「拮抗する力 吉福伸逸のセラピー ハードなアプローチは有害か?その4」 

吉福さんは、プロセスを促進するためなどに介入する時、「クライアントの力と拮抗する力でアプローチする」ことが大切だと強調していました。ここで言う「力」とは、クライアントが発する心理的・身体的な反応のエネルギーと考えていただければいいでしょう。

吉福さんは、ソマティックと呼ばれる身体心理学的アプローチを多用しました。例えば、クライアントの腹部にひきつるなどの反応が出たとしましょう。その際、吉福さんは、クライアントの腹部にそっと手を当てます。そうすると、クライアントの腹部の反応が拡大してきますので、それにあわせる形で、少しづつ力をかけていくのです。その際、クライアントの反応を早く引き出そうとして、無理に力を入れてはいけません。あくまで、クライアントの反発力に拮抗する力をかけていくのです。

吉福さんは、ソマティック以外のアプローチとして、ゲシュタルト療法、認知行動療法、イメージ療法などを適用することが多かったのですが、拮抗する力という考え方は、どのような心理療法の場合にもあてはまります。クライアントから抑圧されてきた感情が出そうになった時、けっして無理に出させようとせず、しかし、微妙な反応が拡大するように注意深くアプローチしていくのです。

こうしたアプローチをしていくとき、吉福さんが強調していたのが、過少介入は好ましくなく、しかし過剰介入にならないようにするということです。

過少介入になってしまう場合は、たいていセラピストの中にクライアントのプロセスが拡大していくことに対する不安や恐れがあります。セラピストは、介入のチャンスを見逃し、介入したとしても中途半端になりがちです。中途半端な介入は、クライアントに欲求不満な気持ちを起こさせるでしょう。あるいは、本気で自分のプロセスにかかわってくれないセラピストに絶望するかもしれませんし、見捨てられたという感情を誘発するかもしれません。

逆に、セラピストが、クライアントをなんとかしたいと強くお思い過ぎてしまうことがあります。そうした場合、プロセスが早く進行するように無理なアプローチ、つまり過剰介入をしてしまうのです。例えば、ソマティック的なアプローチをしているときに、拮抗する力よりはるかに強い力をかけてしまうのです。また、エクササイズの中で、もっと感情を出すように無理に誘導してしまうことがあるのです。

こうなると、クライアントは、自分の無力さに絶望してプロセスを止めてしまうか、セラピストの希望に添うようなが過剰な反応を演じるようになるかもしれません。

また、クライアントが抑圧していたテーマが、想定外に急激に浮上してしまうことがあります。アクティングアウトです。

アクティングアウトとは、葛藤や抵抗の行動化のことで、セラピストに対する激しい抗議、コントロールできない怒り、暴力などの形などで表に現れます。

多くのセラピストは、このアクティングアウトを恐れて、つい過少介入になってしまうのです。

それは、安全なアプローチであるかもしれませんが、それでいいのでしょうか?そして、痛い誰のための「安全」なのでしょうか?

実は、適切な介入をしていたとしても、アクティングアウトは起こります。また、安全を考えた過少入でさえ、その過少さがなんらかのトラウマを刺激し、アクティングアウトを引き起こしてしまうこともあるのです。

トラウマを刺激する引き金は、どこに隠れているのかわからないのです。

では、どうしたらいいのでしょうか?

 

 

 

<オンライン無料カウンセリングセミナー>

どなたでも参加いただける、無料オンライン「酔いどれカウンセリングセミナー」を行なっています。

次回は、月日(金)20時から。

 

 

 

 

YouTube チャンネル 「酔いどれカウンセリングセミナー」は、こちらです。

 

 

 

過去の動画一覧はこちら↓

 

 

 

 

 

Noteでの情報発信を始めました。以下の6つのマガジンがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【マンガでやさしくわかるオープンダイアローグ】は、好評発売中です。