さんは、はっちゃけたグリンダの印象が強かっただけに意外かつ新鮮)

さて、この日は久々のキャナルシティ劇場。5年前に出張で数週間福岡に滞在していた頃、週末に見にいった「ウィキッド」以来だなあ。


ここ、広々していていいですよね。
以前は四季専用劇場でしたっけ。

「舞台小道具展示中 平日公演限定」って、何でやねん。週末だけ舞台で使ってるわけでもないだろうに。


小道具はなくとも、撮影スポットはこちらを含めて何ヵ所か。


この演目はグッズ売場も華やかで良いですね。
幸せの黄色いドレス姿、ベル人形。


まだそんなに散ってないバラの花。


さて、この日のキャスト。
佐野さんビーストに、平田愛咲さんベル。


佐野さんビースト、通算2回目ですが、前回見た東京大井町の夏劇場、あそこは音割れしやすい仕様なんですかね。この日の方が遥かに聞きやすかったです。

相変わらずあんまり荒々しくはないビーストですが、図書館でベルに心を許して尻尾を垂れながらちょこんと手すりに腰を下ろしている姿とか、いちいち可愛いこと。
この方は、顔だけじゃない、全身の表情の演技がよいんですよね。

一幕最後の「愛せぬならば」、あれは個人的にはもともと重厚低音ヴォイスの方が高音域で歌うのが好きかな。なので、自分が見た中で言うとバリトンの飯田さんが好み。

でも、佐野さんのも勿論丁寧で良いです。
後にリプライズで同じメロディーを歌うところは、父を助けようとするベルを解放し、一人になってから、彼女のためにこれでよかったんだ…という気持ちと、もう永遠に元に戻る手立てを失った…という絶望との交錯が見事ですね。

ただ、全般的には笑いをとるシーン含めて自在にこなしている分、想像していたより割りと軽めという印象かな。
もっとも、最近見た佐野さんは名古屋でのファントムだったので、勝手にそちらと比較していたのかもしれない。まあ、ディズニーのお伽噺だし、そんなに重くてもなんですよね。

ベルの平田愛咲さん。表情豊かで笑顔が可愛い、いかにもディズニープリンセスらしいキャラ。伸びのある歌声も魅力的ですが、動きがまた躍動感ありますね。文武両道系ベル。

あと、良いなあと思ったのは、ビーストとのディナーからダンスへ入るシーン。
モジモジして伏し目がちなビーストの顎にベルがついっと指を伸ばして、顔を上げさせるんですが、あれ、わりと指先だけでやるベルが多くないですか。

何かあれヘタすると、イヤにベルがスレた女に見えそうな気がしてイマイチ好きません(坂本さんくらいなら、「ね、姐さんっ!」と拝みたくなるかも)。

ですが、平田さんはもっと手全体でそっと優しく、そしてごくさりげなくやっておられたのが良かったです。

ガストンは高橋基史さん。ディズニーアニメ再現度200%の田島亨祐さんで2回見た後、昨年仙台で初めてだったのですが、何だかマトモにカッコいい。
あんまりアホっぽくなく、さりとてダークな悪役に走りすぎてもおらず。
これだったらベルはビーストじゃなく、ガストンと一緒になってもそれなりに毎日楽しいんでは…と思ってしまった。深みのある声も素敵です。

コグスワースの青羽剛さん、お茶目な明るいおじさん。口うるさいタイプにもうひとつ見えないのは、相手のルミエール役の俳優さんのタイプにもよるのかな。何か、網やらロープやらでルミエールをつかまえようとするんですが、翻弄されてる感がわりと希薄なんで、ひとりで空回りしてるように見えなくもないような。

そのルミエールの岩城雄太さん、妙に爽やかで真面目なルミエール。もうほんのちょっとばかり、軽さ、エロさがあるといいなあ。
でも、ベルは美しいのに自分はこんな…と嘆くビーストに対して、「たしかにぃー」と妙に棒読み口調で返すところとか、台詞の間合いは面白いので、今後に期待。

さて、この日の夜公演は、笑いも、拍手もレスポンスのいいお客さんが多かった気が。

終演後、近くの女性二人組が、

「最後の、あの王子様に戻るところ!カッコいいよね~。凄いスタイルがいいの!」
「そう、足がシューッ!てしてて」

って、エキサイトしてた。

うん、佐野さん若いよねえ。
何か、前回ビーストで見た時以上に若返ってる感じも(あ、先に書いた「軽め」って印象はもしかして、その裏返し?)。

なので、ビースト=王子の顔を久々に見た
コグスワースが、「あの若い人は誰」というシーン、佐野さんの時は違う理由で観客が笑ってんじゃないか…なんて心配は杞憂であった、良かった(はあ?)。

あと、些細ながら佐野さんビーストで好きなのは、ラストシーンの妙なカツラでもそれなりにカッコよくみえるところ。
あのカツラ、「オペラ座の怪人」のクリスティーヌの前髪つき爆裂ソバージュと同等の難物かと思います。

北澤さんとか、玉木宏系統のかなりのイケメンだと思うんですが、あの髪だと妙に老けて見えるというか、何か期待してたほどの美麗王子への変化とはいかなくて、ガッカリした記憶が。

あのカツラ、前に見た動画でブロードウェイの舞台の男優が被っててもイマイチ、なのがあったので、必ずしも日本人顔だから似合わないってものでもない気がします。

じゃ、いったいどういう顔の人がいいんだろう。佐野さん顔か。

…何か、ハードルが一層高くなったような、ある意味。

まあ、何だかんだで楽しい、大好きな演目です。中井智彦さんが退団されたようなので、そろそろ久しぶりに新ビースト見たい気もしますけどね。
今のキャスト3人とのバランス的には、次はもう少しやんちゃで暴れん坊なビースト希望。

さて、終演後、キャナルシティで食事をして外に出るともう夜の9時半過ぎていましたが、キャナル名物の噴水ショーはまだやっていて、最後の曲が「ビー・アワ・ゲスト」でした。
何だか無性に嬉しかったな。