「心の4つのレベル 吉福伸逸のセラピー ハードなアプローチは有害か?その6」 

セラピストの吉福伸逸さんは、心を、「Power of Brain(あたまの力)」 、「Power of Emotion(情緒・情動の力)」、「Power of Being(存在の力)」、「Power of Dance(関係性の力)」の4つの層に分類していました。

一番表層にある心の力が「Power of Brain(あたまの力)」です。僕は今、文章を書いているわけですが、この作業の最後の部分は、主に「Power of Brain」により実行されています。どんな文章にするのか、どんな単語を使うのか、わかりやすくするのはどうしたらいいか。どんな事例を使うか、などを考えた結果を文章化しているわけです。

「Power of Brain」の層で考える基となるのが「Power of Emotion(情緒・情動の力)」の層で感じる感覚・情緒・情動です。

「暖かい」布団の中で「朝気持ちよく」目覚め「幸せ」を感じていたら、「今日も頑張ろう」とか「この幸せを大事にしよう」などの考えになるかもしれません。「暖かい」は感覚で、「幸せ」感が情緒です。

そんな幸せな気持ちで出かけたのに、職場で課長から叱責を受け、あまりの剣幕に「恐怖」を感じるなどということもあるでしょう。ところが、その後別件で部長から呼び出され「戦々恐々」としていたら、部長からは「この報告書はよくできている」と褒められ「ほっとした」としましょう。
「恐怖感」「戦々恐々感」「ほっとした感」は、情動です。

整理しますと、
「感覚」は、暑い、寒い、心地よい、眠い、爽やか、美味しいなど五感で感じるものを指します。

「情緒」は、幸せ、悲しさ、苦しさ、充実感など、長期的で安定した感情や気分の状態を指し、文化的・個人的な要素が影響します。

「情動」は、恐怖、怒り、驚き、喜びなど、特定の刺激に対する一時的で強烈な感情の反応を指します。

感覚・情緒・情動が働くのが、「Power of Emotion」の層です。そして、「Power of Emotion」が働くことによって、「Power of Brain」のスイッチが入るのです。

吉福さんは「Power of Emotion」のすぐ下に「Power of Being」があると言います。「Being」は、自分という存在そのものの領域を示し、そこからすべて(感覚・情緒・情動・思考)が生まれて(Becoming)くるのです。そのため、吉福さんは、「Power of Being」を「Power of Becoming」と言い換えたりしていました。

「Being」を生み出すのが、外界との関係性です。外界との関係とは、自分と自分の外のとの関係、例えば、親子関係、友人関係、職場人間関係などのあらゆる人間関係、車・建物・時計など人工物との関係、自然や宇宙との関係などを示します。こうした自分の外にあるあらゆるものとの関係性を吉福さんは、「Dance」と表現しました。人は、あらゆるものと関係し「Power of Dance」の力で「Being」を作っていき、そこから感覚・情緒・情動が生まれ、思索することができるというわけです。

そして、この4つの心(「Power of Brain(あたまの力)」 、「Power of Emotion(情緒・情動の力)」、「Power of Being(存在の力)」、「Power of Dance(関係性の力)」)のレベルを、静かに俯瞰することができることを、吉福さんは「道場に座る」と表現したのだと、僕は考えています。「道場に座る」境地では、自分自身と世界を見つめ、その相互作用による影響も見えているという状態になるのでしょう。

ですから、「道場に座る」ことができれば、あらゆる想定外の出来事にも動ずることなく、そこにいることができるのです。

「道場に座る」心境を実現できれば、クライアントのアクティングアウトに対応できます。

つまり、「道場に座る」ことができるセラピストは、ハードなアプローチにも対応できるのかもしれません。逆に、「道場に座る」ことのできないセラピストは、なるべくアクティングアウトの起こらないマイルドなアプローチに止めるべきでしょう。ただ、以前述べたように、過少介入でもアクティングアウトは起こり得ますから、セラピストは、「道場に座る」ことができるようになるべきでしょうと、僕は考えます。

 

 

 

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