第4371回「「対話のない社会」 中島義道著 PHP新書」

 

「対話のない社会」 中島義道著 PHP新書
女「あなたって、いい人よね」
男「おっ、そうかい?照れるぜ」
女「あなたのそう言うところが可愛いのよ」
男「ますます照れるぜ。・・エーイ、めんどくせぇ、愛してるぜ!」
女「私もよ!!」
・・・のようなやりとりは、微笑ましい?会話ではあるけれど、対話ではありません。

 

これが対話になると・・・。
女「あなたって、いい人よね」
男「『いい人』と言われてもイマイチ不明確だ。『いい人』にも色々ある。『親切な人』と言う意味かもしれないし、『優しい人』と言う意味かもしれない。それでも正確にはわからない。親切とは何か?優しいとは何か?と言う疑問が残るからだ。あっ、ひょっとして、『いい人』とは、『どうでもいい人』と言う意味なのかもしれない!さて、君にとっての『いい人』とはどう言う人なのだ?」
女「じゃあ言うけど、私にとって、あなたは『都合のいい人』だわ」
男「そこで重ねて尋ねるが、『都合のいい』とは何を指しているのか?」
女「そうね・・・。車で迎えにきてくれるし、料理も作ってくれるし、お皿も洗ってくれるし・・・」
男「と言うことは、僕は料金の発生しない運転手兼家事代行サービスということかな?」
女「そういうこと!」
男「これでとてもクリアーになった!僕は、君に対して運転手兼家事代行サービスをするのが大好きなのだ!そして、それは君の笑顔を見たいからなのだ!」
女「私もわかったわ。私があなたのことを好きなのは、あなたが運転手兼家事代行サービスを通して私を喜ばせてくれるからだわ」
男「わかったぞ!僕は、君に無償で運転手兼家事代行サービスをしたくなるくらい、君のことを好きなのだ!」
女「愛してるわ!」
男「愛してるよ!」

 

前者は会話であり、後者は対話です。表出された言葉の内容より言葉を投げ合う全体の雰囲気の中で、漠然とかつ微妙に「人間性」を理解しあうのが「会話」であり、個人と個人が正面から向き合い真実を求めて執念深く互いの差異を確認しながら展開していくのが「対話」なのです(P.105)。

 

日本には会話はあっても対話がほとんどないのです。

 

対話の場合、最初はA主義だったのが対話が進んでいくうちにB主義に変わるようなことが起こりうるのですが、会話の場合は、最初A主義だった人はずっとA主義で、B主義だった人はB主義のままで、結局会話の後もその二元論的対立軸は変わらないのです。

あるいは、すべての人たちが、あたかも皆同じ意見を持つかのように進んでいく会話もあります。

 

例えば:
社長「これからは、石炭発電だ」
部下「さすが社長!石炭は、地球上で最も豊富にある燃料です。CO2なんか気にしちゃいけません。CO2で温暖化になっているなんていうのはフェイクニュースです!」
みたいな最初に結論ありきみたいな会話スタイルですね。

 

もちろん、最初に挙げたような微笑ましい会話スタイルもありますけれど・・・。

対話とは、真理を求めるという共通了解をもった個人と個人とが、対等の立場でただ「言葉」という武器だけを用いて戦うこと(P.122)なのです。

 

僕は、日本的な空気を読む会話もいいところはあると思います。最初にお示しした男女の会話のように、わけわからず幸せそうになるって言うのもいいじゃないですか。「部長ナイスショット!」で、とりあえずギスギスしなくなればそれでいいじゃないですか?

でも、そうした争いを避けるようにしていく会話ばかりだと、とても窮屈になります。「黄色い線の内側を歩いてください」、「エスカレーターに乗るときは手すりにつかまりましょう」、「校則を守りましょう」、「健康に注意しましょう」、「自分の国を愛しましょう」、「傷ついた人を癒しましょう」、「暴力はいけません」、「痴漢は犯罪です」・・・それはそうなんですけどね、あんまり多いと疲れちゃう。「はいはい、わかってますよ」「えーい!うるさい!」と言いたくなっちゃうんですよ。

これらのセリフは、利他的に見えて、実は「私は言いましたからね。責任ないですよ」と言う利己的な発言であることが少なくありません。あるいは、「私は、皆さんの意に沿う発言をしてますからね。仲間外れにしないでくださいね。仲間ということで、余計なことは喋りませんから、それとなく便宜を図ってくださるとありがたいです」と言う忖度的ヨイショ的自己アピール発言であったりするのです。

 

この手の会話は、最初から結論が決まっていて、それが最後まで変わることはありません。

しかし、対話であれば、対立があっても、その対立の意味が見えてきますし、新しい道が現れるかもしれませんし、最初の意見から変わるかもしれません。そして、いくら質問しても怒られないのが嬉しい。

 

筆者が言うように、ほんの数%でいいから対話の要素が適用されたら、いいのになぁと思います。

 

 

 

 

 

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