帰ってきました~
結果は、28位
とにかく、私の課題じゃなかった。
見た瞬間、ギョッ!って感じ。
平均傾斜100度くらい。
上下左右に凹角で、80度のスラブと垂壁が3つ。
あとは3つのカンテ、ステミング課題。

私みたいというか、日本のサッカーも同じなのだか、
体格でも、力でも、もともと弱いものが世界についていこうとするには
どうしても、自分に会った試合にもって行かなければ
実力だけではある意味勝てない。
運も必要だ。

今回はまったくといっていいほど、今までやってきた課題の練習が
生かされないものだった。

数学で確率の問題は出ないだろう・・・と思って
微分積分ばっかりやってたら、思いっきり確率が出てしまった・・
そんな感じ。

砲丸投げ選手が、重いボール投げるの慣れてるからって
ボーリングやっても、スコア取れない、
そんな感じ。

体柔らかいからって、お相撲さんがバレエやれったって出来ない、
そんな感じ。

今回の課題をやってみて(今回は特に今まででも難しめとセッターも言っていたが)
「はあ~、やっぱり世界で上を目指すのは、ムリだこりゃ・・・」
と、思ってしまった。

もう、今回で最後にしようかとも思った。
だって、ムリだもん!
あいつらみたいに今更強くなれねーよ!

X-GAMESで勝ったサマンサ(オーストラリア)にも
惨敗した。サッカーとことごとく同じだ。
リーチな課題のときは大体サマンサが予選通過して私が落ちる。
もちろん、狭い課題のときは大概逆。
2人で予選通過したことないくらいだ。

あきらめ半分で、ミュンヘンに戻った。

ブラジル戦直後だったこともあり、ぽちぽち日本人もいた。

一人でボソッと、最後の夕食をだべていたら、
満席だったので、品川庄司のマッチョな方に似ている日本人が相席してきた。

「こんにちは、サッカーでこられたんですか?」
「ええ、ツアーでね。お宅も?ブラジル戦みました?」
「いえいえ、私はオーストリアで、クライミングの大会があって・・・」
「へえ~、どうだったんですか!?」
「ははっ!日本チームと一緒で惨敗ですよ。世界にはかないません・・・・」

こんな会話をしながら、安いドイツビールを乾杯した。

「サッカーもそうだけど、日本人って、精神力で弱いよね。なんていうか、こう、ハングリー精神がないというか・・・。クライミングも、よく知らないけどそうじゃない?」
「そうですね・・・。」

こんな会話が続く。

「でも今回は残念だったけど、いつかは!って思ってるでしょ!」

私は、内心本当に最後のワールドカップにしようと決心していたので、
「私一人だけ出場選手だったとか、間違ってもいいから優勝してみたいですかね~。」
なんて、あいまいなことを言ってしまったけれど、

「そうだよ!結局は、やろう!って言う気が大切なんだよ!それを持ち続けることが大切なんじゃない!」

これって・・・。
今の私の心にくっついていた重いホールドが外れた気がした。

品川庄司は、これも何かの縁ですからといって
この会話だけ10分くらいして、じゃあ。といってささっと帰っていった。
何でもないときに、こんな出来事あったら、
「こいつはサッカー話だけしにきたのか?」
と思ってしまうだろう。

でも、今の私には、もう一回やってみよっかな。
チャンスにかけてみよう。
と思うようになった。

ありがとう、見知らぬ品川庄司さん。