第4911回「『「世界史×日本史」エピソード100』 玉木俊明 著 星海社新書」
人類が日本にわたってきた3万8千年前から現在までの歴史を、世界史との関係の中で書かれた本です。とてもコンパクトにまとめられています。
戦国時代に西国の大名が天下統一に向かわなかったかについて、著者は、西日本の大名たちが海外と貿易をして利益を得ていたことをあげています。西日本は、大村純忠、大友宗麟、有馬晴信、黒田孝高、小西行長なぢキリシタン大名も多く、それは、ヨーロッパとの交流が盛んだったことの結果によるものでしょう。
江戸時代の鎖国は厳密に言ったら鎖国ではないと言います。最近では、「鎖国」という言葉を使わず、「海禁」という言葉を使うことが多いようです。僕は、初めて聞いた言葉なのですが。「海禁政策」とは、民間お自由な貿易を禁じ、国家が貿易を管理する体制(P.106)です。日本は、長崎、対馬、薩摩(琉球)、松前の「四つの口」を通じて、幕府の管理下で海外とつながっていたのです。
江戸時代は、割と豊かだったようです。新田開発などにより食料増産が実現し、人口も増えていったのです(p.131)。ただし、武士は江戸時代を通じ石高は一定でしたから、豊かさから取り残されていきました。戦争もないし、軍人は必要がなかった時代ですしね。
幕末から現在までの日本は、全体的に運が良かったのかもしれません。日露戦争は、奇跡的な薄氷を履むようなギリギリの勝利でしたし、第一次世界大戦で潤いましたし、日中戦争・太平洋戦争で痛手を受けたものの、朝鮮戦争が日本の経済成長のきっかけになりました。また、敗戦後戦争をすることができない日本は、ベトナム戦争の泥沼に軍事的に巻き込まれることはありませんでした。
そうだったよなぁと思うのは、日本のインテリ層は戦後から1980年代の終わりまで、インテリは反アメリカで社会主義にシンパシーを感じている人が多かったということです(PP.214-215)。当時、テレビや新聞の論調や学者・文化人の言説は、ほぼそっち方面でした。
今は、その逆ですね。理由は単純だと僕は思います。要は、1989年のベルリンの壁の崩壊、1991年のソ連邦崩壊によって、「資本主義の勝利」が謳われるようになったからでしょう。僕自身は当時から資本主義が勝ったとは思っておらず、ただ社会主義が自滅したと考えています。社会主義がうまく機能するような利他的な意識を持つほどまで人間が成熟していなかったということが、大きな要因かと思っています。そして、その資本主義もそろそろその限界が囁かれ始めています。さて、これからどうなるのでしょうか?
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