・「第1章 エチケット」は、

 2019(H31)年1月1日(火)の大改正で

 ゴルフ規則から消えてしまいました。

 

・ゴルフがどのような競技なのか、

 何を大切にしているスポーツなのかが

 わかりやすく記載されていました。

 初めて見た時には、ほかのスポーツの

 ルールブックにはない記載でははない

 かと思いました。

 

・ゴルフというスポーツをするならば必ず

 知っておきたい大切な内容が書かれて

 います。

 そして実践することが求められています。

 2019(H31)年の大改正でなぜこの項目が

 抹消されたかは不明です。

 一部には、この考え方(エチケット)が

 各規則の中に反映されたのではないか

 との意見もあるようです。

 ただやはり、多くの人にわかりやすく

 明文化した形態を残した方が良かった

 のではないかと今でも思います。

 

・ゴルフのルールを初めて規定したのは

 1744(寛保4年)年の「13条ルール

 だそうです。

 現在の規則とは構成が全く違いますが、

 「エチケット」についての記載が始まった

 のはいつからなのでしょうか。

 

・ゴルフ規則は4年に1度オリンピックの年に

 大幅な改正が行われてきました。

 4年ごとにジャケットも変わっていますね。

 

 

 手元にある最も古いゴルフ規則は

 2001(H13)年のものですが、すでに

 「第1章 エチケット」の記載はあります。

 

・2001(H13)年から現在までの「エチケット」に

 関する記載をまとめてみました。

 全体として大きな変化はありませんが文言の

 追加や変更が行われています。

 

 

・特筆したいのは、2004(H16)年から、

 「ゴルフの精神」という項目が追加された

 ことです。

 2019(H31)年の大改正までの15年間

 謳われてきました。

 ルールブックにあえて「ゴルフの精神」という

 項目を追加した意図には興味があります。

 しかし今はもうその記載はありません。

 「ゴルフの精神」の記載もそうですが、

 「第1章 エチケット」の明文化がなくなって

 しまったことはとても残念です。

 

・大改正以降、以前のゴルフ規則書を

 捨ててしまったジュニアの話を聞きました。

 「ゴルフの精神」という言葉自体を知らない

 ジュニアは今後も増えていくのではないかと

 心配です。

 仮に「ゴルフの精神」という言葉を

 知らなくても「ゴルフの精神」を含む

 「第1章 エチケット」が求めるところの

 理解が身につけばいいのですが。

 

 

 

※2013(H25)年にR&Aが作成したエチケットビデオが、

 JGAのサイトに全編日本語吹き替え版として掲載

 されていますので参考にしてください。

 「R&Aエチケットビデオ(日本語吹替版)全編

 

 

 

 

 

 

 

※「ゴルフの精神」を含む「旧第1章エチケット」が、

 ゴルフというスポーツの意味やあり方を最も

 的確に表している。とまでは個人的には

 思っていません。

 ゴルフがどのようなスポーツであるかをさらに

 的確に表現できるものがあるのではないかとも

 感じています。

 しかしこの「第1章 エチケット」に代わるものを

 知りません。

 現時点では、「第1章 エチケット」をよりどころに

 することが一番ではないと思います。

 

 

※「ティーインググラウンド」など2019(H31)年の

 ゴルフ規則大改正で、現在では使われていない

 言葉もありますが、原文のまま以下に紹介します。

 

 

以下は2016(H28)年

「第1章 エチケット」の全文、

最後バージョンです。

 

 

◎コース上での心得

 

はじめに

 この章ではゴルフゲームはどのようにプレー

されるべきかというゴルフのマナーについての

ガイドラインを規定しているが、これが守られれば、

プレーヤーがみなゴルフを最大限に楽しむことが

できるだろう。この章全体に通じる基本的な考えは、

コース上にいる他の人に対しても常に心を

くばるべきということである。

 

ゴルフの精神

 ゴルフはほとんどの場合レフェリーの立ち会い

なしに行われる。また、ゴルフゲームは、

プレーヤーの一人ひとりが他のプレーヤーに

対しても心くばりをし、ゴルフ規則を守って

プレーするというその誠実さに頼っている。

プレーヤーはみな、どのように競い合っている

ときでもそのようなことに関係なく、

礼儀正しさとスポーツマンシップを常に

示しながら洗練されたマナーで立ちふるまう

べきである。

これこそが正に、ゴルフの精神なのである。

 

安全の確認

●プレーヤーは、ストロークや練習スイングを

 する場合、次のことを必ずよく確かめるように

 するべきである。

  (a)近くに誰も人が立っていないかどうか

  (b)クラブや、球や石、砂利、木の小枝などが

    飛んでいって当たりそうな場所に誰も人が

    立っていないかどうか

●プレーヤーは、前の組のプレーヤーだちが球の

 届く範囲外に出るまではプレーを始めては

 ならない。

●プレーヤーは、近くや前方にいるコース

 作業員に危機な思いをさせる可能性の

 あるときは、ストロークを行おうとする前に

 必ずその人たちに注意するよう声を掛ける

 べきである。

●打った球が誰か人に当たる危険性のある方向に

 飛んで行った場合、プレーヤーはすぐに大声で

 危険を知らせるべきである。そのような場合

 には伝統的に使われてきている掛け声は

 「フォー!!」である。

 

 

◎他のプレーヤーに対する心くばり

 

他のプレーヤーの邪魔にならないように

●プレーヤーは常にコース上の他のプレーヤー

 たちも心くばりを示すべきで、むやみに

 動いたり、話し合ったり不必要に音を

 立てたりして他のプレーヤーのプレーの邪魔に

 なるようなことをしてはならない。

●プレーヤーは、どのようなものであれ

 コース内に持ち込んだ電子機器が他の

 プレーヤーの集中を乱すことのないように

 留意するべきである。

●ティーインググラウンド上では、プレーヤーは

 自分の打順となるまでティーアップしては

 ならない。

●他のプレーヤーがプレーを始めようとしている

 ときに、プレーヤーはそのプレーヤーの球の

 近くや真後ろ、あるいはホールの真後ろに

 立ったりしてはならない。

 

パッティンググリーン上

●パッティンググリーン上では、プレーヤーは

 他のプレーヤーのパットの線上に立ったり

 してはならない。また、他のプレーヤーが

 ストロークをしているときに、

 そのプレーヤーのパットの線上に影を

 落としたりしてはならない。

●同じ組のプレーヤー全員がそのホールの

 プレーを終えるまで、その組のプレーヤーは

 パッティンググリーン上かその近くで待って

 いるべきである。

 

 

スコアの記録

 ストロークプレーでは、マーカーに指名されて

いるプレーヤーは、受け持ちのプレーヤーの

スコアを、必要であれば、次のティーへの

移動中にそのプレーヤーとチェックした上で

記録するべきである。

 

 

◎プレーのペース

 

前を空けずに適切なペースでプレー

 プレーヤーは適切なペースでプレーすべき

ある。

委員会はすべてのプレーヤーが従わなければ

ならないプレーのペースのガイドラインを制定

することができる。

 前の組に遅れないようについて行くことは

その組全体の責任である。もし前の組との

間隔が完全に1ホール空き、後続の組をも

待たせているときは、後続の組が何人組で

あろうと、その組に先にプレーして行くように

声を掛けるべきである。

 前の組との間隔が完全に1ホールは空いて

いないが、後続の組の方が早くプレーできる

ことが明らかな場合はその早い組に先にプレー

して行くように声を掛けるべきである。

 

プレーの準備

 プレーヤーは自分たちのプレーする順番に

なったらすぐにプレーできるようにしておく

べきである。

また、パッティンググリーン上やその近くから

プレーするときは、プレーヤーはその

パッティンググリーンから次のティーへ移る

ときに早く行ける手近な所にキャディーバッグや

カートを置いておくようにするべきである。

そして、そのホールのプレーが終わり次第、

プレーヤーはすぐにパッティンググリーンを

離れるべきである。

 

紛失球

 球がウォーターハザードの外で紛失したかも

しれない、またはアウトオプバウンズであるかも

しれないと思った場合には、プレーヤーは、

時間節約のため、暫定球をプレーするべきである。

 球探しをしている組は、探している球が

すぐには見つかりそうにないと思ったら、

後続の組にプレーを続けて先に行くようすぐに

合図するべきである。

(球を5分間探した上、その後でプレースルーの

合図を出すようなことのないように)。

2019(H31)年改正で球の捜索時間は3分間となっている。

後続の組を先に行かせたら、その組の

プレーヤーたちがパスして行って球の届く

範囲外に出るまで、プレーヤーはプレーしては

ならない。

 

◎コース上の先行権

 委員会が別の取り決めをしている場合を除き、

コース上の先行権はその組のプレーのペース

次第によって決まる。なお、1ラウンドをフルに

プレーしている組はそれよりも少ないホール数を

プレーしている組をパスすることができる。

「組」という語には1人でプレーしている

プレーヤーのことも含む。

 

 

◎コースの保護

 

バンカー

 バンカーから出る前に、プレーヤーは

(a)自分が作ったバンカー内の穴や足跡は勿論、

(b)近くにある他のプレーヤーの作った穴や

足跡もすべて入念に埋め、平らにならしておく

べきである。レーキがバンカーの近くの

それほど遠くない所にあれば、砂ならし用に

レーキが使われるべきである。

 

ディボット跡やボールマーク、靴による損傷の修理

 プレーヤーは(a)自分たちの作った

ディボット跡や、(b)球の衝撃によって

パッティンググリーン面にできたボールマーク

(プレーヤー自身の球によるものに限らない) を

入念に直しておくべきである。靴によって

パッティンググリーン面に作られた掻き傷

などは、同じ組のプレーヤー全員がそのホールの

プレーを終えた後で直しておくべきである。

 

不必要なコース損傷の防止

 プレーヤーは、練習スイングでディボットを

取ったり、クラブヘッドを地面に叩き付けて

(怒ってであろうと他の理由であろうとを

問わない)

コースを傷つけたりすることのないようにする

べきである。

 プレーヤーは、バッグや旗竿を置くときに、

パッティンググリーン面を傷つけないように

心掛けるべきである。

 ホールを傷つけないようにするためにも、

プレーヤーやキャディーはあまりホールの近くに

立ってはならないし、旗竿を抜いたり立てたり

するときや球をホールから取り出すときは、

特にホールに注意しながら行うべきである。

また、球をホールから取り出すのにクラブの

ヘッドを使ったりしてはならない。

 プレーヤーはパッティンググリーン上にいる

ときは(特にホールから球を取り出すときは)

パターに寄りかかったりなどしてはならない。

 旗竿は、その組のプレーヤーがパッティング

グリーンを離れる前に、ホールの中に正しく

戻しておくべきである。

 ゴルフカートの走行についての注意事項は

厳格に守るようにするべきである。

 

 

◎むすび、違反の罰

 プレーヤーがみなこの章のガイドラインに

従ってくれれば、すべての人にとってゴルフは

もっと楽しいものになるだろう。プレーヤーが

ラウンド中(またはある期間にわたって)

このガイドラインを無視して絶えず他の

プレーヤーの迷惑になるようなことをした場合、

そのようなプレーヤーに対し委員会が懲戒と

いった意味で然るべき措置、例えば一定期間

コース内でのプレー禁止とか、いくつかの

競技への出場停止などの措置をとることを検討

することを勧めたい。

そのような措置は、このガイドラインに従って

プレーすることを望む大多数のプレーヤーの

利益を守るという見地からしても、正当なもの

として認められる思われる。

 エチケットの重大な違反となる場合、委員会は

規則33-7に基づいてそのプレーヤーを競技失格と

することもあり得るだろう。

 

2019(H31)年改正で規則33-7は、規則20.3が近い。

規則の掲載場所が変わりました。

 ◆ゴルフ規則1(ゲーム、プレーヤーの行動、規則)の1.2b(行動規範)

 ◆ゴルフ規則のオフィシャルガイドの規則1.2詳説(プレーヤーの行動基準)1.2a/1(プレーヤーが重大な非行をしたかどうかの決定)

 ◆ゴルフ規則のオフィシャルガイドブック5I(行動規範の方針)

 ◆ゴルフのオフィシャルガイドブック5I(5)