べりぃ的
今日も映画感想文🎬
下妻物語
あらすじ
宮迫博之さん演じるダメ親父のバッタもの商売の影響で兵庫県尼崎から茨城県下妻に引っ越してきた深田恭子さん演じる竜ヶ崎桃子は、集団行動が大嫌いで友達のいない孤高の高校2年生。
四方八方田んぼだらけの田舎町に父と樹木希林さん演じる祖母の平凡な三人暮らしで、桃子は毎日、できればロココ時代のおフランスに生まれたかったと思い続けるロリータファッションをこよなく愛する女の子。
保守的な田舎において、ジャスコ信者の人々が多い中、
フリフリのロリータファッションの魅力を理解する人はおらず、桃子は周囲から変わり者として見られているが、桃子は自分さえよければOKじゃんと気にもしない。
そんなクールで自立的な性格をしている桃子の前にある日、土屋アンナさん演じるヤンキーのイチコが現れる。
桃子の父が作った偽物のヴェルサーチを買いに来たイチコは、レディースの一員であり時代錯誤な特攻服を身に纏っている桃子と同じ高校2年生の女の子。ロマンチックな世界を夢見る桃子はイチコを別の世界の人として扱い、煙たがるが、ヴェルサーチを激安で譲ってくれた桃子に恩義を感じたイチコは桃子の家に頻繁に来るようになり、孤独を愛する桃子の意に反して、2人の仲はどんどん深まっていく....。
グッときたポイント
昔から大好きでよく見返している映画ですが、
主人公の桃子が軽トラに轢かれてぶっ飛んでるシーンから始まり、2分後に映画終了となります。
が、それでは終われないので映像が巻き戻されていきます
主人公の桃子は、子どもの頃からどこか冷めている部分があり、不倫のために離婚した篠原涼子さん演じる母に一緒に暮らさないかと言われても父と暮らした方が単に面白そうだからと断り、
洋服を買うためなら父に友達の心臓が悪くて...などと大嘘をつきお金をもらったり、わたしはマジで
心根が腐っていますと言いながらも悪く思うわけでもなく自分の道を突き進んでいく女の子です。友達がおらず、1人でいることを苦に思うわけでもなく、
人は一人じゃ生きられないなんて。
だったら私は人じゃなくていい。ミジンコでいい。
寄り添わなきゃ生きられない人間よりもずっとずっと自立してるもの
と、自己肯定感を保ち続けますが、なかなか桃子のように周囲を気にせずに自分が正しいと強く思える人っていないんじゃないかって思います。
そんな桃子に反して、ヤンキーのイチコは、風貌は特攻服ですが、妙に人懐っこく、単純で素直で、純粋な女の子で、2人の女の子の外見と内面のギャップが面白い対比になっています。
イチコは、元々いじめられていて、周囲の顔色を伺いながらいつも笑っている気弱な女の子でした。
ある日その辛さから家を飛び出し自転車で夜道を走っていた時に、見かけたポニーテールというレディースの小池栄子さん演じるアキミさんから
なんで泣きながら笑ってんだよ。
誰だって何か背負ってんだよ。
どっか痛いんだよ。
だから泣くことは恥ずかしいことじゃない。
と話しかけられ心を打たれたイチコはアキミさんに憧れてレディースになったのです。
でも本心は今でも人からどう思われているか、周囲からの目をずっと気にしている素振りを見せていて、
イチコが桃子にやたらと絡んできたのは、そんな自分とは違い、自立している桃子のかっこよさに惹かれるものがあったからなのだと思います。
他人に全く興味のなかった桃子は、バカだけど純粋でおもしろいイチコについて少しずつ興味や関心を持つようになり、イチコを本名のイチゴと呼ぶようになったり、強引なイチゴに地獄に引きづられながらも心を少しずつ開いていきます。
![笑い泣き](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/015.png)
見た目も、価値観も、育ってきた環境も好きなことも正反対の2人が少しずつ仲良くなり、こうしてお互いの好きを否定することなく程よい距離感で歩いているのはなんだかとてもエモく感じます
嘘なので当然ですが、散々探しても代官山の刺繍屋は見つからず、イチゴは見かけた水野晴郎を追いかけていき、2人はケンカしてしまうのですが
大爆笑
結局、桃子はイチゴと仲直りをしてイチゴの特攻服の刺繍は、自分がすると伝えます。
桃子は刺繍がとても上手なのです。
桃子が着ている洋服のブランドBABYの社長に刺繍を見初められるほど
社長、
イチゴにぶっ飛ばされていましたけど
特攻服あずけるってことは命あずけるってことだよ。全部、何もかも、お前に任せる。
そう言って、桃子に特攻服を渡します。
イチゴにとって、特攻服は命そのもので、それを桃子に預けることができるほど、イチゴにとって桃子はいつのまにか大切な友達になっていて、
そして、他人にまったく興味のなかった桃子にとってもイチゴのためにと何日も徹夜で刺繍を刺し続けるほどの大切な存在になっていたのです。
出来上がった刺繍を喜ぶイチゴを見て桃子は泣きそうになり、その初めての感情に戸惑う桃子は、寝不足だからだと自分に言い聞かせますが、
憧れのBABYの社長に新しいデザインの洋服に桃子が刺繍を頼まれ、あんなにクールだった桃子は更に戸惑います。
そして、その時に、桃子は以前、母に伝えた
人間は大きな幸せを前にすると急に臆病になる。幸せを勝ち取ることは、不幸に耐えることより勇気がいるの
という言葉を今度は自分自身にも言い聞かせます。
そして、
会いたいよ。イチゴ
と、イチゴに電話するのです。
桃子にとってイチゴは弱っている姿を見せられる、会いたいと思える唯一の大切な友達になっていたのです。
桃子がBABYの刺繍の納品を約束した日、
アキミさんが引退してから新しい総長のミコと馬が合わず、ポニーテールを抜けることにしたイチゴはミコとタイマンをはることになりますが、そのことを知った桃子は、居てもたってもいられず神様と呼んでいたBABYの社長に
どうしても友達に会いに行かなきゃいけないと伝えます。
社長は厳しい表情で桃子に友達なんて...と、言いますが、行くべきですと伝えます。
社長、優しい...
そして、桃子はバイクに乗り、イチゴの元へと急ぐのですが、
冒頭のとおり、軽トラに轢かれてしまうのです。
ですが、どうにか無事だった桃子は、またバイクに乗りイチゴの元へ。
あんなに美しさにこだわっていた洋服はボロボロ
それでも気にすることなくやっとイチゴの元に到着した桃子は、イチゴの血で血だらけになり、
そして、
キレます(最高)
そこでとっさに桃子は、自分こそは以前イチゴが話していた茨城の伝説のレディース、ヒミコと伝説の刺繍屋の間にできた娘だと嘘をつき、その場を静めます。
力ではレディースに勝てないとわかっているので、この嘘をパッと思いついた桃子はやっぱり賢いんですよね。嘘も方便
そして、イチゴと桃子は、その場を離れ
2人で笑いながらバイクで走っていき
映画は終わります。
イチゴがレディースを
抜ける時に言った言葉、
桃子はいっつも一人で立ってんだよ。
自分が決めたルールだけを信じてよ。
群れなきゃ走れねえ
あんたらとは格が違うんだ。
これこそイチゴが桃子に惹かれた一番の想いだと思います。
ずっと一人でいた桃子。
人間は一人なの。
一人で生まれて一人で考えて
一人で死んでいくの。
そう思っていたのがイチゴに出会って、
ファッションよりも大事な友達ができ、
一人でいるのが不安になった桃子。
そして、
レディースとして群れていたイチゴは
桃子に出会って、
あたいも一人になる。アイツみたいに
と、一人でいるのが不安でなくなった。
お互いに大切な存在となり、
笑いながらバイクでかけぬけていく
出会うまでは
別々の道だったはずが、
一つの道を進んでいく2人の
友情をこれから先も
ずっと見ていたい映画です