渡米前日。六月末まで、140日の遠距離がまた始まる。

平成を一緒に過ごす日もこれで最後だ。


私たちはこの日、朝は少しイチャイチャしたあと、自宅でデートをした。母が、それはそれは美味しいオムライスを作ってくれて、T3人で食べた。


Tと、ピアノで少し遊んでみたりもした。私の絶対音感に、Tは少し驚いてくれたようだった。ただ、Tはピアノを習ったことがないようで、片手でポロンポロン弾いていたのがとても可愛かった。将来彼と連弾、とか出来ればいいのだが、難しそうだったらその夢は子どもに託そうと思う。


そう。

私はTと、結婚するつもりでいる。

Tも、そのつもりでいてくれている。


だが、それについて、母とはだいぶ議論をしてきた。

父が亡くなって、母は、立場として、私とTの関係を応援しつつも、父の代わりに、苦言を呈したり、何かと心配をする役割も担わなければ亡くなったのだろう。色々と忠告やアドバイス、苦言が増えている。


この日は、Tが目の前にいるのにも関わらず、「もうちょっとちゃんと自立しないと結婚なんて相手も相手の親も認めない」という件について、2時間ほど喧嘩(?)をした。


私としては、再び遠距離になるまえに、結婚を前提に付き合っている、ということを母に伝えたかっただけだった。

だがそれが回りに回って説教になったのである。


結果的には、ちゃんと、経済的にも精神的にも自立をして、ある程度家事ができるようになったら結婚する、そのはじめのステップとして、夏休みには私が食事作りを頑張る、ということでまとまった。


遠距離になる寂しさと、婚約が言えたことと、結婚がそんなにトントン拍子にはいかないこと、色んな感情がぐちゃぐちゃになって、私はTにしがみついて泣いてしまった。Tは、「俺に相応しい嫁になること!」という、サイン的な手紙を書いてくれたので、私はそれを大切にカバンにしまって、翌朝、アメリカへ飛んだ。

楽しかった冬休みもあっという間に過ぎ去り、私たちは再び遠距離になる。

140日間の遠距離恋愛を見越して、私は、140日分の日めくりカレンダーを作ってみた。


遠距離になる数日前、私たちは京都駅から程近い梅小路公園でデートをした。当初は水族館に行く予定だったが、時間的な制約もあるため、梅小路公園と京都駅のお散歩デートにした。私が大苦手とする鳩が至るところにおり、Tは私が鳩に怯えるのを面白がっていた。が、手を引いて仲良く歩いてくれた。


私が彼に日めくりカレンダーを渡すと、彼はかなり引いていた。日めくりカレンダー、といっても、いわば140枚の手紙なのである。重いメンヘラ彼女と思われているはずである。だが、引きながらも、喜んでくれた。


遠距離になるまでデートできるのはあと一回。寂しさでいっぱいの気持ちを抑え、帰宅した。

クリスマス。

高校2年生以来初となるクリスマスデート。

朝は私の家でいちゃいちゃし、午後は彼の研究発表?の練習のため京大へ。

そこで、知り合いに会うなどなんやかんやありながらも、私たちは植物園へ向かった。


実は、植物園での温室デートは、中高時代から彼がずっと望んでいたものだった。やっと実現する時が来たのだ。


彼は自転車、私は何も持っていなかったので、私たちは鴨川沿いをひたすら歩いた。時間がなくなる、といって、たまに走らされたりもした。こっちはブーツだし、コートも重い。なのに、「痩せろ」とか言いながら走らされた。元陸上部だったものの、走るのは久しぶりだったが、意外と速く走れてそれはそれで楽しかった。


途中の飛び石のところで、おこちゃまな彼はどうしても飛びたくなる衝動を抑えられず、かなりの距離を飛ぼうとしていたが、あまりにも危険なので必死で止めた。


1時間半ほど歩いて植物園に着くと、そこはもうカップルだらけだった。イルミネーションが盛大に開催されていたからである。


彼が撮るイルミネーションの写真はとてもうまく、いろんな才能を持った人だなと改めて感心した。


温室ではポインセチア展が開催されており、クリスマス気分を存分に味わった。また、彼はジャングル的な植物にいちいち興奮しており、「お!フトモモ科や!」とか、「*☆×科や!」などと言って説明して来てくれたのがものすごく可愛かった。


また、植物の出口では、一回百円で自分で作れる綿菓子屋さんがあり、私が「食べたい」というと、彼はあまりの子供っぽさに呆れながらも待っていてくれた。いびつな形に仕上がった綿菓子を見て、彼は「下手」と呟いたが、店員さんが「厳しい!」「難しいですよこれ!」とフォローしてくれた。(正確には、私がフォローを求めるような言い方をした。)


帰り道、私たちは最寄りの北山駅より1つ遠くまで歩いた。その道中、結婚式場があり、何かしらのキャンペーンをやっていたので、チラシだけ受け取った。いいご飯が安くで食べられる、と、そんな感じだったと思う。

彼と結婚したらほんとに幸せだろうなと夢見ながら幕を閉じたクリスマスデートであった。