第78回「共感について」


カウンセリングの研修に行くと最初に必ず習うのが、共感です。共感とは、「他人の気持ちを自分のことのように感じること」と定義されます。人の気持ちに共感すると、あたかも、自分とその人の間の境界線がなくなるような感覚になります。まるで、同じ心理的なフィールドを共有しているような状態しなり、そうした状態になると、クライアントさん側からは、深いレベルでカウンセラーが自分の感情や感覚を理解していることを実感し、そのことが、例えば、それまで一人でかかえてきた問題を手放すきっかけになります。


しかし、共感は、カウンセリングの中で、常に起きているわけではありません。例えば、クライアントさんが、カウンセラーに対し怒り攻撃的になり、誹謗するようなことをしたとき、カウンセラーが「あなたの怒りはもっともです」とにこにこしながら言ったとしたらどうでしょう?カウンセラーが心の底からクライアントさんのカウンセラーに対する怒りに共感できたのならよいのですが、もし、そうでなくて、単に共感のふりをしていたとしたら、それはダブルバインドとなり、逆にクライアントさんを傷つけることになります。

真の意味で共感しているときには、カウンセラーは、自分の気持ちにも正直なはずです。偽りの共感は、クライアントさんには、すぐにばれてしまいます。クライアントさんのほうがカウンセラーより敏感な場面というのは、たびたびありますからね。


向後善之(ハートコンシェルジュ・カウンセラー)

ハートコンシェルジュ


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