東京にて。

朝。

私は、朝5時くらいから、つんつんしながらTを起こしにかかった。時差ボケで目が冴えてしまったので、構って欲しかったのである。


なんやかんやで彼は全然起きず、結局活動的になったのは朝10時くらいだった。


朝は、羽田空港で回転寿司を食べることにした。とは言っても、高級な回転寿司だ。とはいえ、美味しいのでばくばく食べてしまう。

食べながら、彼は、

「俺は、こういう美味しいものにお金を使うべきやと思ってる」

と言った。

価値観があまりにも一致していたのでとても嬉しくなった。


午後は、東大に通う高校の同級生と合流して、Tが以前行ったことがあるという、原宿ハンバーガー屋に向かった。とはいえ、彼は全く店の名前を覚えていなかった。だが、彼についていくと奇跡的に、一発でその店にたどり着いた。彼がオススメしただけあって、すごく美味しい店だった。


その後は、同級生とは別れ、T2人で竹下通りを歩くなどしたが、オシャレな人たちだらけの中で、ノーメイクの私とリュック姿のTは明らかに浮いていた。「わぁーよく見るとオシャレな人たちばっかりやね!」と騒いでいると、Tに「恥ずかしいから静かにせぇ」と言われ、周りに圧倒されながら手を繋いで竹下通りを通り抜けた。

私はタピオカを、彼はパフェを食べたがっていたのだが、パフェにはありつかず、タピオカは東京駅でゲットした。


帰りの新幹線では、はじめの方は1つのイヤホンを2人で使いながら「イチブトゼンブ」など、彼のお気に入りの曲を聞いていたが、そのうち眠くなって爆睡した。朝5時からTを起こし続けたしわ寄せが来たのである。


京都駅に着くと、私たちは高校のときからの定番のデートスポット、大階段周辺に向かった。クリスマスツリーが飾られており、カップルだらけだったが、納得のいくまで写真を撮った。


前日にビジネスコンテストをしていたことはすっかり忘れ、1日のうちに東京デートと京都駅デートを楽しめた時間だった。また、2日間もずっと側にいられる、貴重な機会だった。超楽しかった。


20181216日。

ビジネスコンテスト本番。

朝、私はTともう一人のメンバーである女の子と、会場がある新宿で待ち合わせをした。


新幹線の中で、Tは、彼女に、私が抱いていたモヤモヤや怒りについて話してくれたのだろう、彼女は出会って早々に謝ってきてくれた。


私は、許すまじ、と思っていたのだが、いざ会ってみると、中学時代からの一番仲の良い子だったので、どうでもよくなって、普通に喋ることにした。


Tと会うのが9月以来だったので私は嬉しくて嬉しくて、ひたすらニヤニヤしていた。Tのスーツ姿を見るのも初めてだったので、あまりにもかっこよくて見惚れてしまった。(スーツ姿が見たくて、ビジネスコンテストなんだから、と理由をつけてスーツを着させたというのが正直なところだ。) ただ、私が、気合を入れて、彼の前ではじめてメイクした姿を見せたのに、それには全く気づかれなかった。頰を触って、ファンデーションがあると確認したあとも、「うーん、メイクしてんのかぁ?」などと聞いてきた。失礼なやつだ。


ほかのチームのプレゼンテーションが始まると、私は緊張で半泣きになっていたが、彼はそれを見逃さず、「半泣きやーん、大丈夫大丈夫」と言ってくれた。


プレゼンテーションは無事終わり、質疑応答の時間になった。臨機応変な対応はTの方がうまいので、彼に任せることにした。


質問に対して、丁寧に、かつ的確に答える彼。これどう答えるんやろ、という問いにも、「相関はあると考えます」と、バシッと答えるなど、究極にかっこよく、その姿をすぐ横で見られるのはとても幸せだった。


結果、私たちは最優秀賞を逃したが、優秀賞をもらった。


受賞者の写真撮影の際、私の少し後ろに彼がいたのだが、感じられる気配と、負けず嫌いな彼の性格的に、笑っていないのは明らかであった。彼の顔を見ずして笑っていないことを悟ったのは、さすが恋人!だと思う。「笑ってへんやろ。えがお!」と言うと、彼は次のシャッターから少しニッコリしたようだった。


表彰が終わると懇親会があり、立食パーティーが行われた。私は東大の同窓会に参加するため早く抜けたのだが、彼は社交性を発揮していろんな人と話しているようだった。


そして私たちは東京に一泊し、朝から東京観光をすることとなる。

ビジネスコンテストのスライド提出が無事終わり、あとはプレゼンテーションの原稿を書くだけになった。


プレゼンターは私が立候補したので、自分で原稿を書いて、覚える必要がある。


ただ、私は、スピーチに多少自信があった。


(少し自慢をさせていただきます。)


私には、中学校の英語スピーチコンテスト三連覇、英語スピーチでの全国大会出場に加え、高校では日本語の弁論大会で優勝しているという輝かしい実績があった。


Tもまた、弁論大会での優勝歴があり、読書感想文を書かせれば必ず都道府県で賞を獲るほどの文章力の持ち主であった。


つまり、私の弁論とTの原稿を組み合わせたら、わりと最強な訳だ。


私が書いた原稿を彼が添削し、それを私が読んだものを録音して彼に送り、抑揚のつけ方などをチェックしてもらう。その作業を何度も何度も繰り返し、8分のスピーチがついに完成した。


自意識過剰なことを書かせてもらうと、彼としては、遠距離をしていながら私の声がを8分間も聞き続けられる幸せな機会だったかもしれない。


そしてついに、私は冬休みのため、また、ビジネスコンテストのプレゼンテーションのため、帰国の途についた。