「「これでもいいのだ」 ジェーン・スー 著 中公文庫」
ジェーン・スーは、1973年生まれの生粋の日本人です。元々は、レコード会社の会社員で、その後退職し、現在は、コラムニスト、ラジオパーソナリティ、作詞家として活躍しています。
彼女を知ったのは、僕の同僚が彼女のラジオのファンで「ちょー、面白い!」と言っていたのを聞いたのが最初です。彼女の本を見つけて買ってみました。
この本を出版した頃、彼女は45歳独身女性で、その辺りの年代の女性の視点が垣間見えます。なるほど〜、そう言うふうに感じるんだ、考えるんだ・・・というところがたくさんありました。
日本は、なんだかんだ言ってもまだまだ男性優位の社会です。また、40代独身女性というだけで、男性からもまた女性からもある種のレッテルを貼られがちです。この辺、欧米の社会例えばフランスなんかとはずいぶん違うのではないかと思います。また会社員を辞めて実家を手伝ったりフリーになったりした時も世間からのレッテルは付きまとったのではないかと想像します。
全体的にユーモラスなトーンで書かれていますが、退職した頃、大変だったんだろうなと思いました。
著者は、「「給与とは、決まった日に決まった額が支払われるもの」という恵まれた会社員の意識と、「食い扶持を稼いでこなければ、手取りはゼロ」という自営業者の意識の差を埋めるのに、一年以上は必要だったと思う。(p.58) 」と書いてますが、全く同感ですねぇ。
僕も会社を辞めた経験がありますが、不安だったですね。突如、福利厚生がなくなっちゃいますし、サボったらお金は入ってこないし・・・。会社員時代は、サボっていても一定金額いただけました。
また、女性は、さらに大変なのかもしれません。男性はただ仕事をしていればいいのだけど、女性はより身だしなみとかを色々突かれちゃうみたいですね。「化粧ぐらいしなさい」っていうのも大変みたいです。
「洗顔後に化粧水と乳液を肌に塗布する。次に、日焼け止め効果を兼ねた化粧下地クリームを塗る。それからファンデーションを塗って眉毛を描き、アイシャドウ(一色ではない)をまぶたに。人によってはコンシーラーと呼ばれる濃いファンデーションで、シミを隠しアイラインを引き、ビューラーでまつげをクルンとさせたらマスカラを塗る。頬紅を叩き、口紅を塗ったら準備完了だ。朝、シャワーを浴びる人なら、髪を乾かしセットする行為も加わる。(p.84)」
「汗を掻いても、ハンドタオルでゴシゴシ顔を拭けない。通話ごとに、携帯電話の画面が汚れる。お直し用のポーチを持ち歩かなければならない、などなど。最も憂鬱だったのは、毎晩のメイク落としだった。メイクをしていると、ソープでババッと洗って終わりとはいかないから。面倒、面倒、ただただ、面倒。(p.85)」
女子はたいへんだぁ。僕にはとてもムリムリってお思っちゃいますが、慣れればなんとかなるんですかね?マツコさんとかミッツさんに聞いてみたいものです。
ジェーンさん、実は結構苦労された方、修羅場をくぐってきた方なんじゃないかなと思います。
「どんなに悪いことが起こっても、生まれる感情の種類はそう豊富ではない。(p.220)」
「一方、喜びはいつも新鮮だ。厚遇に慣れることはあれど、予想外の喜びは、いつだって私の心をフレッシュに震わせる。いいことと悪いことが同じ数だけ起こるならば、できるだけ生きていた方が、鮮度の高い人生を保っていられる。(p.220)」
どんなに嫌なことが続いても、時々ある幸せが、人生の鮮度を高めるのでしょう。
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