「「落語で資本論」 立川談慶 著 日本実業出版社」
以前、石油会社で技術屋として働いていた頃、大卒(大学・あるいは大学院卒)と分類された僕は、多くの時間事務所で仕事らしきものをしていました。時には(いや、しばしば、いやいや、しょっちゅう)前夜の飲酒がたたり睡魔に襲われ船を漕いでいたものです。でも、バブル真っ盛り、年功序列で終身雇用のジャパン・アズ・No.1の黄金の?1980年代、偉い方々からは、「失敗しないことだよ。余計なことをして失敗するくらいなら何もしないことだ。そうすれば出世できるよ」と言われたものです。じっとしていれば、やがて僕も経営者側つまり資本家側になったのかもしれませんね。まあ、そうなる前に会社を辞めちゃいましたが。
一方、現場で働いているいわゆる高卒の人たちは、実際に手を動かしていました。彼らがいなければ、製油所は稼働できません。何かトラブルがあったときに、素早く現場で作業して事故を未然に防ぐのも高卒の人達の仕事でした。
「失敗しないように」だけでは、僕ら大卒は、高卒の人達の労働から利益といううま味を「搾取」するだけのことになってしまうのだろうなと、この本を読んで思いました。
人間の労働を資本家が「搾取」するシステムこそ資本主義の本質(p.37)とのことですが、そのとおりなのでしょう。
「搾取」にならない、適正な「分配」が必要なのだろうなって思います。
今の世の中、どうもこの「分配」が不適切な気がします。効果価値に偏りすぎで、労働価値が軽視されているように感じます。非正規雇用の人たちは低賃金ですし、介護職は重労働に見合う給料をもらっているとは思えません。
だから、格差がどんどん開いています。一億総中流社会だったのが、いつの間にか勝ち組負け組の社会になってしまいました。このままではまずいでしょう。
この本の最後の方に、『マルクスも言っています。 「各人はその能力に応じて、各人にはその必要に応じて!」と。 「奪い合うのではなく、分け合う社会」となりますように。(p.251)』と書かれていますが、同感です。
これから日本は人口減少の局面をむかえます。今世紀末には世界の人口も減少に転じるでしょう。従って、低賃金で働く労働者が少なくなるのですから、資本主義は成り立たなくなるのではないかと思います。
新たなシステムが必要となるでしょう。そして、新たなシステムを創造するためには、対等性と多様性が担保され、無理に結論を急がず不確実性にも耐えることのできる対話の姿勢が必要だと思います。
思い返せば1990年代初頭、ソ連邦が崩壊した頃、「社会主義は終わった。資本主義の勝利だ!」と騒いでいる人たちを横目に、「資本主義が勝ったのじゃのくて、人間が社会主義を使いこなすまで進化してなかったってことさ」などと憎まれ口を叩いていた僕ですが、その実、資本論は最初の数ページで挫折したクチです。「落語で資本論」は、その名のとおりたくさんの落語を引用しながら資本論を解説していて、とてもわかりやすかったです。「三方一両損」、「金玉医者」、「かぼちゃ屋」、「芝浜」など、くすっとしたりほろりとしているうちに資本論がわかる・・・いや、わかったような気持ちになりました。
つい、「資本主義は、つまるところ『あたま山』よ」などと能書きを垂れたくなってしまいますが、マルクスさんに怒られそうだから、やめときましょ。
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