第127回「自傷からの回復(5)・・不当な行為を拒否する権利を認識する」


【不当な行為を拒否する権利を認識する】


怒り、悲しみ、くやしさ、苦しさのなどの強い感情を言語的に表現できるようになれば、セッションは最終段階に入ります。


クライアントは、だれにでも怒りなどの強い感情を感じる権利と、それを表現する権利があること、感情と行動は別のものあること、感情をどのように表現するのかはクライアント自身が選択することができることを認識できるようになります。ここまで来ると、彼らは、自分に対する不当な行為に対し、正当に怒りや抗議の気持ちを持つことができるようになります。


また、彼らはこれまで、そうした感情を表現してこなかったので、それを他人に対して表現するには、かなりの勇気を必要とします。そして、勇気を出して自己主張しても、そうした状況になれていない彼らは、逆によりいっそう傷つけられてしまう可能性もあります。


この段階において、カウンセラーは彼らの勇気を応援するとともに、相手との軋轢がエスカレートしないような自己主張の方法、例えば、相手を非難するのではなく、自分の感情を「私は」を主語に主張する"I"ステイトメントを教えたりします。


こうしたプロセスを経て、クライアントが冷静さを失わずに自己主張できるようになると、解離を伴う自傷行為はしだいになくなっていきます。



向後善之(ハートコンシェルジュ・カウンセラー)

ハートコンシェルジュ


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