第3739回「「ジャズ・アネクドーツ」 ビル・クロウ著 新潮文庫」
「ジャズ・アネクドーツ」 ビル・クロウ著 新潮文庫
「さよならバードランド」に続く、ジャズベーシストのビル・クロウによる、ジャズミュージシャンたちの逸話集(アネクドーツ)。
アート・ブレイキーのドラムは、独学だったこともあり、かなりヘボだったとのことですが、ディジー・ガレスビーが1日コーチしたら大変身したのだそうです。ガレスビーは、トランペット奏者だったと思うけど・・・。
チャーリー・パーカーは、ものすごく記憶力が良かった。何日か前に聞いたメロディーを覚えていて完璧に演奏することができたのだそうです。例えば、マイルズ・デイビスとアイドリーズ・シュリーマン(トランペット奏者)が、クラリネットの教則本をふうふう言いながら必死で取り組んでいるのを聴いていたパーカーは、後のライブで、ひとつ残らずすらすら吹きまくったのだそうです。
また、彼が、核物理学者と話し込んでいたこともあったのだそうです。ひょっとして、1950年代の前半に、彼は核物理学の概要を理解することができていたのかもしれません。
ジャズメンたちの逸話(アネクドーツ)は、読んでいてワクワクします。ジャズという音楽の黎明期のエネルギーを感じます。
グッド・ライン(名文句)も面白い。
決して他人の悪口を言わないことで知られていたボビー・ハケット(トランペット、コルネット、ギター奏者)は、ヒットラーについて聞かれ、「そうだな、彼もその分野では第一人者だったな」と答えた。
シェリー・マン(ドラマー)は、ジャズ・ミュージシャンの定義を聞かれ「我々は同じ演奏を二度出来ない人種だ」と答えた。
しかし、面白いばかりではありません。人種偏見の項は、読むのが辛いです。ビリー・ホリディも白人が泊まるホテルに泊まることができなかった。ナット・キング・コールが家を買うと、住民が「好ましくない人が越してこないように」署名運動をしたと言います。
村上春樹訳、イラストは、和田誠です。
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