第131回「私レスビアンよ(3)」・・留学日記-39


そのジョージのクラスの中で、ショッキングなビデオを見ました。


アメリカの南部での出来事だったのですが、そのビデオの中には、一人のゲイの男性に対して数人の男達が暴行を加えるシーンが写されていました。これはドラマでは無く、実際に起こった事なのですが、暴行を加える側のひとりがビデオを写していたのです。暴行はすさまじいもので、殴る、蹴る、棒でひっぱたく等とても激しいものでした。


このビデオを見た後、僕は、それまで感じていたゲイの人達の中のある種の「必死さ」について理解できた様な気がしました。一部のアメリカ人にとって、ゲイは罪と捉えられています。彼等にとって、ゲイの人達は「神の意志に反する罪人」ですから、「ゲイの連中」を罰してもかまわないと思っている場合があるのです。もちろんサンフランシスコの多くの人は、教会を含めゲイに対して寛容ですが、中部南部では、まだまだ罪の意識が強いのかもしれません。


そういった反ゲイ・ムーヴメントの極端な例が、「ホモフォビア(ホモ恐怖症)」と呼ばれる人達です。彼等は、ゲイの人達を差別し、時には暴行を加えたりします。ビデオに写っていた男達は、まさに、その「ホモフォビア」達でした。


彼等はビデオの中で、暴行されていたゲイの人の事を「悪魔」と呼んでいました。彼等の極端な行動の下には、恐怖があります。「ホモフォビア」の人達にとって、「ゲイの人達は、自分達の価値観を犯す悪である。」という意識が裏側にあるものですから、彼等の行動は、その恐怖感を投影したものとなり、激しくゲイの人達を攻撃する事になります。


日本においては、「ホモフォビア」と呼ばれる様な人達の数は、(アメリカと比べて)かなり少ないのではないかと考えています。そのひとつの理由が、日本人は、同性愛を「恥」と考える事があっても、「罪」とは考えないのからだと思います。同性愛を「罪」と考える事も、「恥」と考える事も間違っていると思いますが、「罪」と考える方が「暴力行為の正当化」に使われやすいという点で、より深刻だと思います。


私は、ゲイの人達の中の「必死さ」は、ホモフォビアに代表されるアンチ・ゲイムーヴメントに対する防衛の意識に起因するのではないかと想像しています。この様に、アメリカの「ゲイ・ムーヴメント」、「アンチ・ゲイ・ムーヴメント」は、アメリカ人の中の「罪の意識」にまで言及するという意味で、とても深い命題を含んでいると思います。


さて、僕と妻は、「ゲイ・パレード」の日に、ちょっと早起きしてダウンタウンまで出かけ、うわさの「レスビアンのオートバイパレード」を見に行きました。おそらく、100台以上のオートバーイが参加していたのではないでしょうか。それは、すさまじい迫力でした。ハーレーあり、ホンダありで、皮ジャンを着込んだレスビアンの人たちは、皆元気いっぱいでした。


ふと、前の方に目をやると、先頭でハーレーダビットソンに乗って気勢をあげているのは、我らがCIISのクラスメートじゃありませんか!



向後善之(ハートコンシェルジュ・カウンセラー)

ハートコンシェルジュ


向後善之(ハートコンシェルジュ・カウンセラー)へのカウンセリングのご相談は... http://www.heartc.com/