現地時間2024(R06).06.08(土)のできごとです。

 

■米国ニュージャージー州のシービューベイコース

 で開催された

 「ショップライトLPGAクラシックby Acer」で

 畑岡奈紗選手が失格となりました。

 

 この大会は、6/7(金)~9(日)の3日間大会です。

 

 

■失格が言い渡されたのは、大会2日目6/8(土)の

 朝、畑岡奈紗選手のスタート前でした。

 

 前日(6/7(金))の第1ラウンドの最終9番(Par5)で

 グリーン右のブッシュに打ち込んだ2打目のボール

 捜索に3分以上かかっていたことがアテスト

 終了後に判明したとのことです。

 

 

■失格に至るルール上の判定経過

 9番ホールでブッシュに入った第2打目の捜索に

 3分以上がかかっていたことが後に判明した。

 これは、ゴルフ規則18.2a(ボールの捜索時間)

 3分以内と定められています。

 次に本来なら3分以内にボールが発見できていない

 ため、ロストボールの処置をしなければいけない

 ところ、3分以上かかって見つかったボールを

 アンプレヤブル処置して4打目を打ったことから

 ゴルフ規則14.7b(誤所からのプレー)に抵触

 しました。

 すでにホールアウトしアテストを終えて

 しまいましたから、ゴルフ規則14.7bの「重大な

 違反がある」との裁定で失格となりました。

 

 

■なぜ3分以上とわかったのか。

 それは現場にいた米テレビ中継局関係者の指摘

 よるものでした。

 過去からテレビ視聴者による指摘で大会終了後に

 失格などの裁定が下るケースが増えていたこと

 から、2017(H29)年にゴルフ規則20.2Cが追加

 なっていて、「ビデオに映る事実が肉眼で

 合理的に見ることができない場合、そのビデオの

 証拠が規則違反を示していたとしても採用

 しない」とのことです。

 しかし、今回の中継局関係者の指摘は、この

 ゴルフ規則20.2Cに該当しないと判断されて

 しまい、そのビデオの結果3分25秒であったことが

 わかったとのことです。

 

 

■裁定への疑問2つ。

 一つは、中継局関係者であれば、

  ゴルフ規則20.2Cに該当しないとのことですが、

 その理由が「信頼できる情報源」だったとの

 ことです。

 まるで一般視聴者がテレビで見ている情報が信頼

 できないと言っているようです。

 このスー・ウィッター競技委員長の判断には首を

 かしげたくなります。

 

 二つ目は、2023(R05)年の改正でボール捜索後に

 自分のボールであることを確認する合理的な

 時間は「1分」と明確化されたのですが、今回の

 ケースではそれが採用されていないのでしょうか。

 これは、ゴルフ規則詳説の18.2a(1)/3に明確に

 記載されています。

 ボールが見つかった瞬間が3分を超えていたら

 間違いなくロストボールとなり、今回の裁定は

 正しいということになるのですが。

 以下にその詳説の全文を掲載します。

 

 18.2a(1)/3 – 「球を確認するための合理的な時間」の意味
  規則18.2a(1)は、見つかった球がプレーヤーの球であると

 思われる場合、そのプレーヤーは見つかったその球を

 速やかに確認しなければならないことを規定している。

  そして、球を確認する場合、プレーヤーはその球を確認

 するために合理的な時間が認められている。
  しかしながら、3分間の捜索時間中に球を見つけて確認

 するのであれば、その3分間の中で十分に時間をかけて確認

 することができるが、球が3分の捜索時間ぎりぎりに

 見つかった場合は、球を確認するためにプレーヤーに

 1分以内の時間を認めることが合理的である。
  例えば、プレーヤーは球を捜し始めてから2分30秒で球を

 見つけたが、その球が自分のものであることをすぐには確認

 することができなかった。この場合、そのプレーヤーには

 その球を確認するために1分の時間を認めることが合理的で

 あり、つまりプレーヤーは球を捜し始めてから3分30秒以内で

 その球を確認することができれば、その球は紛失とは

 ならない。

  しかし、プレーヤーが3分の捜索時間が終了した後にその

 球が自分の球ではないことが分かった場合、その球はもはや

 紛失となっており、プレーヤーがさらに捜索する時間は

 ない。
  同様に、球が3分の捜索時間ぎりぎりに見つかったが、

 プレーヤーがその球が見つかった場所にいない場合、

 規則18.2a(1)はプレーヤーがその球がある場所に行くための

 合理的な時間も認めており、そこに到着してから、

 プレーヤーがその球を確認するために1分以内の時間が

 認められる。(新)

 

■今年はパリオリンピックの年です。

 現状では、日本からは2名しか参加できないかも

 しれません。

 先週、全米女子オープンで優勝した

 笹生優花選手はオリンピック出場が決定です。

 その2番手を行くのが畑岡奈紗選手ですが、僅差で

 古江彩佳選手や山下美夢有選手が迫っています。

 

 今回の失格裁定がパリオリンピックへのキップに

 どのように影響するのでしょうか。

 

■「ゴルフ」というスポーツですから、裁定は

 受け入れなければなりません。

 ゴルファーとして。

 

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 2024(R06.06.24(月) GDO記事

 「パリ五輪」(8/22(木)~25(日)、

 ル・ゴルフ・ナショナル(フランス)の日本代表に

 笹生優花山下美夢有が確定。

 

 

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2024(R06)0629(土)追記

 

 

 

 畑岡奈紗選手失格について「理不尽」との記事

 掲載されました。

 多くの人が同じように感じているのでは

 ないでしょうか。

 

 パリオリンピックの代表を逃した畑岡奈紗選手、

 この事象が影響したのかどうかは本人にしか

 わからないことかもしれません。

 ただ彼女は今回の裁定を真摯に受け入れると

 ともに問題提起(3点)もしています。

  →畑岡奈紗選手インスタ

  →GDO記事

 

 自分も違和感を感じている一人です。

 前提として、メディア等による画像が残っていて、

 「プレーの真実」が確認できるのならば、

 それによる裁定については好ましいことであると

 思います。

 人の目で補足できない「事実」が映像で確認できる

 のならばより実態に則した裁定ができると思う

 からです。

 

 しかし現時点では問題をはらんでいます。

 個人的には問題点が三つあると思います。

 1点目は、畑岡奈紗選手の言うように、

 全ての選手のプレーの画像が残せないことです。

 これでは公平性を欠きます。

 

 2点目は、2017(H29)年にゴルフ規則20.2C

 ビデオの証拠を採用しないと定めていることです。

 今回の問題の発端となったのは、テレビ局の

 関係者だとかレポーターと言われていますが、

 スー・ウィッター競技委員長は、

 「信頼できる情報源」との判断で採用しました。

 このダブルスタンダードともいうべき裁定には

 大いに疑問があります。

 

 3点目は、ボールが見つかって処置をする際に

 そばに競技委員が居たことです。

 この競技委員は、捜索時間には関与していない

 などと語っているようですが、競技委員としての

 責務が果たせていないと言われても仕方がないと

 思います。

 テレビ関係者からの情報に対するこの競技委員の

 姿勢にも疑問を感じます。

 

 これらの問題は、次回のゴルフ規則改正に大きな

 影響を与えるのではないかと思っています。

 

 

 

✓今回の事象、ボランティア業務を行う際に注意

 しなければいけない点を示唆してくれています。

  [ボールの捜索3分間の開始時刻に関わる内容]

  [です。                 ]

  [ボールの捜索開始のタイミングは選手   ]

  [またはそのキャディが探し始めた時...  ]

 

 普段の活動では、ボランティアがこのような

 状況に影響を与えることはまずないと思います。

 

 可能性としてあるのは、女子ステップアップ

 ツアーなどでボランティアがカート運転する

 場合でかつ「ノーキャディ」の時です。

 一般的にJLPGAの大会ローカルルールで規定

 されていないため、カート運転する

 ボランティアは、その時点で「キャディ」の

 位置付けになります。

 そのような状況で、カート運転している

 ボランティアが選手よりも先にボール地点に

 向かい捜索を始めると、「3分間の捜索スタート」

 になってしまいます。

 プレー中はカートに乗ってはいけない選手が

 遅れてやってきても3分間フルで捜索することは

 できません。

 「早く見つけてあげよう」、よかれと思い起こす

 行動が選手に迷惑をかける結果になってしまう

 ことに注意しなければいけませんね。