さて、このホテルに宿泊する大半の方がこれを目的に来られるであろう、「世界一の朝食」。
何だかここ数年、「世界一の朝食」というと、例のオーストラリア発のレストラン、「bills」のことになってしまいましたが、こちらは日本上陸が2008年とのこと。
なので、日本での世界一キャリア (?) は、2000年から今の形のオーベルジュになった北野ホテルの方が長いのかな。
ま、それはどうでもよいか。ともかく、当ホテルの山口総支配人が師事されたフランス料理界の重鎮、ベルナール・ロワゾー氏直伝の朝食はヨーロピアンスタイルで、朝から優雅な時間を演出してくれます。
…あ、ホテルはイギリス風の外観と内装ですが、朝食はコンチネンタルタイプです。イングリッシュ・ブレックファーストではありません、念のため(当たり前!)。
こんなメッセージがテーブルには添えられています。
中はメニューの説明が、イラスト入りで分かりやすく。
まずはジュース。サラダの出ないコンチネンタル・ブレックファーストにあって、これが「飲むサラダ」。寝ぼけ眼にも鮮やかなヴィヴィッドな色味だけではなく、果物と野菜の滋養タップリです。
右の一番ノッポのグラスから順に、グレープフルーツ、青リンゴとパセリ、フリュイルージュ・トマト、人参とレモン、レモンの5種類です。
こちらもちゃんと説明のメモ付ですね。
コンソメベースの野菜スープ、季節のフルーツコンポート、タピオカオーレに、ヨーグルト。
タピオカオーレの味は日替わりのようですが、この日はショコラ味。これが意外な美味しさ!甘さは思いの外控えめで、カカオの風味が、プニッとしたタピオカ、カリカリのナッツと、お互いケンカせず、それぞれの存在感は抜群でした。
ハム。ジャンボン・ブラン(ボイルハム)とジャンボン・クリュ(生ハム)の2種類。
素材のよさを感じます。
しみじみ味わい深いプルーンの紅茶煮と、ハーブやトマトを練り込んだオリジナルのバター。
パンとコンフィチュール。これだけバターとコンフィチュールの種類が豊富だと、相当パンの食べ甲斐もあるというものですが、お腹一杯で食べきれなかったら、パンは包んでお持ち帰りさせてくれます。
何でもないことだけど、ほぼ食べ終わりの段階でパンが残っていると、「お持ち帰りされますか?」って声をかけてくれるのが嬉しい。なかなか、自分から聞きづらい人もいるでしょうし。
栗の花のハチミツ(中央) with コンフィチュール5種類。コンフィチュールは、中央上の白っぽいのから順に、バニラミルク、リンゴとレーズン、アーモンドペースト、ルビーグレープフルーツとライム、マンゴーとオレンジと胡椒(これもイラストで説明がついてます)。
一番好きだったのは、マンゴーとオレンジと胡椒。他も勿論美味しく頂いたのですが、これは胡椒の風味がフルーツの酸味、甘みを殺すことなく、見事なアクセント。何か、ちょっと中毒性ありそうだ、これ…。
半熟卵と、銀色のはエッグカッター。使い方に一瞬戸惑いますが、エッグカッターの帽子みたいなのを玉子にかぶせ、上からボールを2回ほど落とすだけ。案外原始的?
ボールをガツンガツンと落とすときちんと切れ目が入るので、後は殻を外すだけ。
殻が飛び散ったりはせず、案外きれいな切れ目ができるもんです。
これ自体は、何てことはないですし、殻くらいいつも通り、卵の角っこ叩いて割れ目入れればと言う向きもありましょうが。でも、こういうささやかなエンターテイメント要素もまた一興。
最近は、ホテルの朝食に限らず、海外から参入のレストランを中心にオールデイ・ブレックファーストの選択肢も相当増えているので、色々食べ慣れた人には、ここのはシンプルに映るかもしれません。
ですが、華美さや品揃えの豊富さを越えた価値は確実にあると思います。ひとつひとつの食材の質の高さは勿論ですが、さりげない遊び心や気遣いが、この朝の時間をゆとりある、上質なものにしてくれている気がします。
まあ、長々書いてしまいましたが、能書きや権威やらは基本好きではない私も、すっかり魅了されてしまいましたので、百聞は一見に如かず、いえ一食に如かず。
神戸観光の際はお試しを。
または、いつもよりもアップグレードしたお泊まり女子会に使えば、気分が上がることは間違いなしでしょう!