ぜひ読んでほしい本 | ハートフリースペースのSimple days

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心と体はひとつです。体が不調な時、心は何かを訴えている。 心が不調な時、体は何かを訴えている。
心と体に耳を澄ませて、ラクに、シンプルに生きることを大切にしませんか。

ゲシュタルトを通じた仲間の一人である

岡本茂樹さんが新刊を出されました


一読し,あまりに素晴らしい内容だったので

みなさまに紹介したくなりました


「無期懲役囚の更生は可能か

  ―本当に人は変わることはないのだろうか―」(晃洋書房)





岡本さんは篤志面接委員として

LB指標の刑務所で受刑者の更生にかかわっていらっしゃいます

LB指標の刑務所とは

もっとも凶悪な犯罪を起こした受刑者が収容されている施設のことです


この本は

岡本さんが担当されたある受刑者の記録です


岡本さんは個人面接とロールレタリングという心理療法を基本に進められるのですが

ここには受刑者本人の書いたロールレタリング(手紙)やノート

それらに対する岡本さんの返事,やりとりが克明に記録されており

そのすべてに岡本さんがコメント(解説)を加えています


途中,私はまるで上質な推理小説を読んでいる時のように

これからこの人はどうなるの?

早く先が読みたい,という気持ちになっていました


読後あらためて

人間という存在に対する信頼

生きることの難しさ

それでもなお無限の可能性への信頼が確信されました


受刑者を庇うとか,加害者を許すとか,そのような意味ではないのです

犯した罪はどのような意味においても許されるものではないでしょう


この本から見えてくるのはひとりの人間の生きざまです


どのように犯罪行為がなされたのか

その事実,罪を犯した自分とどのように向き合うことがでるのか

向き合うことで何が起こるのか


そして,このように向き合うことを可能にするのは

支援する人の存在そのもの,その在り方であることが

岡本さんの返事を通じ,またコメント(解説)を通じて

きっとみなさんにも理解していただけることと思います


この岡本さんの支援の姿勢,方法は

他のどのような支援にも共通のものだと私は思っています


被害者にも,加害者にも支援が必要なのです

そして,被害者,加害者だけの話ではないのです

岡本さんも繰り返し書かれていますが

私たち人間は,人に頼ること,甘えることが必要なのです


自律した人間とは

必要な時に他者に助けを求められる人間なのですね