●米国ジョージア州イーストレイクGCで開催中の

 男子プレーオフ最終戦であるツアー選手権

 3日目サヒス・ティーガラ選手が自己申告で

 2罰打を受けたそうです。

  → GDO記事

 

 

サヒス・ティーガラ選手

インドから移民した両親を持つ26才の米国籍プロゴルファー。

 

 

 3番ホール(Par4)の2打目を右のフェアウェイ

 バンカーから打ちましたが、ホールアウト後に

 テイクバックの際にバンカーの砂に触れたかも

 しれないと思い始め、次の4番ホールで自己申告

 したそうです。

 

 

 

 ゴルフ規則12.2bでは、バンカーショットする

 前に砂に触れてはいけないことになっています。

 この規則に違反した場合は、一般の罰(2罰打)

 なります。

 もし、今回の自己申告をせず、ホールアウト後に

 この事象が発覚した場合には「失格」となって

 しまいます。

 

●というのが規則上のお話しですね。

 しかし、サヒス・ティーガラ選手はほんとうに

 砂に触れたのでしょうか。

 委員会側は、ショットの後方からの映像では、

 クラブヘッドが砂に触れたことは確認できないと

 判断しました。

 

 しかし彼は、「砂を数粒動かしたような気がした」

 と自己申告しました。

 彼以外に真実はわからない出来事だと言っても

 差し支えないでしょう。

 

 このことから、彼はゴルファーの振る舞いとして

 とても大切なことを教えてくれたと思います。

 周りの人が気づくか気づかないかは問題では

 なく、自分がゴル不規則に違反した

 (かもしれない)と思った(あるいは感じた)ときに

 どのような行動をするかのお手本を見せてくれて

 いると思います。

 

 「判断に迷った時には自分に不利なほうの結論を

 出す。」ことは、ゴルファーとしての誠実さの

 表れです。

 そして、最もすばらしいと思うのは、「自己申告を

 した」という事実です。

 (プロ)ゴルファーなら当たり前のことです。

 しかし、彼自身は100%砂に触れた確信がある

 わけではありませんでした。

 それでもかなりの確率で砂を動かしたと自分で

 思っていて、(人に言われるのではなく)自分で

 自己申告の判断を行いました。

 

 多くのプロゴルファーやアマチュアゴルファーが

 同じようなバンカーショットをして同じように

 感じたことを想像したときに、どれくらいの数の

 選手が自己申告するでしょうか。

 

 今回の自己申告、「ゴルファーとして当たり前の

 こと」ではあるのですが、実はそれほど簡単な

 ことではないと感じているのは自分だけ

 でしょうか。

 今回のGDO記事にも「ゴルフの精神を貫いた」と

 いう表現がありますが、ゴルフというスポーツが

 プレーヤーに求めているものを

 サヒス・ティーガラ選手は身をもって示して

 くれたと思います。

 

 「スコア至上主義」は、ゴルファーに求められる

 「誠実さ」の邪魔をする要因の一つかもしれません。

 

 

 

サヒス・ティーガラ選手、ほんとうに良い

 お手本を見せてくれました。

 

 この自己申告をしたことで、彼自身もスッキリ

 したのかもしれません。

 その証拠に彼の後半のプレーが凄いんです。

 7バーディ1ボギー、5アンダーでラウンドし、

 単独3位で3日目を終えました。

 

 

 

 

 

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以下、2024(R06).09.02(月)に追記。

 

 米国男子プレーオフ最終戦ツアー選手権最終日の

 サヒス・ティーガラ選手の成績。

 

 

 

 最終日は、8バーディ1ボギーで4日間トータル

 24アンダーの単独3位の成績でした。

 もし、自己申告せずに26アンダーで終えていたら、

 C.モリカワ選手と同スコアとなり2位タイでした。

 

 2位タイと単独3位の賞金額の差は、

 $2,500,000(3億6,530万円)になります。

 

  1位:$25,000,000 (36億5,300万円)

  2位:$12,500,000 (18億2,650万円)

  3位:$ 7,500,000 (10億9,590万円)

  2位タイ2名の場合は、2位と3位の賞金額を合計

  して半分にしますから、

  $10,000,000(14億6,120円)になりますね。

   ( )内は本日(9/2(月)11:40(JST)146.12円の

   米ドル-円換算値です。)

 

 自己申告で3億6,530万円を損?したことに

 なりますが、このことをどのようにとらえるか。

 ん~、このような世界で戦うことのない一般人

 なら間違いなく後悔するでしょうね。

 

 日本と米国ツアーの賞金額にはあまりにも大きな

 差があります。

 特に今回のPGAツアー最終戦のツアー選手権では

 賞金総額1億ドル(146億1,200万円)と高額です。

 そのことを思うと、日本のプロゴルファーの

 多くも後悔するかもしれませんね。

 

 「(テイクバックで)クラブが砂に触れたかも

 しれない。」という自分でも確信が100%ない事象で

 3億6,530万円を失いましたが、それこそが

 ゴルファーとして最低限必要とされる

 「ルールを守る」行為ではないでしょうか。

 

 常に審判がいるスポーツではありません。

 プレーヤー自身が自分のプレーをジャッジ

 しなければいけません。

 スコアや賞金額の大きい小さいで自分の

 誠実さを失ってはゴルフというスポーツは

 成立しませんね。

 例えば、ロストボールの現場で卵を産んだ

 選手が優勝したり上位入賞するなんて

 許されませんよね。

 

 

 3位という好成績で終えたサヒス・ティーガラ選手、

 改めてとても良い見本を見せてくれたと思います。