「「苺飴には毒がある」 砂村かいり 著 ポプラ社」
子どもは天使で、女子高生は純粋である・・・だけじゃありません。
主人公の寿美子は、女子校の文芸部員。一緒に学校に通うのは、小学校時代から一緒のれいちゃん。
れいちゃんが曲者なんです。無邪気に人の悪口を言う。人の悪口を言う人は、「私」の悪口も「私」がいないところで行っている可能性が高い、いや、ほぼ確実に言っているわけです。
れいちゃんは、寿美子とすれ違いざまに意味ありげに笑ったりする、わざと寿美子をひとりにして待たせるといった微妙ないじめをしますが、寿美子はれいちゃんから離れることができないのです。女子高生アルアルなのでしょうかねぇ?
よくある話なのかもしれませんが、その中で、寿美子の自我が芽生えていく瞬間瞬間がとてもリアルに描写されていて、あぁ、そう言う瞬間あるよなと思って読みました。
寿美子が主人公なので、読んでいる間は、寿美子を応援する気持ちになっていたのですが、読み終わってみると、れいちゃんの人生が気になっています。結婚が人生のゴールってわけじゃないし。
れいちゃんは、確かに嫌な子だったけど、嫌なことをするには理由があるわけです。そして、人は変わります。
真面目な人が馬鹿にされない世界、失敗してしまった人にもチャンスが与えられる世界になればいいなと思いました。
人から勧められ、なんで67歳の爺さんが?と思いつつ、読んだのですが、情景がヴィジュアルに浮かぶような小説でした。
僕の中には、寿美子もれいちゃんもいました。ダメな自分の黒歴史も思い出してしまいましたが、青春ってそう言うものでしょ?と思います。
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