第4332回「吉福伸逸がめざしたもの」
あけましておめでとうございます。
皆さんにとって良い年でありますように。
今年の第一弾は、吉福伸逸さんに関する本の紹介と、2月に開かれるイベントのご紹介です。
まずは、吉福さんの本のご紹介。
「静かなあたまと開かれたこころ」 吉福伸逸アンソロジー サンガ
「本来、いかなる方法論にも普遍性は備わっていない P.12」、「あらゆる方法論は消去されるためにある P.13」は、吉福哲学(←勝手につけちゃいました)の根幹をなす考え方なのだと思います。
「どうでもよくないからどうでもいい世界に住まざるをえなくなり、ついには、どうでもいい世界が唯一の世界になった人たちを僕はジャンキーと呼んでいる P.22」・・・吉福さんは、そうした人たちを精神的ジャンキーと呼んでいますが、決して彼らに対して否定的ではなく、むしろHEARE AND NOWな生きかたをしている人たちだとして、暖かく見守っています。「ジャンキーと話していると、心が安まる。何も隠すことがないからだ P.23」と言うのです。吉福さんは、よく統合失調症の人をはじめなんらかの精神疾患を患っていると世間的にみなされる人たちと話す方が、楽なんだとよく言っていました。彼らは、自らの内的矛盾に、あるいは家族メンバーとしての葛藤に、あるいは社会の欺瞞に直面し苦しんでいるのです。そうした矛盾や葛藤や欺瞞から、目をそらして社会と一見うまく渡り合っている人たちと会話するのは、吉福さんにとっては逆に疲れるものだったのではないかと思います。
流石だなと思ったのは、1984年の時点で、吉福さんが、新宗教・神秘主義・サイコセラピーなどのグループの危険性を指摘していたことです。アメリカの精神科医アーサー・ダイクマンの四ヶ条の注意を紹介していたことです。要約すると、「そのグループの価値判断を最善とし、新メンバーがグループに加わった動機を自分自身で明確にできない」、「メンバーが自分自身の日常生活の思考や行動パターンを把握し、理解できるようなものをグループが個々のメンバーに与えていない」、「感情的な興奮、特定の地位、依存性、虚栄などのメンバーの願望を満たしてしまっている」、「過度の反復訓練や、罪の意識をかりたてたり、グループの承認不承認を採用している」グループには、注意を要するとしています(P.181-182)。
これは、多くの自己啓発セミナーやカルトに通じます。吉福さんには先見の明があると思いました。これがもっと知られていたら、オウム真理教事件は未然に防げたかもしれません。
1985年には、エレクトロニクスの進歩により、人間の行き方とか、習慣とか、ふるまい方に関する決まり、すなわち暗黙の了解の幅が非常に狭くなってきて、そこからはみ出すことを、無意識のうちに恐れていることが、精神病や異常行動が増えている大きな原因(P.208)と、吉福さんは述べています。このころワープロからパソコンに行こうする時代だったと記憶していますが、その時点で既に現代のSNSなどによる相互バッシング社会の到来の気配を吉福さんは感じていたのかもしれません。
最後の田口ランディーさんとの対談は、ちょっとスリリングで面白いです。ランディーさんの果敢なツッコミが、吉福さんから貴重な言葉を引き出しています。
例えば、魔境は単純に切り捨てるのは雑だ(P.474)と言うのです。「あるものをないとは言えない(P.474)」という言葉で、人の成長過程におけるリグレッション(退行現象)の意味を問う発言です。人がエッジを乗り越えるとき、一時的な退行は自然な現象なのではないかと僕は思いました。退行して夢のレベル(ミンデルの言うドリームランド)に行って物語を変えないと意識の変容は起こらないのかもしれません。
また、「僕からすると、「悟った」人っていないんですよ。悟った意識状態の人、と言うだけ(P.484)」という言葉も深く考えさせられます。僕自身の感覚として、ある種の境地に達した人が、その状態をずっと維持できるのか疑問があります。ある境地に達した後、なんらかの原因で、それまで気づかなかったUnfinished Buisiness が浮上して暴れ出すということは、しばしば起こることなのではないかと考えます。こうした言い方をすると、「それは、こーごさんの言う『ある種の境地に達した』は、『悟り』ではないと言うことですよ」と言われそうですが・・・。僕からすれば、「じゃあ、悟りっていうものを見せていただけますか?」って聞きたくなってしまいます。吉福さんの言う「(悟った意識状態とは)あらゆる人が経験している状態」の方がしっくりくるのです。
ランディーさんとの対談の最後で吉福さん自身が、これからやろうとしていた仕事として「資本主義(貨幣経済)の問題、民主主義(言葉)の問題、ヒューマニズム(いのち)の問題について書き上げること」を挙げています。これは、吉福さんが晩年によく言っていたことです。その断片はお聞きしましたが、とても僕の能力では理解しきれなかったです。もう少しお話を聞きたかったです。
続いて、吉福さんに関するイベントのご紹介。
【吉福伸逸がめざしたもの ~意識の解放、変容、癒し~】
2月に、吉福さんについてのこんなイベントが開催されます。
アメリカ西海岸を中心としたニューエイジ・ムーヴメントの潮流を日本に紹介したC+Fというグループがあった。その中核だった吉福伸逸のアンソロジー『静かなあたまと開かれたこころ』(サンガ)が出版された。今回のイベントは、1980年代に吉福伸逸とともにホロトロピック・ブリージング・セラピーなどの活動をしていた菅靖彦、高橋実、ティム・マクリーンの3人に集まってもらい、吉福伸逸がめざしていたもの――それがいまどのように伝えられているのかについて聞きます。
2020.2.2(日) 14:00-17:00 ¥2000
西荻窪 ほびっと村学校 東京都杉並区西荻南3-15-3
要予約 hobbit@ea.mbn.or.jp TEL:03-3332-1187
https://www.facebook.com/events/1330239067158049/
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