麻原彰晃には、人を洗脳する天才的な能力があったと言われます。しかも、オウム設立の頃には、詐欺師のブレーンがいたのだそうです。しかし、それだけではオウム真理教の肥大化と崩壊を説明できません。時代が、麻原彰晃の誇大妄想とオウム真理教の暴走を後押ししたのではないかと、僕は思います。

 

80年代、トランスパーソナル心理学が日本に輸入され、ニューエイジの本が大手書店の一番目立つところに平積みされ、スピリチュアルな覚醒が集合的に始まるのではないかとと言う期待を多くの人が持つことのできた時代です。株価は天井知らずで上昇し、ジャパン・アズNo.1と云われる中で、物質的な幸福はいつまでも続かないのではないかと言う、すなわちバブルがいつか崩壊するのではないかという予感が地下水のように流れていた時代です。そうした背景があってこそ、オウム真理教などのカルトが多くの人を集めたのではないかと思います。

 

オウム真理教が激しく過激化していったのは、彼らの実力に不相応な数の信者が集まっていく中で起きた最初の犯罪が起点だったのではないかと、僕は想像します。

 

1988年9月、教団は、突然大声でわめき散らし道場内を走り回った信者に対する対処ができず死に至らさせてしまいました。しかも、信者の死は隠され遺骨は精進湖に破棄されました。

 

激しい修行をすると、大声で喚き出す、動きが止まらなくなる、幻覚が出る、妄想的になるなどの、いわゆるスピリチュアル・エマージェンシーという状態になるということは、禅仏教やヨガの伝統の中などでは、よく知られていたことで対処法もあるのですが、オウム真理教には、そうした場合のノウハウがなかったのでしょう。

 

このような場合には、周りにいる人がまず落ち着くことです。どっしりと構え、バランスを崩している人の状況を観察するのです。状況は必ず変化します。その変化に合わせて、適宜アプローチしていくのです。混乱は、やがて収束します。そのノウハウを知っていれば、死に至らしめるなどということはなかったでしょう。おそらく、信者が暴れ出した時、幹部たちが対処の仕方がわからずうろたえ、無茶なことをしてしまったのではないかと推測します。

 

この、過失致死ないしは殺人とその隠蔽の後、信者を死に至らしめた場面を見て耐えられなくなり脱会の意思を申し出た信者を、幹部が首を絞めて殺すということが起こります。そして、翌89年11月に坂本弁護士一家殺害事件が起こります。ここまできたら後には引けず、幹部たちは運命共同体になっていったのでしょう。麻原彰晃の言葉を丸ごと信じ、自分たちの犯罪を正当化し、その価値観に逆らうものは全て悪だという論理になっていくのです。彼らは、信じないわけにはいかないのです。疑いを持ったら自分がポアされる(殺される)わけですから、他に選択肢がなくなるのです。

 

さらに1989年のソ連崩壊の混乱が、オウムの過激化を推し進めた要素になるでしょう。ロシアには、オウム真理教の主導でロシア日本大学が設立され、ロシアからは、多量の武器兵器をオウム真理教は輸入します。

 

オウム真理教の武装化、ロシアや北朝鮮とのパイプの構築などは、彼らだけで、できることではないでしょう。当時、オウム真理教にシンパシーを感じていた、日本の上層部の人たちにもかなり存在したのではないかと思います。そうした人たちが、オウム真理教の肥大化と過激化を有形無形にサポートしていたのかもしれません。

 

巻末のオウム真理教関連事件年表が、一連の流れを振り返るのにとても便利です。

 

 

 

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