第2298回「学んできたこ事とりくんでいく事 その54」

その54 「同じ価値観を持つ集団は、独裁者を作る」・・吉福伸逸さんの言葉の解説

独裁者はカリスマであり、圧倒的な影響力で多くの人々を誘導し、一定の方向に組織や団体や国を動かし、最終的には、反論は許さない空気を作っていきます。独裁とは、このようにして圧倒的な力を持った個人ないしは、一部の人たちが、全権力を握り、世界を動かしていくということです。

その結果、独裁者が絶対的な存在となり、その意向を忠実に実現していく側近団が強力な力を持つようになり、一般大衆は、彼らの意向に沿わなければ生きていけなくなります。一般の人々の中で、体制の価値観にあわない人たちは苦しみます。社会ないしは集団から切り離され、見捨てられることになります。

しかし、吉福さんは、別の要素を指摘します。大衆の抑圧された情動が、ある一定方向の価値観が提案されることによって解放されたとき、そのエネルギーは自己増殖し、独裁者の存在を許容する雰囲気を作り出していくというのです。さらに、独裁者の登場と側近団の誕生によって、一定方向の価値観は絶対的なものになっていきます。その過程で、独裁者およびその側近集団は、強大な力を持つようになると言うことです。心ある人たちは価値感自体に疑問を持ちますが、もはや反論は許されず、自己増殖した集団の情念は独裁体制の中で暴走していきます。

吉福さんは、それを「抑圧された情念は、いざ解放されたら自己増殖する」、「同じ価値観を持つ集団は、独裁者を作る」という、ふたつの言葉で表現しました。

これは、社会ないし集団が多様性に寛容でなくなり、特定の価値観以外は許容しないようになると、独裁者が登場する土壌が作られてしまうということだと、私は理解しています。



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向後善之(ハートコンシェルジュ・カウンセラー)
ハートコンシェルジュ

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