父の葬儀の次の日、親戚が家に来てくれて、少し明るい話もした。
Tの写真を見せると、叔父と従兄弟は即答で「OK!」と言った。育ちの良さと頭の良さが滲み出ていたのだろう。
その日、私はお世話になった病院に、お礼に行った。
しっかりと父親を送り出せた、その思いが私の気持ちをなんとか保ってくれていた。
その病院は、彼の大学の横にあったので、ついで、というわけではないが、少し彼に会うことにした。
葬式の次の日だ。デートする気など普通は起こらない。だが、不思議と父の死の実感がまだないからか、意外と私は元気だった。空元気かもしれないが、空元気を出せるほどには元気だった。
彼は、病院の入り口まで迎えに来てくれた。なぜか、中高時代の友達も連れてきたのだが、その友達はすぐに帰っていった。
復縁してから会うのは初めて。
「また付き合ってくれてありがとう」
「ん、ありがとう。…大変やったな。」
彼は、ガラス細工を触るように私に接した。すごく慎重に言葉を選んでいるように見えた。
ただ、彼と話していると私の心はとても軽くなった。京大のキャンパスを手を繋いで歩いたのは夢のような時間だった。お気に入りのサングラスをかけてみた時に「パリにかぶれたのか」と言われた時は思わずしばいてしまったが。
いろんな感情が混ざった、不思議なデートだったが、すごく楽しかった。