第380回「天才への一歩ははてしなく遠い(2)」

実は、僕は、子供のころ天才的な発見にあと一歩というところまでいったことがあります(←冗談ですよ)。

その一歩は、しかし、はてしなく遠いものでした。

小学校の時、僕は、電車の中で、一番前に乗って、運転手さんを見ているのが好きで、スピードメーターの数字が上がり、時速80キロなんてなると、興奮したものでした。

運転席を見ているとき、確か小学校の低学年の時だったと思いますが、僕は、画期的なことを思いつきました。今、時速60キロで電車が走っているのだから、この場でひょいと飛びあがったら、時速60キロで、後ろの方に移動することになるのではないかと思い付いたのです。

もし、そうなら、電車の中だったら、僕は、宙を鉄腕アトムのように飛ぶことができるわけです。僕は、その思いつきに興奮し、その時いっしょにいたU君に、「いっしょに飛ぼうぜ!」と提案しました。U君も僕の発見に大興奮です。

さて、僕らは、いっせいにピョンと飛び上がりました。しかし、なぜか元の位置に降りてきてしまいます。「きっと飛び方が違うんだ!」などと騒ぎながら、僕らは、何度も何度も飛び上がったのですが、結果は、同じです。

「えー、何でだろう?」、「おかしいな?」などと首をかしげていたのですが、そのうちに、U君も僕も、すぐに他のことに注意が向いてしまって、僕らは、偉大なる空中飛翔実験は、どこかにいってしまいました。

いやー、おしかった!

ひょっとしたら、ニュートンさんも同じようなことやったかもしれませんね。しかし、彼の場合、その疑問を持ち続け、その結果として「慣性の法則」を発見したわけです。

おそらく、子供のころに僕と同じ実験をしたことのある人は、山ほどいるはずです。天才は、そこより、もう一歩踏み出すわけですね。その一歩が、はてしなく遠いんだろうな・・・。

向後善之(ハートコンシェルジュ・カウンセラー)

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