リードジャパンカップから見る

「柔らかいだけじゃ登れない!」

を解説していきます!

 

今回は、6位の谷井菜月選手2位の森秋彩選手を詳しく見ていきます。

 

 

■ヒールフックが得意な選手2人の違い

 

この2人の選手をピックアップしたのは

谷井選手

はものすごくカラダが柔らかくて、それを生かしたのぼりをしています。

つまり、足がよく上がる!


足が上がるし広がるので他の選手がヒールフックをかけないようなホールドに

よくヒールフックをかけることでカラダを安定させて登るのが特徴です。

 

一方

森選手

も、ヒールフックが大得意です。谷井選手ほどの柔らかさはありませんが

背が低めなことを自分できちんと理解し、

デリケートなホールドにもヒールフックをすることでカラダを押し上げ、攻略していく強さがあります。


つまり、

背が高めの選手がはひとう下のフットホールドで攻略するところを、

森選手に取ってはそれでは届かない場合があり、

ひとつ上のホールドにヒールフックする事で、カラダを押し上げ遠いホールドも保持していくのです。


森選手は昨年のリードジャパンカップの覇者で、今回は野口選手が優勝し、惜しくも2位となりましたが、

決勝の高度も野口選手と同じで、準決勝も完登。予選のカウントバックによって、たった1手差での野口選手にまけてしまいました。

勝負は勝負ですが、もう!ほほ優勝といってもいいと私は思ってしまいます。

 

(ホールドにかかとを乗せるヒールフック。下半身を安定させ、腕の負荷を軽減できるメリットがある)

 

 

両選手とも、ヒールフックが得意ということですが、なぜこのように順位の差が開いてしまったか?

谷井選手がまだ森選手に追いつかない理由を見ていきます。

 

 

まず、谷井選手を見てみましょう。

とにかくカラダの柔らかさを使ってほとんどヒールフック、ヒールフック、ヒールフック。

ほとんどデッドポイントを使っていないことがわかると思います。

 

 

 

デッドポイントとは、簡単にいうと、上のように少しカラダの勢いをつけて、せーの!と、とるような動きのこと。

せーの!ととるので登っている側としてはホールドを外すリスクも考慮しながら取りに行く)

 

 

谷井選手の決勝動画

の一部を抜粋

 

 

 

 

 

一方、森選手の決勝動画

の動画の一部を抜粋

 

 

■谷井選手を森選手のヒールフックの回数

 

谷井選手の動画開始の高度と森選手も同じ高度で動画を開始しましたが、そこから、谷井選手が落下した高度まででカウントして

 

谷井選手

ヒールフック9回!!

 

森選手

ヒールフック1回

 

森選手は本当に必要なヒールフックの場所だけやっています。

 

 

 

■谷井選手のヒールフックのデメリット

 

ヒールフックによって、下半身が安定するので腕の負荷が軽減されたり、クリップをしやすくなります。

 

 

 

(壁からつりさげられているカラビナにロープをひっかけていくことを、クリップという)

 

しかし

谷井選手はそのヒールフックによって

 

●手順が逆になることが多く、無駄な持ち替え、しゃくりをが増える

 

●柔らかいカラダでヒールフックをしたものの、そこから大きいの筋肉に連動させることができず、デットポイントでカラダをせーの!と持ち上げることができないのです。

 

これによって登るリズムが森選手と比べてよくないことがわかります。

 

森選手は音楽を奏でるように

 

リズムよくテンポよく

ゆっくりなところはゆっくり、速いところは速く、メリハリをがあります。

 

 

 

 

一番顕著なのは

 

 

森選手は

右足をフジツボのホールドにヒールフックをし、

そこからデッドポイントで、せーの!とカラダを引き上げ

右手を先に出し手順をきちんと合わせて無駄なく登っています。

 

ピックアップ場所が出だしで再生されます。

 

 

一方、谷井選手は

右足をフジツボのホールドにヒールフックをしたものの、

そこからデッドポイントで、せーの!とカラダをデッドポイントで引き上げるテクニックがあまり備わっていないため

左手で持っていたホールドをわざわざ持ち替えて、左手を先に出すことで

無理やり手順を合わせて登って行っています。

 

物凄く無駄が多い・・・・。

 

ピックアップ場所が出だしで再生されます。

 

 

 

これは決勝に限らず、

予選でも、準決勝でも、よく見られました。

 

■カラダもアタマも必要なのは柔らかさでなく柔軟性

武器は使うべきところで正しく使うのがトップ選手

といえます。

 

つまり、柔らかいだけという武器では登れないのです!

上達はしていかないのです!


柔らかいことと柔軟であることは違いうのです!!

柔らかいカラダを自分でうまくコントロールして、使うべきところで自分の武器を使い、

ホールドの形や位置によっては、武器を秘めておなかいといけない部分が必ず出てきます。

それができているのが柔軟性があるといえます。

 

できていたのが、森選手や野口選手です。

 

 カラダの柔軟性とアタマの柔軟性も同じことが言えます!



 アタマも柔らかいだけじゃ対応力に欠けますよね。まいっかぁーまいっかぁー、みたいになってしまいます。


色々な局面で柔軟な思考が不可欠。


谷井選手の今後のトレーニングに期待したいですね!