ブリティッシュ強化月間ということですが、
今回はたまたま、1985年の全米No.1ヒットシリーズともかぶりました。


前回、1985年6月22日付と29日付の2週間No.1だった、
ブライアン・アダムスの「ヘヴン」に代わり、

1985年7月6日付でNo.1となった曲は、


フィル・コリンズ「ススーディオ」


前回シングル、「ワン・モア・ナイト(One More Night)」(2012.3.31)が、
3月に全米No.1になったのに続き、

「フィル・コリンズIII~ノー・ジャケット・リクワイアド(No Jacket Required)」
からのセカンドシングルで、アルバムから2作連続、
前年の「見つめてほしい(Against All Odds)」も含めると、
ソロとして3曲連続No.1ということになります。
(間に、フィリップ・ベイリーとのデュエット、
「イージー・ラヴァー(Easy Lover)」の全米No.2ヒットがありますが、
これは、フィリップのアルバムからの曲ということで含めてません)

「ワン・モア・ナイト」からは一転して、
フィルの作品にはあまり見られなかった、
ホーンセクションも入ったファンキーなサウンドで、
ダンスチャートでも人気を集めた、R&Bチューンです。


①前作と同じパブでの演奏シーンで構成されているPV。
 ちなみにこのパブは、ロンドンにある、
 ヴァージンレコードの社長、リチャード・ブランソンのお店だそうです。




②1997年のパリでのライブステージから。
 フィルが円形ステージをグルグルと走り回り、
 息がきれないか心配になるステージです。




③ちょっと変わったスタイルのものとして、
 1990年代後半にジャズのビッグバンドを率いて演奏活動を行っていた時の、
 フィル・コリンズ・ビッグバンドによるライブステージ。
 フィルはドラマーとしてこの曲を演奏しており、ボーカルは入りません。



☆Phil Collins "Sussudio" from the album "No Jacket Required"
 1985年Billboard Hot100 最高位1位(7/6付)


There's this girl that's been on my mind
All the time, Sussudio oh oh
Now she don't even know my name
But I think she likes me just the same
Sussudio oh oh

>> ボクの心の中に住んでいるこんな女の子知ってるかい
>> いつだって一緒さ、ススーディオ、おお
>> でも彼女はいまだにボクの名前すら知らないんだ
>> だけど彼女だって同じようにボクのこと好きなんだって思うよ
>> ススーディオ、おお

Oh if she called me I'd be there
I'd come running anywhere
She's all I need, all my life
I feel so good if I just say the word
Sussudio, just say the word
Oh Sussudio

>> もし電話してくれたなら、ボクはそこに駆けつけるさ
>> どこにだって走っていくよ
>> 彼女はボクの必要なもの、ボクの生きがいさ
>> もしこう呼べるなら気分最高さ
>> ススーディオ、たったこれだけの言葉さ
>> おお、ススーディオ

Now I know that I'm too young
My love has just begun
Sussudio oh oh
Ooh give me a chance, give me a sign
I'll show her anytime
Sussudio oh oh

>> まだボクは若すぎるってわかってる
>> ボクのこの愛はまだ始まったばかりさ
>> ススーディオ、おお
>> チャンスをくれないか、サインを送ってくれよ
>> いつだって君の前に現れるさ
>> ススーディオ、おお

Ah, I've just got to have her, have her now
I've got to get closer but I don't know how
She makes me nervous and makes me scared
But I feel so good if I just say the word
Sussudio just say the word
Oh Sussudio, oh

>> ああ、彼女をものにしなきゃ、今すぐにでも
>> 彼女に近づきたいんだ、でもどうしたらいいんだろ?
>> 彼女はボクをイライラさせるし、なんだか怖い気持ちにもなる
>> でもこう呼べるなら気分最高さ
>> ススーディオ、たったこれだけの言葉さ
>> おお、ススーディオ、おお

Ah, she's all I need all of my life
I feel so good if I just say the word
Sussudio I just say the word
Oh Sussudio I just say the word
Oh Sussudio I'll say the word
Sussudio oh oh oh
Just say the word

>> ああ、彼女はボクの必要なもの、ボクの生きがいさ
>> こう呼べるなら気分最高さ
>> ススーディオ、たったこれだけの言葉さ
>> おお、ススーディオ、ただこう呼ぶだけなのさ
>> おお、ススーディオ、ずっとこの言葉を言い続けるよ
>> ススーディオ、おおお
>> このたった一つの名前を


このススーディオというのは、愛しの彼女の名前なんですね。
彼女がまだ自分のことが視界に入っていないにもかかわらず、
妄想で愛の告白をしているという片思いな内容。

PVは、「ワン・モア・ナイト」との関係性がありそうなつくりで、
見た目の順番はこちらのほうが先なのかな?

いずれにしても、それまでのジェネシスでは考えられなかった、
R&Bからの影響をこれまでもいろいろな形で表現していて、

たとえば、モータウンスタンダードのカバーだった、
「恋はあせらず(You Can't Hurry Love)」とか、
フィリップ・ベイリーとのコラボレーションによる、
「イージー・ラヴァー」とか。
もっとも「イージー・ラヴァー」は、
どちらかといえば、ロックよりの曲ですが。

そしてこの曲は、フィルが自分にもっとぱっと華やかな明るい曲がほしいと、
ホーンセクションを取り入れたファンクスタイルで、
しかもこの曲では、ドラムをたたいておらず、
聴いてわかる通り、ドラムマシンですべて構成されているのです。


で、さらにこの曲を聴いて感じた人もいるかと思うのですが、

曲がヒットし始めたころ、
イントロからAメロの雰囲気、全体のリズムパターンと、

プリンスの「1999」にそっくりだと、
音楽誌で批判が相次ぎました。





なんとなく聴いていてわかりますよね。

実際、フィルにインタビューしたところ、
プリンスのこの曲は好きだし、影響受けてるよと、
あっさり答えられてしまいました。

しかし影響は受けているけれど、全く同じものではない。
そもそも自分はイギリス人で、彼はアメリカ人。
土壌としているものが全く違うのだから、
同じであるはずがない、とも語っています。

なかなかうまい受け答えというか、
解釈に困る答えでもありますよね。

いずれにしろ、フィルが何をやってもうまくいっていた、
絶好調期の勢いで、作られたこの曲は、
わかりやすさもポイントになっていたのかなという気がします。


フィルはこの1985年、もう1曲、
今度は別の映画からのヒットを、
新進の女性シンガーとのデュエットで、
全米No.1ヒットを打ち立てることになるのです。
11月30日に登場予定です。


さて、「'85 US No.1」シリーズ、
次回は来週、7月13日の予定。


ジェームズ・ボンド、007シリーズの映画主題歌で、
初めて全米No.1ヒットとなった曲です。
大人気のイギリス5人組バンドにとっては、
2曲目の全米No.1ヒットとなります。


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