「「新半導体戦争」 平井宏治 著 ワック」
前半は、半導体の基礎知識の復習になりました。
*技術者が電気の流れをきちんと制御し、情報を正しく伝達するように設計したものを「回路(サーキット)」という。(p.12)
*その通行路や信号機と同じ役割を果たす、つまり電気を流したり止めたり、分けたりする素子が「半導体素子」である。(p.13)
*半導体素子には、電気に対して「今は行け」「今は行くな」と命令する、信号機のような役割をするダイオードや、回路のスイッチとして働き、電気信号の増幅もするトランジスタなどがある。(p.13)
*ダイオードやトランジスタなどをつくるために必要なのがシリコンなどの物質であり、これらを「半導体材料」と呼ぶ。(p.13)
*半導体素子を組み合わせてつくった回路を複数個、1枚の基盤の上に集積したパーツを集積回路あるいはIC※1(集積回路)チップというが、この集積回路を指して半導体と呼んでいるケースも多い。(p.13)
などなど。
後半は、日本の半導体産業の凋落の様子と、中国への情報漏洩の話、日本の情報管理の甘さなどが書かれています。
著者は、中国に対して批判的なスタンスなのですが、一部同意するところはあるものの、問題は中国だけなのかな?とも思いました。今、中国は、かつてJAPAN as No.1と言われていたころの日本と同じような制裁を、欧米諸国から受けているのかもしれません。つまり、欧米にとって、中国の技術力は、それだけ脅威だということでしょう。かつての日本がそうだったように。
例えば、かつての日本への制裁として、日米半導体協定がありました。その内容は、以下のようなものでした。
「第1次日米半導体協定は「日本の半導体市場の海外メーカーへの解放」、つまり日本はもっと海外から半導体を買え、ということと、「日本の半導体メーカーによるダンピングの防止」ということの二本柱からなる。日本企業にはダンピングをさせない、という理由で、米国政府が価格を決めることになった。(p.101)」
「第1次日米半導体協定の失効間際、1991年6月に第2次日米半導体協定(1991年~1996年有効)が結ばれた。第2次日米半導体協定は「日本国内の半導体市場における外国製半導体のシェアを20%以上にすること」、そして引き続き「日本の半導体メーカーによるダンピングの防止」が協定の骨子とされた。(p.102)」
中国は、日本の状況を見てきたはずですから、欧米からの制裁に対して、なんらかの手を打ってくるかもしれないと思います。
さて、日本の生き残る道ですが、パワー半導体と有機半導体とその製造に必要な職人芸が日本の得意分野なのではないかと著者は言います。
がんばってほしい!パワー!!!
以下は、ChatGPTで調べたパワー半導体と有機半導体の説明です。
<パワー半導体(パワーデバイス)>
定義:パワー半導体は、大きな電力の制御や変換を行うための半導体デバイスです。これらのデバイスは、高電圧や高電流の処理に適しており、主に電力変換、電力制御、モーター制御、電源管理などの用途に使われます。
特徴:
- 高電圧・高電流処理能力: 高い電圧や電流を処理するために設計されています。
- 効率: 電力変換効率が高く、エネルギーロスが少ない。
- 耐久性: 高温や過酷な環境でも動作可能。
用途:
- 電気自動車のモーター制御
- 太陽光発電システム
- 電源装置
- 産業用ロボットの制御
<有機半導体>
定義:有機半導体は、炭素を主成分とする有機材料で作られた半導体デバイスです。これらは、柔軟性があり、低コストで製造可能な点が特徴です。
特徴:
- 柔軟性: 柔らかく、曲げたり折り曲げたりできるため、フレキシブルエレクトロニクスに適しています。
- 軽量: 伝統的なシリコン半導体よりも軽量。
- 低コスト: 製造コストが比較的低く、大規模生産が可能。
用途:
- 有機ELディスプレイ(OLED)
- 有機太陽電池
- フレキシブルエレクトロニクス(ウェアラブルデバイスなど)
<一般の半導体とどう違うのか?>
一般の半導体(シリコンベース):
- 主にシリコンを素材とし、コンピュータ、スマートフォンなどの電子デバイスに使用されます。
- 高速で信頼性の高い性能を提供しますが、製造には高コストがかかります。
- 固く、柔軟性がないため、フレキシブルな用途には適していません。
パワー半導体との違い:
- パワー半導体は大電力の制御に特化しており、一般の半導体よりも高電圧・高電流に対応しています。
- 耐久性と効率が重視される用途に使用されます。
有機半導体との違い:
- 有機半導体は柔軟性があり、低コストで製造可能ですが、一般の半導体ほどの性能や信頼性はありません。
- フレキシブルエレクトロニクスなど、新しい用途に適していますが、現在のところ性能面でシリコンベースの半導体には及ばない場合が多いです。
それぞれの半導体は、特定の用途や特性に応じて選ばれるため、使い分けが重要です。
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