「「飛ぶ教室」 エーリッヒ・ケストナー 著 新潮文庫」 

僕が中学生の頃、校舎の2階からコークス置き場に飛び降りることが悪ガキどもの間で流行ったことがあります。コークスがクッションになったんです。あの年代の男子にとっては、勇気を示すことが大事だったんですね。女子は、「男子って、馬鹿よねぇ」って見ていたんでしょうね。

 

「飛ぶ教室」の小さくて弱虫とからかわれていたウーリーは、勇気を示すために、落下傘降下だと言って梯子の上から傘を開きながら飛び降ります・・・が、骨折してしまうんですね。全く、男子って、本当に・・・。

 

その話を聞いたドクター・ベクあだ名は「道理さん」は、「自分は一生、一人前に見てもらえないんじゃないかと気にしているのと較べれば、骨折ぐらい、大したことじゃない。この落下傘降下は、はじめに思ったほどバカげたことじゃなかったかもしれない(p.139)」と言うのです。

 

現代だったら、勇気なんかよりも偏差値が尊重され、梯子から飛び降りて骨折した子を褒めようものなら、SNSで大バッシング、大炎上でしょう。

 

ケストナーがこの本を書いたのは1933年。ヒトラー政権の誕生した年です。ケストナーはこの後、執筆禁止、出版禁止処分を受け(p.214)、ゲシュタポに2度逮捕されます。彼は言います。「すべての乱暴狼藉は、はたらいた者だけでなく、とめなかった者にも責任がある」と。止めようとするには、勇気が必要です。

 

 

 

 

 

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