第142回「統合的カウンセリングの実際(2)」


安全の確保を行いながら、カウンセリングセッションの中では、クライアントさんの受けた心の傷を癒す方向のアプローチをします。


この段階では、自分に対する罪責感を変えていく目的で認知行動的なアプローチをする場合もありますし、内省的に自分の抑圧していた感情にアクセスするために、僕は主に人間性心理学的な視点からアプローチを行っていきます。イメージ療法や、ゲシュタルト療法などを積極的にとりいれたりするのもこの時期です。


また、精神分析的な視点から、起こったことを考えていくといったことも、この時期に行います。こうした内省的なアプローチは、前回お伝えした最初の段階では、あまり適用しません(ただし、まったくやらないというわけではありません)。まずは、安全を確保するのが第1なことと、内省的に自分の抑圧した感情に気づいても、その感情をかかえきれずにかえって混乱することもあるからです。


最初の頃の段階では、クライアントさんが暴力におびえていて、内省的なワークどころではない場合が少なくありません。安全が確保され、内省する余裕ができ、自分の中の力を認識しはじめたら、再び認知行動的な視点から、カウンセリングの中で得たことを、どのように現実生活に適用していくかを話し合っていきます。


また、この時点で、コーチング的な手法で、クライアントさんの将来的なゴールを見つけていくといったことをします。そして、これまでのカウンセリングをふりかえり、今後の課題を整理して、カウンセリングは終結となります。


初回のセッションから終結まで、ひとつの手法なり理論なりで終わってしまう例は、僕の場合ほとんどありません。



向後善之(ハートコンシェルジュ・カウンセラー)

ハートコンシェルジュ


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