12月に入ってしまいました。
もう1か月足らずで、怒涛の2012年も終わってしまいますね。

そして季節は冬。
今は「秋キュン」シリーズは継続していますが、
同じように冬でも聴きたいバラードはたくさんありますよね。


今回は、1985年の全米No.1ヒット紹介シリーズですが、
同時にこの季節に聴きたい、せつなくドラマチックなバラードナンバーです。


前回、1985年11月16日と23日付の2週間No.1だった、
スターシップ「シスコはロックシティ」に代わり、
1985年11月30日付でNo.1となったのが、


フィル・コリンズ&マリリン・マーティン「セパレイト・ライブス」


フィル・コリンズは、今年この1985年全米No.1ヒットシリーズだけで、
3回目の登場になりますね。
ワン・モア・ナイト(One More Night)」(2012.3.31)
ススーディオ(Sussudio)」(2012.7.7)

この2曲は、フィルのアルバム、
「フィル・コリンズIII~ノー・ジャケット・リクワイアド(No Jacket Required)」
からのシングルでしたが、

今回の曲は、テイラー・ハックフォード監督の映画、
「ホワイトナイツ/白夜(White Nights)」の挿入歌で、

これまで、バックアップシンガーなどの活動をしてきた、
新人女性歌手、マリリン・マーティンとのデュエットで、
二人の男女の別れの時のそれぞれの感情を歌い上げた、
せつないラブバラードです。


①映画のシーンを織り交ぜた白黒(所々ブルースクリーン)のPV。
 PVとしてのつくりは、前回の同じテイラー・ハックフォード作品、
 「見つめてほしい(カリブの熱い夜)」と同じような雰囲気ですね。




②2004年のパリでのライブステージから。
 ここでデュエットしている女性は、フィルのライブでもよくコーラスを務めていた
 エイミー・キーズです。



☆Phil Collins And Marilyn Martin "Separate Lives"
 from the soundtrack album "White Nights"
 1985年Billboard Hot100 最高位1位(11/30付)


You called me from the room in your hotel
All full of romance for someone that you met
And telling me how sorry you were
Leaving so soon
And that you miss me sometimes
When you're alone in your room
Do I feel lonely too?

>> 君がホテルの部屋から電話してきた
>> 君が出逢った誰かとのロマンスのことばかりさ
>> そしてボクに大しては謝ることだけ
>> すぐに切らなくちゃってね
>> そして時にはボクのこと愛しいって思ってるって
>> 君が部屋に一人でいるときに
>> ボクも寂しいって感じると思うかい?

You have no right to ask me how I feel
You have no right to speak to me so kind
We can't go on just holding on to time
Now that we're living separate lives

>> 君にボクがどう思ってるかってボクに尋ねる権利なんてないだろ
>> 君がボクに優しく話す権利なんてないんだよ
>> こんな気持ちのままじゃボクたち先に進めないよ
>> だってボクらは別々の道を歩み始めたんだから

Well I held on to let you go
And if you lost your love for me
Well you never let it show
There was no way to compromise
So now we're living (living)
Separate lives

>> ねえ、私はあなたがどこかに行っても忘れたことなかった
>> もしあなたが私への愛を失ったとしても
>> きっとはっきり言わないでしょうね
>> もうお互い歩み寄ることはできないのね
>> だから今私達別々に生きていくの
>> それぞれの道を

Ooh, it's so typical
Love leads to isolation
So you build that wall
(build that wall)
Yes, you build that wall
(build that wall)
And you make it stronger

>> ああ、当たり前だよね
>> 愛はこうやって孤独に変わってしまうものなんだ
>> だから君は壁をつくり
>> (壁をつくって)
>> そうさ、そうやって君は壁をつくって
>> (壁をつくって)
>> その壁を硬くしてしまったんだね

Well you have no right to ask me how I feel
You have no right to speak to me so kind
Some day I might (I might)
Find myself looking in your eyes
But for now, we'll go on living separate lives
Yes for now, we'll go on living separate lives

>> ねえ君にボクがどう思ってるかってボクに尋ねる権利なんてないだろ
>> 君がボクに優しく話す権利なんてないんだよ
>> いつの日かボクは(私は)
>> 君の瞳の中にボク自身を見つけるのかもしれない
>> でも今は、ボクらは別々の道を歩み始めたんだ
>> そうね今は、私達別々の道を歩み始めたのね

Separate lives

>> それぞれの道を


互いの心変わりの気持ちを責めつつも、
互いどこかで忘れられない気持ちを持ちながら、
別れの時を認識し、なんとか別々の道を模索しようとしている
二人の男女の気持ちが痛くせつない気持ちにさせられる曲です。

この曲は、「オン・アンド・オン(On And On)」や、
映画「トッツィー」の主題歌「君に想いを(It Might Be You)」
などのヒットでも知られる、
70年代後半から80年代にかけて人気のあったシンガーソングライター、
スティーヴン・ビショップの作品で、
1994年の彼のアルバム、
「ブルー・ギターズ(Blue Guitars)」にも収録されています。

こちらが、近年日本のライブハウスで演奏された、
彼自身によるこの曲のライブパフォーマンスです。



彼が歌うと、より繊細で優しい雰囲気の曲になりますが、

この大ヒットしたバージョンは、
フィルとアリフ・マーディンのプロデュースで、
映画のメインで使われるドラマチックな仕上がりになってますね。


映画は、「愛と青春の旅立ち」や「カリブの熱い夜」などで知られる
テイラー・ハックフォードが監督し、
旧ソ連からアメリカに亡命して成功を収めた、
バレエダンサーで俳優のミハイル・バリシニコフと、
やはりダンサーでもあるグレゴリー・ハインズの共演で、
ミハイル演じるソ連から亡命したバレエ・ダンサーと、
逆にアメリカからソ連に亡命したグレゴリー演じるタップダンサーとの
人種や全く違う立場での亡命の経緯などから生じる摩擦と、
その後に生まれる友情と愛を描いた、
サスペンスラブストーリー。
ミハイルとグレゴリーのダンスシーンが印象的な映画です。

この作品は、テイラー・ハックフォード監督が、
「カリブの熱い夜」よりも前に製作を検討していた映画で、
その際に、映画主題歌としてスティーブン・ビショップに
この曲のオファーをしていたということです。

ところが、曲作りに反して映画製作が遅れ、、
その間に「カリブの熱い夜」で、
フィル・コリンズに主題歌を依頼して成功していたこともあり、
映画で使用する段階になって、
この曲がフィルによってレコーディングされることになったのでした。


この曲でデュエットしている女性シンガー、マリリン・マーティンは、
1954年テネシー州生まれで、ケンタッキー州育ちの今年58歳。

20代後半から、バックアップシンガーとして、
ジョー・ウォルシュやドン・ヘンリー、ケニー・ロギンスらの
コンサートで活躍していたところを認められ、
アトランティックレコードと契約。

スティーヴィー・ニックスの1985年のアルバム、
「ロック・ア・リトル(Rock A Little)」の中で、
5曲でバックシンガーとしてクレジットされています。

このレコーディングで、アトランティックレコードのマネージャーが、
この「セパレイト・ライブス」をデュエットする女性として、
彼女を推し、彼女もまたフィルにデモテープを送った結果、
このデュエットが実現したのでした。


この大ヒットをきっかけに、
同時期に進行していた彼女自身のソロアルバム、
「マリリン・マーティン(Marilyn Martin)」も、
翌年にかけてヒットを記録し、
シングル「ナイト・ムーヴス(Night Moves)」は、
Billboard Hot100で最高位28位のスマッシュヒットとなっています。




☆Marilyn Martin "Night Moves" from the album "Marilyn Martin"
 1986年Billboard Hot100 最高位28位

実は、こういったロック系のサウンドのほうが、
彼女自身も好きだったようで、
少ししゃがれた力強いボーカルで、ボク自身もこの曲が大好きです。

2枚のアルバムと、1枚のカントリーアルバムを残していますが、
その後大きなヒットには恵まれませんでしたが、
引き続きバックアップボーカルや、ナッシュビルなどでのカントリーライブなどで
活躍しているようです。
さらに竹内まりやの英語カバーアルバム、
「Sincerely~MARIYA TAKEUCHI SONGBOOK」の中で、
「プラスチック・ラブ」を英語カバーしています。


「'85 US No.1」ヒットシリーズ。
次回は12月7日の予定。

70年代後半から80年代初めにかけて、
ペイジスというバンドで活動していたメンバーが、
新たに結成したバンドでリリースしたファーストシングルで、
見事なデビューNo.1ヒットとなった、
緻密なギターとキーボードサウンドが一体となった
美しいロックナンバー。
おそらくこの年の全米No.1ヒットの中で、
ボクが一番好きなナンバーだと思います。

ちなみに、さらにその次の「'85 US No.1」(12/21予定)では、
再び、映画「ホワイトナイツ/白夜」に使われた
バラードナンバーが登場します。
ただし、この曲はサントラ未収録曲です。


そして、おそらく水曜あたりを目標に、
「秋キュン」・・・いやもう「冬キュン」の
ピアノバラードナンバーもアップする予定です。


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