第4761回「「日本の伝統の正体」 藤井青銅 著 新潮文庫」

 

「日本の伝統の正体」 藤井青銅 著 新潮文庫

パオロ・マッツァリーノの本を読んで、「日本の伝統」と呼ばれているものについて、もう少し調べたいと思って見つけた本です。

 

眼から鱗です。

  

例えば、今年はコロナで行けなかった人も多かった初詣は、江戸時代にはなかったのだそうです。そのころは、「恵方詣り(えほうまいり)」と言って、自分が住んでいる場所から、その年の恵方に当たる神社を参詣することが人々の習慣だったのだそうです。

  

それに変化が出てきたのは、鉄道が整備され始めた頃からです。各鉄道会社は、最初のうちは、自分の鉄道沿線の神社を「恵方詣りは、◯◯神社へ」と宣伝していたのですが、毎年恵方が変わるのでどうも都合が悪く、恵方は無視して「初詣は、◯◯神社へ」にしちゃったわけです。こうすれば、自分のところの沿線の◯◯神社も、乗客を運ぶ鉄道会社も、毎年収入が見込まれる・・・つまり、win-win になるわけです。

  

このように、朝廷行事になんらかの関係があることを、商売に結び付けて宣伝することにより、短期間に「伝統化」するという現象が、結構あるようです。おせち料理を重箱に詰めるようになったことや、お中元、お歳暮は、戦後のデパートの販売戦略によるものです。

  

長い伝統があるのだろうと思われているものが、実は大した歴史がなかったなどということもざらにあります。TVドラマ半沢直樹で、なんだか時代劇のような「土下座」が話題になりましたが、そもそも「時代劇みたいな」というのが間違いです。大正ぐらいまでは、土下座に謝罪の意味はなく、昭和になってから、ポツポツ「土下座してわびた」という表現が新聞などで見られるようになったのだそうです。

  

なんか、古いいわれのありそうな「万願寺とうがらし」も、実は、伏見系のとうがらしと、カリフォルニア・ワンダー系と言われるとうがらしを交配して作ったものなのだそうです。万願寺なんて言われると、なんか凄そうなんて思うのですが、なんと、半分は陽気なカリフォルニアンだったのですね。どうせなら、「万願寺ニコル」とか、「伏見イライザ」とか付ければよかったのに。

  

神社の「二礼二拍手一礼」の形になったのは、昭和23年に発表された「神社祭式行事作法」以降の話で、それまでは、結構適当でした。

  

ことわざの類も、えっ、それ日本の伝統じゃなかったの?というものも、かなりあります。「二兎追うものは一兎も追えず」は、なんか中国伝来っぽいのですが、元はヨーロッパで使われていたことわざが幕末に輸入されたものなのだそうです。「豚に真珠」は聖書から、「大山鳴動して鼠一匹」は、イソップ物語からの引用です。

  

そして、実は、この投稿の4行目に出てきた「眼から鱗」も日本古来のことわざではなく新約聖書が出典なのだそうです。

むむむ、「伝統」もグローバルだ。

 

 

 

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