当世風イギリス料理を楽しむ(ストリングスホテル東京インターコンチネンタル) | オンナひとり気まま日記

オンナひとり気まま日記

大好きなラグジュアリーホテルや、外で見つけた美味しいものの話がメインです。日々の徒然の他、脱線話も色々。

「イギリス料理は美味しくない」って最早言い古されすぎた感じもあり、今さらなんですが。

個人的感想としては、全てが何もかも不味いってことはないし、家庭料理はシンプルながら、日本人の嗜好に合う美味しさのものも多いんじゃないかと思います。

(あ、それでも、サンデーローストのお肉に添える野菜が火を通しすぎだとか、せっかく別々に調理したらしい付け合わせが最後にぶっかけるグレービーソースの魔法で結局全部同じ味に、てなことは…ないですよ。絶対。多分。…ひょっとすると)

とは言え、外で食べるとなると、都市部で仮に1,000円相当払った場合の満足度で言えば、質とバラエティの豊富さの点で日本とやはり差はあるかなあと思います。

あと、何気なくふらっと入った、有名でも何でもないお店が当たりだった!という確率も、他のヨーロッパ諸国(特にラテン系)に比べたら、やっぱり低いのかなあと。

…それって結局不味いってことと同じだって言われちゃいますかね。

でも、かれこれ10年前、留学でかの国に住むようになった時、スーパーのプライベートブランドで展開してるレディミール(要はレンジでチンするだけ、みたいなアレ)のバラエティにはちょっと感心。昔ながらの定番から、アジアン・エスニックまで幅広く、マークス&スペンサーのとかは、味もまあまあと思うことも多し。

「イギリスで旨いものを食べたければ、朝食を一日に3回食べたらよい」等とのたもうたサマセット・モームよろしく、レディミールを3回、とは申しませんがね、青少年の健全な食育の観点からも。

とは言え、そうした「イギリス料理」に対するステレオタイプを払拭すべく…あるいは、むしろ逆手に取ってかもしれませんが(何せ、皮肉と諧謔は国技のようなお国柄 ) 、駐日英国大使館では「A Taste of Britain」という、英国の食の楽しさを広めるキャンペーンを実施しています。

しかし、「キャンペーン」と言いつつも、2006年開始ということは早10年?いや、長いですね。地道な活動、頭が下がります。

駐日英国大使館のレシピをクックパッドで紹介したり、毎年3月に幕張で開催される食の展示会Foodexに出展したりと、継続的な啓蒙活動が多いのですが、スポット的にホテルとタイアップする試みなども。

そんな活動の一環として、ただいま品川のストリングスホテル東京インターコンチネンタル(長い名前!)では、「Taste of Modern British テイスト オブ モダンブリティッシュ」というフェア開催中です。



伝統的なイギリスの素材や調理法に、他のヨーロッパ諸国やアジアの料理の要素を取り入れ、現代風にアレンジしたのがモダンブリティッシュ。

今回のフェアでは、英国大使公邸の総料理長監修のレシピも2品登場とのことで、これは楽しみではないですか!

というわけで、ストリングスホテルの「ザ・ダイニングルーム」へやってきました。

…う。すごく暗いすね、照明。
ここ、品川にオフィスのあるお取引先とランチミーティングで前に来ましたが、そう言えば夜は初めてだ。

いや、夜だし、ホテルだし、って話なんですが、この暗さ、いわゆるレストランじゃなく、完全にバーとかのレベル。

でも、暗いって言っても、雰囲気があって、いいんですよ。吹き抜けの広々した空間は、昼も夜も快適です。


アラカルトメニューにも魅力的なお料理が満載ですが、ここはストリングスホテルのスペシャリティ、「タパタイザー」のコースを頂きましょう。

「タパタイザー」とは、「タパス」と「アペタイザー」を組み合わせて、同ホテルが産み出した独自のスタイル。バラエティ豊かな冷たいお料理、温かいお料理を少しずつ、タパスポーションで提供してくれるというものです。

…色々なものを少しずつ味わってみたい人の他、前菜フェチにもたまらんコンセプトです。

まずはディップが登場。
手前から時計周りにフムス、グリーンピース、カボチャです。


こちらでは、パンのお伴はバターの代わりに、この色とりどりのディップです。
一つ一つ結構味の違いがはっきりしていますよ。


続いて、冷たいタパス。
右側の縦長のお皿は、上からフォアグラミルフィーユ、カニと野菜の湯葉ロール、イチジクの生ハム巻き。

左側は、奥から時計周りに、 マッシュルームのシガレット(チーズのパリパリおせんべい付)、 マグロのタルタル、ゴートチーズと生ハムのピンチョス、穴子の押し寿司、サーモンマリネ。


冷前菜は、割りとどれも優しい味。
個人的に特に好みだったのは、野菜のシャキシャキした食感が楽しい湯葉ロールと、シンプルながらマッシュルームとチーズの組み合わせが気の効いたシガレット。

温かいタパスは左下から、いわいどり、ポークロースト、タラの芽のフリット、芽キャベツとベーコンのクリームスープ。

鶏はお箸に刺した面白いプレゼンテーションですが(黒いお箸、横に刺さってます。写真では判りづらい)、旨みもしっかり、小さいポーションでも存在感と食べ応えあり。
ポークはローズマリーの風味が素敵。

スープは、芽キャベツのほろ苦さが活きて、クリーミーな優しい風合いにアクセントを添えていました。
タラの芽フリットは、天ぷらそのもののように、カリッとした仕上がり。

これで既にかなりお腹一杯になった気がしますが、いよいよメイン料理。
「天草ポークベリーのロースト アップルソース添え」です。

これ、英国大使公邸総料理長監修レシピの1つだそうです。

ここまで小さなポーションのものが続いていただけに、突如、かなりの迫力であります。

写真では大半がお肉に隠れていますが、付け合わせは、ジャガイモ、ナガイモのソテーに、ニンジン、ルッコラ、菜の花素揚げ。これも結構なボリュームがあるのです、実は。

ポークベリーということは三枚肉(豚バラ)だから、脂肪の多い部位ですが、カリッと香ばしく焼きあがっていました。

強いて言えば、お肉の量がタップリなので、それに合わせて手前のアップルソースはもう少し量があっても良かったかな?

デザートは、これまた大使公邸総料理長監修レシピのホワイトチェダーチーズケーキも気になりましたが、もう少し軽いものが食べたく、イートンメスを選択。


砕いたメレンゲの下には、ホイップクリームにアイスクリーム、イチゴがたっぷり。


特にそれ自体に風味付けしていないメレンゲってそれだけ食べても、さくさくした食感だけでピンときませんが、柔らか&ひんやりのクリームやフルーツとの組み合わせは最高ですね。
子供から大人まで、万人受けするデザートではないでしょうか。

うん、お腹一杯、大満足!
日本でイギリスの味を…となると、とりあえずパブでフィッシュ&チップスか、シェパードパイ、はたまたジャケットポテト…?と思いますが、たまにはこんなスタイリッシュで洗練されたモダンブリティッシュ、良いぞ良いぞ。

このストリングスホテルでのフェアは、3月31日までですが、こんな美味しい啓蒙活動、今後も大歓迎です。

ごちそうさまでした!

#英国アンバサダープログラム